オリビアが"脱カントリー"をはかった曲がこの曲。
みごと成功しました。



 

ちょっとオリビア・ニュートンジョンのデビューの頃の話を…。

 オリビア・ニュートンジョンはイギリスのケンブリッジ生まれでしたが、家族の都合でオーストラリアのメルボルンに移り住みます。歌に興味を示したオリビアはオーストラリア人のパット・キャロルと「パット&オリビア」という若い女の子のデュオを結成。1965年のタレントコンテストでイギリス行きの副賞を手にして、イギリスへ。パブなどで歌を歌っていました。このときは「オリビアはのんびり屋でリハーサルから将来の夢まで、しっかり者のパットが仕切っていた。オリビアはパットのリードについていくという感じだったよ」と当時、オリビアの恋人だったブルース・ウェルチがTV番組"Song To Soul"で語っていました。

◆このブルース・ウェルチがオリビアの最初のヒットシングル"If Not For You"(ボブ・ディランのカバー)のアレンジを担当します。ブルースはオリビアとも知り合いだったジョン・ファーラーをオーストラリアからイギリスに呼んでいましたが、"If Not For You"をブルースとジョンとで共同プロデュースしました。(バックのスライドギターを弾いているのはジョンです)
  これまではオリビアは"フォークシンガー"でしたが、"If Not For You"がカントリー風のアレンジをしていたこともあり、アメリカではカントリーシンガーとして扱われることになりました。その後、リリースした"Let Me Be There"では、オリビアは1974年の第16回グラミーにおいて、最優秀女性カントリー・ヴォーカル・パフォーマンスを受賞します。

◆"カントリー・シンガー"は、オリビア自身が望んだわけではなかったのですが、カントリーチャートでのヒットが続くなか、イギリス出身の女性歌手がカントリーを歌うことに、カントリーの聖地ナッシュビルを中心にオリビアへの批判が高まります。
  そこでオリビアとジョンは今後の方向性を迷いながら、デモテープの山から沢山の曲を聴いていきました。そしてこれまでとは感じが違った曲ということで「愛の告白」がロンドンの小さなスタジオでレコーディングされることになった…というわけです。
  「愛の告白」はオリビアの初の全米No1ヒットとなり、その翌年3月に開かれた第17回グラミー賞(1975)で「Record Of The Year」と「Best Pop Vocal Performance, Female」の2賞を受賞しました…。

(これまでの話は以下の情報を引用しました)
・あの人は今(オリビア1) こちらのサイト
・BS-TBS TV番組「SONG TO SOUL」~永遠の一曲"そよ風の誘惑」オリビア・ニュートンジョン

「愛の告白(I Honestly Love You)」を書いたのはピーター・アレンとジェフ・バリー。2人とも素晴らしい作品を書いているソングライターです。
 ピーターの代表曲はクリストファー・クロスの「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」、リタ・クーリッジやメリサ・マンチェスターが歌った"Don't Cry Out Loud"、ジェフの方はフィル・スペクターと組んで"Be My Baby"や"Da Doo Ron Ron"など、すごい人たち。
 当初はピーターがこの曲を歌うつもりだったそうですが、二人が作ったデモ・テープを出版社の誰かが持っていってオリビアに聞かせたところ、オリビアが気に入って「歌わせてほしい」と申し出てきたそうです。

◆この曲の二人…愛し合っていても、一緒になれることのない二人。そのことを歌った歌なのでしょう。邦題は「愛の告白」ですが、歌詞の内容からは決してロマンチックな告白ではなく、"…それでもあなたを心から愛してる。そのことは本当よ"と心のなかを吐露する本気の告白、の歌なんですね。
 蛇足ながら、ピーターはゲイであることを隠していないシンガーでした。ピーターの愛は時代的にも報われないものだったのかもしれません。"I Honestly Love You"の物語は、ピーターが自分自身の体験を投影していたのかもしれません。
 ピーターは1992年6月18日、エイズによる合併症のためカリフォルニア州で天に召されています(享年48歳) ピーター、R.I.P。

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Writer/s: PETER ALLAN, JEFF BARRY
Publisher: Universal Music Publishing Group

Released in 1974
US Billboard Hot100#1
From The Album
"Long Live Love" (UK) "If You Love Me, Let Me Know" (US)

噛みしめるように歌うオリビア。英語歌詞もぜひ見て欲しいと思いますので、日本語訳と並記とさせていただきます。
(英語歌詞はこちらから

:*原詞の引用は太字

Maybe I hang around here
A little more than I should
We both know I got somewhere else to go

もしかして私 このあたりに
長く居すぎてしまったかもしれない
二人ともわかってることね
私がどこかに行くべきなんだわ

But I got something to tell you
That I never thought I would
But I believe you really ought to know

I love you
I honestly love you

でもあなたに言わなきゃいけないことがある
話すなんて思ってもいなかったのに
でもあなたはわかってくれると信じてる

"愛してる
心からあなたを…"

You don't have to answer
I see it in your eyes
Maybe it was better left unsaid

答えはいらないわ
あなたの目を見ればわかるから
言わないでいるのが賢明ね

This is pure and simple
And you mustT realize
That it's coming from my heart
and not my head

I love you
I honestly love you

簡単でシンプルなことよ
あなたも気づいてたはず
心から出てきた言葉なの
頭から出たんじゃない

"愛してる
心からあなたを…"

I'm not trying
to make you feel uncomfortable
I'm not trying
to make you anything at all

あなたを試してるんじゃないわ
不快な思いをさせたいんじゃないの
何か裏に魂胆があったり
そんなことを試してるんじゃない

But this feeling doesn't come along everyday
And you shouldn't blow the chance
When you've got the chance to say

I love you
I honestly love you

でもこんな感情が
毎日芽生えてくるわけじゃない
あなたも言葉で伝えるチャンスがあったとき
その機会を逃すべきじゃなかったのよ

"愛してる 愛してる
心からあなたを…"

If we both were born
In another place and time
This moment might be ending in a kiss
But there you are with yours
And here I am with mine
So I guess
we'll just be leaving it at this

もしも二人が
別々の場所と時間に生まれていたら
いまこの瞬間 キスで
エンディングを迎えていたかもしれない
でもあなたはあちらに 大切な人がいて
私はここに 大切な人がいる
だからこの話はこれくらいに
しておくのがいいのよね…

I love you
I honestly love you
I honestly love you

"愛してる 
心から
心からあなたを愛してる・・・"

日本語訳 by 音時