こちらは2018年に掲載した記事の再掲載です。

"イノセント・エイジ"
この2枚組アルバムのジャケットは汚しちゃいけないと丁寧に丁寧に扱っていました…・


 

昔のLPレコード。とりわけ手に取るとずっしりと重い2枚組アルバムが懐かしいですよね、
そのなかでも、ダン・フォーゲルバーグの「イノセント・エイジ」はジャケットが白かったので手で汚れないように、アルバムを触るときには手を洗ってました。ちょうど真ん中の人形の写真のところが確かエンボス加工されて少しデコボコしてるんですよ。これも好きだったなあ。

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◆とりわけB面が好きでよく聴いていました。1曲目"ロスト・イン・ザ・サン"も悪くないのですが、ここから3曲が良すぎ!この曲"バラに向かって走れ(Run For The Roses)"、そして"バンド・リーダーの贈り物(Leader Of The Band)"、そしてB面ラストが「懐しき恋人の歌(Same Old Lang Syne)」ですね。3曲ともシングルカットされて、それぞれ全米18位、全米9位、全米9位のヒットとなっています。ちなみに、アルバム「イノセント・エイジ」からの1stシングルはグレン・フレイのコーラスの聴ける「風に呼ばれた恋(Hard To Say)」(全米7位;アルバムではD面)でした。クリスマスの夜に昔の恋人と偶然再会する物語の「懐しき恋人の歌」はアルバムより前にシングルとしてヒットしていて、この曲が入ったダンのアルバムが出る!っていうんで、「イノセント・エイジ」は2枚組でお小遣いが痛かったけど、発売その日にレコード屋さんで買ったことを想い出しました。

◆"Run For The Roses"…この曲が、競走馬(競馬に出場する馬)のことを歌った曲だとは知っていましたが、"Run For The Roses"というタイトルそのものが、ケンタッキー・ダービーの通称だったのですね。

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"ケンタッキー・ダービー"は、アメリカのクラシック三冠(Triple Crown of Thoroughbred Racing)の一つで歴史も人気もあるレースです。そして優勝した馬には真っ赤なバラのレイが掛けられることから"The Run For The Roses"とニックネームが付けられました。
 ちなみに今年の優勝馬(2018年5月5日)は騎手M・スミスの乗った「ジャスティファイ(Justify)(牡3)とのこと。


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(写真はGettyよりいただきました)

◆澄んだダンの声で"バラに向かって精一杯走るがいい"と歌うこの曲。馬の飼育や調教に関わる単語も結構出てきました。歌詞の"You"は「馬」。"騎手"については登場もせず、一切歌われていません。だから歌詞の"It's the chance of a lifetime in a lifetime of chance"の"Lifetime"は主人公が"馬"なので"人生"とは訳せないので苦労しました(^▽^;)。
"種馬"の血により、何かわからないものだけど「あるべき場所=レース」へと導かれる…
"And it's something unknown that drives you and carries you home"の「home」は「レース」であると解釈しました。
ダンの曲を紹介するのはこのブログでは初めてですね。ダンはすでに天国へと召されています。生前に彼の生の声を聞きたかったとつくづく思います…、ダン、R.I.P。

◆この曲が全米チャートにランクインしていた時のチャートは星船さんブログ「ビルボード・チャート日記by星船」をどうぞ!(チャートRun For The Rosesの紹介記事

◆それでは「バラに向かって走れ」の曲紹介と日本語訳です。
Songwriter(s) Dan Fogelberg

Released in 1982
US Billboard Hot100#18
From The Album“The Innocent Age”

"Run For The Roses"lyrics(英語詞はこちらのサイトからいただきました)

Born in the valley
And raised in the trees
Of Western Kentucky
On wobbly knees
With mama beside you
To help you along
You'll soon be a-growin' up strong


谷で生まれて
木々のなかで育った
そこはケンタッキー西部
立つのにもひざがぐらついていたのさ
でもママがそばにいて
おまえを支えてくれた
そしておまえはすぐに
たくましく成長していくのだろう

Oh, the long lazy mornings
In pastures of green
The sun on your withers
The wind in your mane
Could never prepare you
For what lies ahead
The run for the roses so red


ああ 緑の牧草地で
長いのんびりした朝に
おまえの肩を照らす太陽も
おまえのたて髪を吹き抜ける風も
これからおまえを待ち受けるものの
準備を少しもしてくれなかったんだ
それは真っ赤に咲いた
バラを求めて走るレース…


And it's run for the roses
As fast as you can
Your fate is delivered
Your moment's at hand
It's the chance of a lifetime
In a lifetime of chance
And it's high time
You joined in the dance
It's high time
You joined in the dance


それはバラに向かって走る競争(レース)
力の限り速く走るんだ
それがおまえに与えられた運命
そのときはもうすぐそこまで来てる
チャンスのある一生のなかで
これが最大のチャンスなんだ
今がそのとき
一緒にダンスを踊るんだ
今がそのとき
ダンスを踊るときなんだ

From sire to sire
It's born in the blood
The fire of a mare and
The strength of a stud
It's breeding
And it's training
And it's something unknown
That drives you and carries you home



種馬の血筋
生まれついた血統
血気盛んな雌馬を母に
力の強い牡馬を父に
大切に飼育され
丁寧に調教され
そして何かわからない力が
おまえをあるべき場所へと導くんだ


And it's run for the roses
As fast as you can
Your fate is delivered
Your moment's at hand
It's the chance of a lifetime
In a lifetime of chance
And it's high time
You joined in the dance


それがバラを求めて走る競争(レース)
思う存分走るがいい
それがおまえに与えられた運命
そのときがもう手のなかにある
いつかはわからないが
必ず来るチャンスが
今目の前に来てるんだ
今がそのとき
さあ「ダンス」の時間が来たんだよ


It's high time
You joined in the dance



今がそのとき
さあ レースに挑むんだ...


(Words and idioms)
wobbly=ぐらつく、定まらない
pasture=牧草の生えている所または放牧地(meadow は特に干し草を作るための牧場)
withers=〔馬や犬などの〕き甲、肩甲骨の間の高くなっている部分
mane=たてがみ
sire=雄馬、種馬
mare=(完全に成長した馬・ロバなどの)雌
stud=種馬

◆ Dan Fogelberg performing Run for the Roses. (C) 1991 Epic Records, a division of Sony Music Entertainment




◆"Run For The Roses" Live On SoundStage At The WTTW Television Studio In Chicago, Illinois On August 8, 2003.