吹き荒れるヘヴィ・メタル・サウンドは、巨大なモンスターを起こしてしまった。

ブルー・オイスター・カルトの8枚目のアルバム“Fire of Unknown Origin”国内盤の帯に印刷されていたコピーです。この曲“Burnin' For You”はこのアルバムからのシングルカット。ただ、この曲、ヘヴィ・メタルというよりもコーラスもばっちり、イントロのツインリードギターなどもかなりポップ寄り? 久々のトップ40入りもそれゆえ…かな?

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◆ブルー・オイスター・カルトの全米Top40ヒットは2曲のみ^_^;。
和訳コンプリートしました。

(1976)
・(Don’t Fear) The Reaper / 死神  ♯12 (和訳はこちら
(1981)
・Burnin’ For You ♯40

あと記事としては彼らの曲「ゴジラ」を和訳しています。
こちらもぜひ。(和訳はこちら

◆この曲のWikipediaより:

この曲は、ギタリストのドナルド・“バック・ダーマ”・ローザーと、バンドの楽曲の作詞も手掛けたロック評論家でソングライターのリチャード・メルツァーの共作である。ローザーは、ブルー・オイスター・カルトの通常のリードボーカルであるエリック・ブルームに代わって、この曲でもリードボーカルを務めた(バンド最大のヒット曲となった1976年の「(ドント・フィアー) ザ・リーパー」でも同様にリードボーカルを務めた)。

そうなんだ。僕の知っている曲(Top40入りした曲)は通常のリード・ヴォーカルのエリック・ブルームじゃない曲ばかりなんだな(;^_^A。
 このバンドをはかるにはアルバムで聴かにゃあかんぞ。

◆和訳してて、ちょっと珍しくて面白かったのが、

「Time everlasting, time to play B-sides」
という歌詞。

これシングルのB面のことなんだろうな。B面曲は通常は、人気曲のA面とは違って、アルバム収録曲中、次のシングル候補になることはないような曲、が選ばれますよね。(アーティストによっては未発表曲を入れることもあるけど)
 「B面曲を聴く時間がある」ということは、そのアーティストの大ファン!を除いては、きっとたくさんの時間を持て余してる人でしょうか(;^_^A。B面曲を聴く人は「永遠の時間」を持ってる人?ってことかな笑。


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ちょっとこのジャケットの人(人形?)の顔、コワいです…。



(Roeser, Richard Meltzer)

Released in 1981
US Billboard Hot100 ♯40
From the Album “Fire of Unknown Origin”
(邦題は「呪われた炎」)


*原詞は太字

Home in the valley, home in the city
Home isn't pretty, ain't no home for me
Home in the darkness, home on the highway
Home isn't my way, home I'll never be

故郷は谷間にある  街にあるんだ
愛おしくなんかない 俺に故郷なんてない
故郷は暗闇のなか ハイウェイの上
故郷なんてガラじゃない
俺に帰る家なんてない

Burn out the day
Burn out the night
I can't see no reason to put up a fight
I'm livin' for givin' the devil his due

昼を焼き尽くせ
夜を燃やし尽くすんだ
戦いに理由なんてないんだ
俺が生きてるのは
悪魔に当然の報いを与えるためさ

And I'm burnin', I'm burnin', I'm burnin' for you
I'm burnin', I'm burnin', I'm burnin' for you

俺は燃えている 燃えてるんだ なにかに
俺は燃えている 燃えてるんだ なにかに


Time is the essence, time is the season
Time ain't no reason, got no time to slow
Time everlasting, time to play B-sides
Time ain't on my side, time I'll never know

時間は重要さ  物事は移り変わっていく
時間に理由なんてない  立ち止まるヒマもない
時間は永遠だ  B面をかける時間だってある
だが 時間は俺の味方じゃない
俺には理解できそうにない

Burn out the day
Burn out the night
I'm not the one to tell you
what's wrong and what's right
I've seen suns that were freezing
and lives that were through

昼を焼き尽くせ
夜を燃やし尽くせ
何が間違って何が正しいか
指図するのは俺じゃない
凍りつくような太陽も
打ちのめされた人生も俺は見てきた

But I'm burnin', I'm burnin', I'm burnin' for you
I'm burnin', I'm burnin', I'm burnin' for you

俺は燃えている 燃えてるんだ なにかに
俺は燃えている 燃えてるんだ なにかに

[Guitar Solo]

[Pre-Chorus: Buck Dharma]
Burn out the day
Burn out the night
I can't see no reason to put up a fight
I'm livin' for givin' the devil his due

昼を焼き尽くせ
夜を燃やし尽くすんだ
戦いに理由なんてないんだ
俺が生きてるのは
悪魔に当然の報いを与えるためさ

And I'm burnin', I'm burnin', I'm burnin' for you
I'm burnin', I'm burnin', I'm burnin' for you
I'm burnin', I'm burnin', I'm burnin' for you
I'm burnin', I'm burnin', I'm burnin' for you

俺は燃えている 燃えてるんだ なにかに
俺は燃えている 燃えてるんだ なにかに
俺は燃えている 燃えてるんだ なにかに
俺は燃えている 燃えてるんだ なにかに


日本語訳 by 音時


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うーん、この曲、国内でシングル発売はなかった様子ですが、国内盤アルバムでは“お前に焦がれて”という邦題が付いています。まあ“Burnin’ For You”ですものね。

でも…ラヴ・ソングかというと、違うような…。

◆この曲の主人公、
“Home”を否定し、自分には故郷はないものとし、
“Time”について自分の考えを語りつつ、最後には自分には理解できないものと感じ、
自分の生きる目的は“悪魔に報いを与えるため“
“Living for giving the devil his due”
としています。

うーん、そうしたことを飛び越えても、ある人(You)への恋愛に自分の身を焼き尽くすほど捧げたい、って歌っているんだろうか?あまりそうは思えませんでした。


◆“I'm burning for you”と繰り返されるフレーズは 何かに突き動かされる衝動を表しているように思います。その対象である“You”は人間とは限らず、もっと抽象的なもの——たとえば目的、信念、逃れられない運命、あるいは自己破壊的な衝動—なんて解釈しちゃっても許されますかね(;^_^A。


◆ちょっと勝手な解釈をしてしまったので、海外のファンはこの曲をどんな風に聴いてるのかな?と思い、この曲の「Songmeanings」ページを除いてみたら…おっすごい「66人」もカキコミをしているぞ。(こちらのページです)

そのうち一番先に出てくる(15人が「いいね」している)方のカキコミがちょっと興味深いです。

その方(randy91さん)は、この曲は小説「オン・ザ・ロード」(ジャック・ケルアック)をモチーフにしてるんじゃないか?という指摘。

これについては言及されていないが、この曲は明らかにジャック・ケルアックの小説『On The Road』について書かれたものだ。50年代後半、二人の男が田舎を放浪し、様々な悪事に手を染め、ドラッグに手を出し、愛を探し求める物語だ。ケルアックは小説の中に何度か登場する架空の歌まで書いている…歌詞は「ミズーラの家、トラッキーの家、オペルーサスの家、俺の家はない、

オールド・メドラの家、ウンデッド・ニーの家、オガララの家、俺は決して帰れない家」。『バーニン・フォー・ユー』の冒頭の歌詞が明らかにケルアックの歌をリライトしたものだというだけでなく、二人の主人公は時間を含め、様々なことについて哲学的な議論を繰り広げ、そのうちの一人(ディーン・モリアーティ)にはちょっとしたキャッチフレーズのようなものがある。彼は本の中で「WE KNOW TIME(私たちは時間を知っている)」と24回も言っています。

ジャック・ケルアック「オン・ザ・ロード」文庫化!(河出書房)

この小説は読んだことはないのですが、ちょっと面白そうです…!