パラダイスって、どんなものか知ってる?
…それは「まやかし」。そんなものないの…




「愛はかげろうのように」…様々な経験をしてきた年輩の女性が、自分の人生を嘆く若い女性に向けて、自分の経験を語ってる曲…というのがこの曲のシチュエーションですね。

◆1976年にデビューアルバムに収録されましたが、このアルバムのサードシングルとして1977年9月にリリースされたが、ビルボードHot100では97位に終わりました。ところが、1982年にフロリダ州タンパのラジオ局で放送されたことから人気が急上昇し、再リリースとなり、ビルボードHot100で3位、全英では1位、1983年にはオーストラリアで6週連続1位を獲得するなど世界的大ヒットとなりました。(日本でもよくラジオでかかってヒットしましたね)

 途中、"Hey, you know what paradise is? "等、「語り」が入りますが、これは1977年バージョンにはなく、1982年の再リリースのときに付け加えられたという話です。

◆多くのアーティストがカバーしました。歌詞の主人公を男性に変えて、歌詞も一部変更したバージョンもありますし、国内では椎名恵さんが「Love Is All」というタイトルでカバーしています。

◆原題"I've never been to me"…直訳すると"私は私に出会ったことがない"ですが、邦題は"愛はかげろうのように"。かなりの意訳ではありますが、歌詞の物語からすると…ピッタリあったタイトルだと思います。それでは曲紹介です(日本語訳についての解説を終わりの方に載せています)。

Writer(s): Ron Miller, Ken Hirsch

Released in 1982
US Billboard Hot100#3
From The Album
Songs of Love and Charlene (1977)
I've Never Been to Me (1982)

Iveneverbeentome

"I've never been to me"lyrics(英語詞はこちらのサイトからいただきました)

:

Hey lady, you, lady,
cursin' at your life
You're a discontented mother
and a regimented wife

ねえあなた そう あなたよ
「あたしの人生なんて…」って
そう呟いてるあなた
不満を抱えた母親 で
家に閉じ込められた妻って
ところかしら

I've no doubt you dream about
the things you'll never do
But I wish someone had talked to me
like I wanna talk to you

あなたは夢見てるに違いない
自分が決してしたくてもできないことを
ああ かつての私にも
誰か話しかけてくれたらよかったのに
こうして私があなたに話しかけるように

Ooh I've been to Georgia and California,
oh, anywhere I could run
Took the hand of a preacher man
and we made love in the sun
But I ran out of places
and friendly faces
because I had to be free
I've been to paradise,
but I've never been to me


ジョージアにもカリフォルニアにも行ったわ
行けるところにはどこにだってね
神父様の手を取って
太陽のもとで愛し合ったりもした
だけど私は
その場所や友人たちとの繋がりも捨てたの
自由にならなきゃって思ってね
パラダイスにも行ったわ
でも自分自身には出会えなかったのよ

Please lady, please, lady
Don't just walk away
Cause I have this need to tell you
why I'm all alone today
I can see so much of me
still living in your eyes
Won't you share a part of a weary heart
that has lived a million lies

お願い ねえ どうかあなた
まだ行かないで
だってあなたにこの話をしなくちゃ
私がいまだ孤独でいる理由をね
私には見えるのよ
あなたの瞳のなかに私の姿がね
分かち合わせてほしいの
この疲れ切った心の一部でいいから
数えきれない嘘を重ねてきた私の人生を

Oh I've been to Nice and the isle of Greece
While I sipped champagne on a yacht
I moved like Harlow in Monte Carlo
and showed 'em what I've got


ああ ニースにもギリシャの島々にも行ったわ
ヨットでシャンパンを飲んだりもした
モンテカルロのジーン・ハーロウのように
持てるものを披露したりもしたわ

I've been undressed by kings
and I've seen some things
That a woman ain't supposed to see
I've been to paradise,
but I've never been to me


沢山の紳士たちに愛されて
およそ女性が見ることのないものも
沢山見てきたのよ
"楽園"にも行ってきたわ
でもそこでも私自身には出会えなかった

Hey, you know what paradise is?
It's a lie.
A fantasy we create about
People and places as we'd like them to be.
But you know what truth is?
It's that little baby you're holding,
and it's that man you fought with this morning,
the same one you're going to make love with tonight.
That's truth, that's love


ねえ 楽園ってなんだかわかる?
そんなものはないの
私たちが創った幻想なのよ
人々も場所も そうあってほしいと
想像したものなのよ
でも本当の幸せってて何だかわかる?
それはあなたが腕に抱く赤ちゃんだったり
あなたの旦那さんと今朝ケンカしても
その同じ人と今夜愛し合ったりするものよね
本当の幸せって…それが愛なのよ

Sometimes I've been to cryin' for unborn children
That might have made me complete
But I, I took the sweet life
and never knew I'd be bitter from the sweet
I spent my life exploring the subtle whoring
that cost too much to be free
Hey lady, I've been to paradise,
but I've never been to me


産んであげられなかった子どものことを想って
ときどき涙を流してきたの
子どもがいたら 私は満たされていたかも…
でも 私は… 私は甘い生活を選んだわ
その後に待ってる苦しみなど知りもしないで
体を売るようなことを経験するのに人生を費やし
自由であるために大きな代償を払ったの
ねえ 私はあらゆる場所を訪れたけど
それでも自分には巡り会えなかったの

I've been to paradise, never been to me
(I've been to Georgia and California,
and anywhere I could run)
I've been to paradise, never been to me
(I've been to Nice and the isle of Greece
While I sipped champagne on a yacht)
I've been to paradise, never been to me…


楽園にも行ったけど…私自身には出会えない…
(ジョージアやカリフォルニア
行けるところにどこでも行ったわ)
それでも自分がわからないでいるの
(ニースやギリシアの島々で
シャンパンをヨットで味わった)
まだ本当の自分には巡り合えてないのよ…

(Words and Idioms)
curse at=罵る
discontented=不平のある,不満な,不機嫌な
regimented=厳格に統制[管理]された
cf.Show them what you've got.
=あなたの実力を見せてやれ.頑張って.
subtle=微妙な,とらえがたい
whore=売春婦、娼婦、淫売女
explore=探検する、実地踏査する、探究する

日本語訳 by 音時

(日本語訳について)
あらためて訳してみると、なかなか痺れる内容(^▽^;)でした。
・"神父さんの手を取って…"は、神に仕える身である神父さんを誘惑して…?ってことかな(^▽^;)。
・モンテカルロのハーローは、女優"ジーン・ハーロウ"のことだろうというのはわかりましたが、"モンテカルロ"がどうして出てくるのか?そして、"自分の持っているものを(them)に披露した"というのがいまいちわかりませんね。
"ジーン・ハーロウ"は腎臓の病気で26歳で亡くな女優ですが、ウィキペディアによると「1930年代のセックスシンボル」だったようですね。ハッとする金髪のハーロウは、キム・カーンズの「ベティ・デイヴィスの瞳」の歌詞の一番最初に出てきますよ。

・"them"はその後に出てくる"I've been undressed by kings"の"kings"のことでしょうかね。「王様たち」と言っても実際に王様なのではなくて、まあ「お金持ち」「セレブたち」ってことでしょうか。その人達の前で惜しげもなく肉体を披露した…っていうことなんだろうな(^▽^;)。
 またその見返り?に"I've seen some things that a woman ain't supposed to see"="通常、女性が見ることになっていないようなものも沢山見てきた"ってことは、ああいうことやこういうことってことなんでしょうね。(←わからんやん)

・"unborn children"="産むことができなかった子ども達"について。その前の「語り」で"little baby you're holding"が出て来ますし、その後で、"the subtle whoring"="微妙な売春行為"→僕は「体を売るようなこと」と和訳しました~が出てくるので、赤ちゃんができたけど、主人公は「諦めた」んだろう、と思いました。

"I've never been to me"…いろんな人と出逢い、いろんな場所にも行ったし、身体一つでやってきた...いわゆるパラダイスにも行ったけど、"本当の私と出逢ったことは決してなかった"…。主人公の彼女はそんな経験するよりも、平凡な?生活=家族に囲まれて、愛があることが一番大事、ってことを言ってるんでしょうね…!

◆シャーリーンはまだ現役で頑張ってるようですよ! (Official Site)
◆この曲がヒットしていた頃の全米チャートは…星船さんブログ「ビルボードチャート日記 by 星船」でどうぞ。

◆これPVっぽい作りです、主人公の回想シーンが出てきます。

 

◆スタジオで歌うシャーリーン。(途中のセリフはありません)



◆日本語カバーは椎名恵さん「Love Is All」。原曲の歌詞とはまるで違いますが、これはこれでとてもいい歌です。