アルバム「ネブラスカ」から唯一、ブルースのグレイテスト・ヒッツに収録されたのが、この曲“アトランティック・シティ”。
ギターをジャカジャカ歌うブルースの後ろで叫び声をあげ、ハモってくるのもブルース。僕は「心の声が伝わってくる」と思いました。上に貼ったPVに、ブルース自身は登場しません。客観的な立場に身を置いて、ストーリーテラーに徹してるのでしょうか…。
◆「今夜 アトランティック・シティで俺と会おう」という歌詞。
(アトランティック・シティってどんな場所か?)この曲のSongfacts情報より。
・アトランティックシティはニュージャージー州にある貧しい都市で、1976年にギャンブルが合法化されました。1980年代初頭にカジノが建設された際、街の活性化が期待されました。カジノのおかげで人気の観光地となったものの、街自体は依然として荒廃したままです。遊歩道沿いの華やかなカジノと街の景観の間には、際立った対照が見られます。
・アトランティックシティは組織犯罪の温床でもあり、この曲の語り手は財政難に苦しみ、死の必然性を思い悩むため、殺し屋として働いていることが示唆されています。

・主人公が「アトランティックシティで会おう」と言うのは、
「借金や生活の行き詰まりから逃れ、新しい人生の可能性を求めるためです。アトランティックシティは当時カジノで再開発され、希望と絶望が交錯する場所であり、主人公はそこに「再生」の望みを託しているのです」
...と書かれておりました。
◆ブルースは当初はこの曲にクリント・イーストウッド主演の映画『荒野の用心棒』にちなんで「荒野の用心棒」Fistful of Dollars" というタイトルを付けていたようです。1981年後半に別のデモを録音しタイトルを「アトランティック・シティ」に変更されました。
この曲の冒頭の歌詞「フィラデルフィアでチキンマンが爆破された」は、実際にあった事件だったようです。
1981年3月にフィラデルフィアの犯罪組織のボスである、フィル“チキンマン”テスタが、抗争中のライバルのギャングによってフィラデルフィアの長屋に「釘爆弾」 (a nail bomb )を仕掛けられて殺害された事件に触れています。

Songwriter Bruce Springsteen
Released in 1982
US Billboard Hot100
From the Album“Atlantic City”
*原詞は太字
Well, they blew up the Chicken Man in Philly last night
Now they blew up his house, too
Down on the boardwalk, they're getting ready for a fight
Gonna see what them racket boys can do
昨夜フィラデルフィアで“チキンマン”が爆殺された
ヤツの家も爆破されたんだ
遊歩道沿いじゃ ヤツらが抗争の準備をしてる
悪党どもがどんな手を使うか見ものだぜ
Now there's trouble busing in from out of state
And the D.A. can't get no relief
Gonna be a rumble out on the promenade
And the gambling commission's
hanging on by the skin of its teeth
hanging on by the skin of its teeth
州の外からヨソ者がトラブルを持ち込んでる
地方検事は安堵しちゃいられないぜ
遊歩道じゃ大乱闘が起こりそうだ
「賭博委員会」は崩壊寸前だ
Well now, everything dies, baby, that's a fact
But maybe everything that
dies someday comes back
dies someday comes back
Put your makeup on, fix your hair up pretty
And meet me tonight in Atlantic City
ああベイビー すべては死ぬ それが事実さ
だけどいつか
死んだものも戻ってくるかもしれない
死んだものも戻ってくるかもしれない
メイクをして 髪をきれいにセットして
今夜 アトランティックシティで会わないか
Well, I got a job and tried to put my money away
But I got debts that no honest man can pay
So I drew what I had from the Central Trust
And I bought us two tickets on that Coast City bus
ああ 仕事を見つけて貯金しようとしたよ
でも まっとうな仕事じゃ
払えないほどの借金を抱えてた
払えないほどの借金を抱えてた
だから銀行から預金を引き出して
チケットを2枚買ったんだ
チケットを2枚買ったんだ
コーストシティ行きバスの切符だよ
Well baby, everything dies, that's a fact
But maybe everything that dies someday comes back
Put your makeup on, fix your hair up pretty
And meet me tonight in Atlantic City
ああベイビー すべては死ぬ それが事実だ
でも死んでもいつか 戻ってくるかもしれない
メイクをして 髪をきれいにセットして
会おうぜ 今夜アトランティックシティで
Now our luck may have died,
and our love may be cold
and our love may be cold
But with you forever, I'll stay
We're going out where the sand's turning to gold
Put on your stockings, baby
'cause the night's getting cold
'cause the night's getting cold
And maybe everything dies, baby, that's a fact
But maybe everything that dies
someday comes back
someday comes back
今 俺たちの運は尽き
愛は冷めてしまったかもしれない
愛は冷めてしまったかもしれない
でも おまえと永遠に一緒にいるよ
俺たち砂が金に変わる場所へ行こうぜ
ストッキングを履けよ 夜は冷えてくるから
全ては死ぬのかもしれない それは事実だが
でも もしかすると 死んだものだって
でも もしかすると 死んだものだって
いつか戻ってくるかもしれない
Now I've been looking for a job, but it's hard to find
Down here, it's just winners and losers
And don't get caught on the wrong side of that line
Well, I'm tired of coming out on the losing end
So, honey, last night I met this guy
And I'm gonna do a little favor for him
仕事を探してるが なかなか見つからない
ここじゃ 勝ち組と負け組に分かれるんだ
だから その境界線の間違った側に捕まっちゃダメだ
ああ 俺は負けるのはもううんざりさ
だからさ ハニー 昨夜ある男に会って
ヤツにちょっと頼んでみることにしたのさ
Well, I guess everything dies, baby, that's a fact
But maybe everything that dies
someday comes back
someday comes back
So fix your hair up nice and set up pretty
And meet me tonight in Atlantic City
すべてのもの死ぬ ベイビー それは事実
でも死んだものだって
全ていつか戻ってくるのかもしれない
全ていつか戻ってくるのかもしれない
だから 髪をきれいにセットして
おしゃれに着飾って
おしゃれに着飾って
今夜アトランティックシティで会おうぜ
Meet me tonight in Atlantic City
Meet me tonight in Atlantic City
Meet me tonight in Atlantic City
今夜アトランティックシティで会おう
今夜アトランティックシティで会おう
今夜アトランティックシティで会おう
(Words and Idioms)
racket=不正な商売・詐欺・裏稼業 (スラング)
rumble=乱闘・抗争(スラング)
by the skin of its teeth=ギリギリで、かろうじて(Words and Idioms)
racket=不正な商売・詐欺・裏稼業 (スラング)
rumble=乱闘・抗争(スラング)
do a little favor for=(誰かのために)親切なことをする
日本語訳 by 音時

うーん、この歌の主人公は、まっとうな手段じゃ借金を返し生活できない…ことから、「昨夜会った男」に何か「仕事」を頼まれたんでしょうね…おそらくヤバい仕事でしょう…(-_-;)。
◆主人公が繰り返しつぶやく言葉。「すべては死ぬ、でもいつか戻ってくるかもしれない」
「絶望」のなかで「再生」もあると信じてる。アトランティック・シティは彼にとって、そういう場なのでしょう。
恋人への呼びかけ 「化粧をして、きれいにして、今夜アトランティックシティで会おう」という言葉は、単なるデートの誘いじゃなくて、絶望の中で一緒に新しい人生を始めようという呼びかけ、なんでしょうね。
でも彼女は…今夜、アトランティック・シティに来てくれるのでしょうか…?
でも彼女は…今夜、アトランティック・シティに来てくれるのでしょうか…?
◆アルバム「ネブラスカ」…このアルバム、やっぱり歌詞を味わうべきアルバムだよな…。
コメント
コメント一覧 (2)
音時
が
しました
曲の始まりが「フィラデルフィアでチキンマンが爆破された」 サビのあたりでは「死んでもいつか 戻ってくるかもしれない」 怖いですねえ。
アトランティック・シティって、貧しい街なのですね。カジノができて両極化が進んだのかな。希望と絶望が交錯するところ。
絶望の中ではありますが、新しい人生を始めようとしてる主人公。
ブルースは何を訴えようとしているのか…。未だ謎です。
3曲目以降も楽しみ。
音時
が
しました