アルバム「ネブラスカ」収録の10曲のうち、“オープン・オール・ナイト”は唯一エレキ・ギターを使ったロックン・ロール曲。ブルースのアルバムでは「The River」などに入っていてもそう違和感なく聴けそうに思います。

Wikipediaによると、この曲は

チャック・ベリー風のギターリフを伴ったこの曲は、名もなき語り手が、ルート60の「ボブズ・ビッグ・ボーイ」でウェイトレスをしていた頃に出会った恋人ワンダに会うため、工業地帯ニュージャージーを夜通しドライブする物語

と紹介されています。原題は“Wanda”。恋人に会うためだけに夜通し車を運転する男について歌われています。

◆知りませんでした。この曲“Open All Night ”英国ではシングルとしてリリースされますが、チャートインには至りませんでした。(オランダとスペインでもシングルとしてリリースされた)
 米ではシングルとしてリリースされなかったものの、十分なエアプレイを獲得し、米ビルボードのメインストリーム・ロック・トラック・チャートでは22位を記録しています。




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(Bruce Springsteen)

Released in 1982
From the Album“Nebraska”

*原詞は太字


Well, I had the carburetor, baby, cleaned and checked
With her line blown out, she's hummin' like a turbojet
Propped her up in the backyard on concrete blocks
For a new clutch plate and a new set of shocks
Took her down to the carwash, checked the plugs and points
Well, I'm goin' out tonight, I'm gonna rock that joint


そうさ キャブレターの掃除と点検を済ませたんだ
燃料ラインも掃除して ターボジェットみたいに快調さ

裏庭のコンクリートブロックの上に立てかけて
クラッチとショックアブソーバーも新品に交換
洗車場に持って行き プラグとポイントをチェック
さあ 今夜は出かけるんだ 
この店を盛り上げてやるぜ

Early, North Jersey industrial skyline
I'm a all-set Cobra Jet, creepin' through the nighttime
Gotta find a gas station, gotta find a payphone
This turnpike sure is spooky at night when you're all alone
Gotta hit the gas, baby, I'm runnin' late
This New Jersey in the mornin' like a lunar landscape


時間は早朝 北ジャージーの工業地帯の地平線で
俺のエンジン(コブラジェット)は準備万端
夜どおし 這うように車を走らせる
ガソリンスタンドや公衆電話を探さなきゃ
この有料道路は夜一人でいると薄気味悪い

遅れちまった アクセルを吹かそう
ニュージャージーの朝の風景は まるで月面のようさ



Now, the boss don't dig me,
so he put me on the nightshift

Takes me two hours
to get back to where my baby lives

In the wee, wee hours,
your mind gets hazy

Radio relay towers,
won't you lead me to my baby?

Underneath the overpass,
trooper hits his party light switch

Goodnight, good luck,
one-two, powershift



ボスは俺を気に入らないみたい
俺は夜勤に回されたのさ

あの娘の家まで戻るのに2時間もかかる
真夜中で 朝までの時間
意識がもうろうとする
無線の中継塔よ 
俺のベイビーの所に連れて行ってくれないか?
陸橋の下にさしかかったところで
警官が赤色灯を点けてきた
おやすみ アバヨ 
俺は1、2、で加速し逃げ去った


I met Wanda when she was employed
Behind the counter at the Route 60 Bob's Big Boy
Fried chicken on the front seat,
She's sittin' in my lap

We're wipin' our fingers on a Texaco roadmap
I remember Wanda up on Scrap Metal Hill
With them big brown eyes
that make your heart stand still


ワンダに会ったのは 彼女が国道60号線の
ボブズ・ビッグボーイのカウンターにいた頃
助手席にはフライドチキン
彼女は俺の膝の上
俺たちは紙の道路地図で指を拭いてる
“スクラップメタル・ヒル”にいたワンダを思い出す
彼女のでっかい茶色の瞳は
心臓が止まるほど きれいだった

Wooh-ooh... woo!
Ah!
(Oh, now...! Crazy...!)

Hey!

Well, 5 a.m., oil pressure's sinkin' fast
I make a pit stop – wipe the windshield, check the gas
Gotta call my baby on the telephone
Let her know that her daddy's comin' on home
"Sit tight, little mama, I'm-a comin' 'round
I got-a three more hours, but I'm coverin' ground"


さて 午前5時 油圧が急に下がってきた
ちょっと車を止めて….
フロントガラスを拭き ガソリンをチェック
愛しいあの娘に電話して
おまえのダーリンが帰宅中だって知らせなきゃ

“じっと待っててくれ ベイビー もうすぐさ

あと3時間だけど どんどん近づいてるよ”


Your eyes get itchy in the wee, wee hours
Sun's just a red ball risin' over them refinery towers
Radio's jammed up with Gospel stations
Lost souls callin' long distance salvation
Hey Mr. DJ, won't you hear my last prayer?
Hey ho, rock 'n' roll
Deliver me from nowhere


夜明けが近くなると 目が痒くなる
太陽は製油所の塔の上に昇る
赤い球に過ぎない存在だ
ラジオはゴスペルをかける放送局ばかり

迷える魂たちが 遠くから救いを求めている。
なあDJさん  俺の最後の祈りを聞いてくれないか?
ヘイホーロックンロール
わけわからない場所から俺を救ってくれ

[scatting 'til end]

(Words and Idioms)

a new set of shocks=ショックアブソーバー(suspension shocks)=サスペンションの一部で、路面の凹凸による振動や衝撃を吸収し、車体の安定性や乗り心地を保つ部品rock that joint =“joint” は俗語で「店」「クラブ」「場所」。「その店を盛り上げてやる」「その場を熱狂させる」という表現
Ford Cobra Jet =1968年に登場したフォード・マスタング用の大排気量V8エンジン(428 Cobra Jet)
wee hour=真夜中から夜明けまでの早朝の時間帯

overpass=陸橋:主に道路や鉄道の上を通過する構造物
pit stop =モーターレースで車がピットに入って燃料補給やタイヤ交換、点検をする短い停車のことcover ground= (ある)距離を進む、行く、 (ある)範囲を取り扱う

日本語訳 by 音時


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いやー、僕は車に乗らない(ペーパードライバーです)こともあって、この曲は辛かった(;^_^A。
「車」用語ばかりで和訳に苦労しました。


◆“Texaco roadmap” ...米国の石油会社 Texaco(テキサコ) がかつて無料で配布していた 道路地図(road map) のことのようですね。Copilotくんに聞いてみると…

20世紀半ば、アメリカのガソリンスタンドでは給油客に無料で紙の道路地図を配るのが一般的でした。
Texaco も大手石油会社のひとつで、ブランド名入りの地図を配布していました。
その地図には州ごとのハイウェイや主要道路が詳しく載っていて、ドライバーはそれを頼りに旅をしていたのです。
有料道路)を走ってる状況です。

 「指にケチャップがついちまった。紙(地図)で拭こうか」…ってところでしょうか(;^_^A。

◆“Scrap Metal Hill”…調べたのですがルート60号線あたりにこういう地名はありませんでした。
おそらくブルースの造語もしくは俺たちがそう呼んでた場所、ってことなのでしょう。
「スクラップメタル=(廃鉄)」ですから、彼女の住んでいたのが鉄を捨てる場所のそば、ちょっと小高い場所にあった?んじゃないでしょうかね。


◆最後のワンフレーズ。ブルースをモデルにした映画(邦題:孤独のハイウェイ)の原題になった“Deliver me from nowhere”が出てきてビックリ( ゚Д゚)しました。
 そうか、原題のタイトルはここから取られたんだ。

・この曲“Open All Night”は、アルバム「ネブラスカ」の他の曲とは違って、明るく陽気な感じで、チャック・ベリーを思い出させるようなアップテンポのロックソングでした。
 無目的ではなく彼女に愛に行くために夜勤明けのターンパイクを眠気を感じつつも、ただ走る男。

この曲は、アルバム「ネブラスカ」と他のアルバムを結び付けるような位置にあるように思いました。
 ブルースが決して180度の方向転換をしたわけではなく、「ネブラスカ」では、ただ自身の内面を吐露しているにすぎないんだ…と言っているような…。