A面4曲めは、ゆっくりと語る曲ではなく、ブルースはアコギを明るく弾き、ブルースハープ(ハーモニカ)を吹き鳴らす曲。トーンがちょっと変わります。
 ただ、歌詞の物語は…人を殺してしまった主人公の話...(-_-;)。

◆「ジョニー99」は この曲の主人公のあだ名。
なんで「99」かというと…「懲役99年」を言い渡されたから…。
(死刑宣告ではない)

また主人公の名前は「ラルフ」であって「ジョニーではない」。
ジョニーは米国での男性の一般的な名前ということでしょう。
 泥棒ばかりする男のあだ名を「泥棒太郎」と付ける感じかな。
(考えてみると、日本人にはさほど太郎はいないが…)(;^_^A


◆この曲の物語は単純です。
ニュージャージー州マワーの自動車工場が閉鎖されたことを受けて職を失い、ホテル従業員を殺害することでその鬱憤を晴らした男。
彼は逮捕され、懲役99年の判決を受けるが、死刑を懇願する...。

その男は自動車工場が閉鎖され職を失った。社会にも絶望した?
そんなことで人を殺してしまったんだ…。
でもなぜ彼は懲役99年の刑ではなく死刑を望むのだろう…。

...ブルースの頭のなかには、そんなことが駆け巡ったのかな。



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(Bruce Springsteen)

Released in 1982
From the Album“Nebraska” 

*原詞は太字

Well, they closed down the auto plant
In Mahwah late last month
Ralph went out lookin' for a job
But he couldn't find none

He came home too drunk
From mixin' Tanqueray and wine
He got a gun, shot a night clerk –
Now they call him Johnny 99

そうさ 工場が閉鎖されたんだ
先月末にマワーの自動車工場がな
ラルフは仕事を探しに出かけたけど
見つからなかったんだ

ヤツはひどく酔って帰ってきた
タンカレーとワインのちゃんぽんでな
銃を手に入れ
夜勤のホテルマンを撃っちまった
今じゃ ジョニー99と呼ばれてる

Down in the part of town
Where when you hit a red light,
you don't stop
Johnny's wavin' his gun around
And threatenin' to blow his top

When an off-duty cop snuck up
on him from behind
Out in front of the Club Tip Top, 
They slapped the cuffs on Johnny 99

そこは 町の片隅で赤信号でも
車が止まらない荒れた場所だよ
ジョニーは 銃を振り回し
我慢ならねえと脅してたんだ

非番の警官が背後から忍び寄り
クラブ・ティップトップの前で
ジョニー99は手錠をかけられたんだ

Well, the city supplied a public defender
But the judge was Mean John Brown
He came into the courtroom
and stared poor Johnny down

"Well, the evidence is clear 
Gonna let the sentence, son, fit the crime
Prison for 98 and a year
And we'll call it even, Johnny 99"

市は国選弁護人を手配した
しかし裁判官はミーン・ジョン・ブラウン
ヤツは法廷に入り
哀れなジョニーを睨みつけた

「いいか  証拠は明白だ
判決を言い渡す
懲役98年プラス1年」
…“ジョニー99”ってのはそういうワケさ

A fistfight broke out in the courtroom, 
They had to drag Johnny's girl away
His mama stood up and shouted
"Judge, don't take my boy this way"

"Well, son,
you got any statement you'd like to make
Before the bailiff comes
to forever take you away?"

法廷で殴り合いが起こって
ジョニーの恋人は引きずり出された
母親は立ち上がり叫んだ
「裁判長 息子をこんな風に取りあげないで」

「そうだな じゃあ
何か言っておきたいことはあるか?
執行官が来ておまえを永遠に連れ去る前に」

"Now, judge, judge,
I got debts no honest man could pay
The bank was holdin' my mortgage
and takin' my house away

Now I ain't sayin'
that made me an innocent man
But it was more than all this
that put that gun in my hand

「裁判長 俺は正直言って
払えないほど借金を抱えてた
銀行は俺の住宅ローンを差し押さえ
家を持っていかれちまった

だからといって俺は無実だとは言わないが
それ以上のことがあって
俺に銃を握らせたんだ」

Well, Your Honor,
I do believe I'd be better off dead
And if you can take a man's life
for the thoughts that's in his head

Then won't you sit back in that chair
And think it over, judge, one more time?
And let 'em shave off my hair
And put me on that execution line"
(Woo!)


「裁判長 
もし頭の中で考えたことに
死刑を宣告できるのなら
俺は死んだ方がましだと思ってる

裁判官席に座っていただいて
もう一度よく考え 判決をやり直してくれ
そして執行人どもに 俺の髪を剃らせて
処刑台に送り込んでくれよ」


(Words and Idioms)
Mahwah=マーワー(ニュージャージー州の町)
Tanqueray(タンカレー)=イギリスで製造されるジンのブランド名

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night clerk=ナイト・クラーク=ホテルや宿泊施設で夜間に勤務するスタッフ
blow one's top【意味】 (こらえ切れず)怒りを爆発させる -
slap the cuffs 手錠を掛ける
fit the crime=犯した犯罪に見合った罰や対処がなされる
call it even=貸し借りなしということにする
bailiff=執行官(裁判所で裁判官の命令を実行し、法廷内の秩序を維持する職員)
execution=実行、遂行、処刑

日本語 by 音時

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◆この曲のSongfactsページからトピックスを。

・1984年、ニュージャージー州での選挙活動中、ロナルド・レーガン大統領はスプリングスティーンの音楽をアメリカの誇りの象徴として言及しました。スプリングスティーンは、レーガン大統領は解雇された労働者が殺人に手を染めるというこのような曲を実際には聴いていないと反論しました。

・「ダンシング・イン・ザ・ダーク」と同様に、明るいビートに隠された、殺伐とした歌詞が特徴です。

・ジョニー99に判決を下した判事は「ジョン・ブラウン」という名前で、これはボブ・マーリーの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」に登場する保安官の名前でもあります。ボブ・ディランにも「ジョン・ブラウン」という曲があり、これは戦争に行き、負傷して帰ってきた男を歌っています。

・2000年、ロス・ロボスはアルバム『ネブラスカ』の曲を集めたトリビュートアルバム『バッドランズ』でこの曲を演奏しました。

・ジョニー・キャッシュは1983年にレコーディングしたアルバムのタイトルとしてこの曲を使いました。このアルバムでは、キャッシュがこの曲と『ネブラスカ』の別の曲「ハイウェイ・パトロールマン」をカバーしています。

・歌詞に登場するマワとは、ニュージャージー州の不運な自動車街で、最後のフォード車が1982年に工場を出た場所です。マワはネオR&Bの歌姫フォクシー・ブラウンの故郷でもあります。

◆Johnny 99 (Electric Nebraska) 



◆この曲の演奏で観客を盛り上げるブルース。
“ネブラスカ”でレコーディングした時と彼のなかでこの曲の解釈はどう変わっていったのだろう…?