アルバムのラスト、締めくくりはまたトラディショナルソング。
(A面でも、B面でもトラディショナルで締めくくるというのはもちろん意図してのことでしょうね)

◆“Old Paint”…僕はずっと古い油絵か何かを歌っているんだと思っていました。

違ってましたね。この曲の正式タイトルは“I Ride an Old Paint”。

アメリカ西部のカウボーイ文化を描いた古いフォークソングです。1920年代にカウボーイたちの間で歌われていた伝承歌で、詩人カール・サンドバーグが収集・紹介したことで広まった曲のようです。

“ペイント”は“ペイントホース”のことを歌っているのでしょう。

Wikipedia“Paint Horse”... ペイントホースは、その鮮やかな毛色と運動能力で知られる馬の品種です。北米で改良されたペイントホースは、牧畜馬の体格特性と、特徴的な白と黒の毛色を兼ね備えています。特徴的な毛色で知られ、典型的にはトビアノ、オベロス、トベロスなどが挙げられます。ペイントホースの登録には、親にペイントホース、または登録済みのペイントホースの親が含まれ、特定の毛色を示すことが条件となります。ペイントホースは用途が広く、乗馬、牧場作業、そして様々な馬術競技に広く利用されているため、あらゆる年齢層のライダーに人気があります。

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(Traditional)

Released in 1977
From the Album“Simple Dreams” 

*原詞は太字

I ride an old paint
I lead an old dam
I'm going to Montana
To throw a houlihan
They feed in the coolies
They water in the draw
Their tails are all matted
Their backs are all raw

俺は古いペイントホースに乗って
年老いた母馬を引いている
モンタナへ行って
投げ縄(フーリハン)をするんだ
馬はは小さな谷で草を食べ
浅い谷で水を飲む
しっぽはみんな絡まって
背中は生傷だらけ

Ride around
Ride around real slow
The fiery and the snuffy
are raring to go


馬に乗って
のんびり馬に乗って
激しいヤツも気難しいヤツも
走り出したくてうずうずしてる

Old Bill Brown
Had a daughter and a son
One went to Denver
And the other went wrong
His wife she died in a poolroom fight
And still he keeps
singing from morning til night


年老いたビル・ブラウン
娘と息子がいたんだ
一人はデンバーへ行き
もう一人はうまくいかなかった
妻はビリヤード場での喧嘩で死んだ
それでもヤツは
朝から晩まで歌い続ける

Ride around
Ride around real slow
Well the fiery and the snuffy
are raring to go


馬に乗って
のんびり馬に乗って
激しいヤツも気難しいヤツも
走り出したくてうずうずしてる

Well when I die
Take my saddle from the wall
Put it on my pony
And lead him from his stall
Tie my bones to his back
Turn our faces to the west
And we'll ride the prairie
That we like the best

そうさ 俺が死んだら
壁から鞍を外して
仔馬に乗せて
馬小屋から連れ出してくれ
俺の骨を背中に結びつけて
西に顔を向けよう
そして大草原を駆け抜けるのさ
俺たちが一番好きな場所をね

Ride around
Ride around real slow
Well the fiery and the snuffy
are raring to go


Ride around
Ride around real slow
Well the fiery and the snuffy
are raring to go


馬に乗っていこう
ゆっくりゆっくりとね
だけど 馬たちは皆
走り出したくて仕方ないんだ

(Words and Idioms)
dam=母馬
houlihan=(カウボーイ用語)
回転させて投げる投縄の技のこと。牛や馬を捕まえるためのロープの投げ方

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coolie=クーリー=「窪み」は同義語として使用され、谷の中で最も小さい谷を指す
draw=〈米〉小さな谷、浅い渓谷、枯れ川
matted=もつれた、絡まった
snuffy=いびきや鼻が詰まった様子を指す形容詞
be raring to go=今か今かと待ち切れない
stall=頭の馬・牛を入れる)馬屋[牛舎] (stable) のひと仕切り.

日本語訳 by 音時

1977 Simple Dreams - Linda


リンダがこの曲で歌っているのは、馬とともに旅するカウボーイの人生。彼は馬とともに生き、死んだ後も馬と草原を駆けたいと思っています…。




はい、A面5曲、B面5曲の計10曲。このアルバム「Simple Dreams」の収録曲の全曲和訳をしてきました。いかがだったでしょうか。
 気合いの入ったロック・ヴォーカルに、もう一方でしっとり情感を込めたバラード。そしてゆったりとしたカントリーソング…。「アメリカの歌姫」と異名をとったリンダならではの傑作がこのアルバムだよなあと思いました。

◆なんか実際にこのアルバムを聴いたのは、僕は正直に言うと「CD」になってからでした。
でも全曲和訳してみて、“今日はA面にしようかな?B面にしようかな?”と迷いたくなるアルバムだなと思いました。 構成が似てるんですよ。各面1曲めがオールド・ソングで、シンガー・ソングライターの佳曲が挟まって、ラストがトラディショナルってところが。

 リンダが歌うカバー曲は誰が見つけてきて、歌うことを勧めたんでしょうかね。ウォーレン・ジーヴォン、エリック・カズ、ワディ・ワクテルにJ.Dサウザーというシンガーソングライターの曲に、バディ・ホリーやロイ・オービスンのオールド・ソング、ストーンズのロックナンバー、そしてトラディショナルなフォークソング。
 やっぱりアルバムのプロデューサーのピーター・アッシャーの手腕でもあるんだろうな。

 僕はきっとこれからもこのアルバム、たまに聴きたくなって聴いていくんだろうな。

10曲(10夜)お付き合いいただきありがとうございました。
このアルバムが、あなたにとっても愛聴盤になることを願ってます…!


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