アルバム「夢はひとつだけ」のA面4曲めは、ピアノの演奏のみをバックにリンダが感情を込めて歌うバラード“Sorrow Lives Here”。こういう歌は、リンダの歌唱の真骨頂のように思います。

 邦題は“悲しみのハート”か…うーむ、ちょっと薄い感じ(;^_^A。“悲しみ(Sorrow)”が“Here(ここ)”に“住み着く(Live)”な感じが出ていない。じゃあ「心に住み着いた悲しみ」か?…直訳しすぎだな…。

◆作者はエリック・カズ(Eric Kaz)。おお、リンダがかつて歌った“Love Has No Pride”の作者ではないか。

Love Has No Pride / 愛は惜しみなく1973

エリック・カズ(Wikipedia)より:
Eric Kaz、1946年1月21日- )は、ニューヨークのブルックリン区で生まれたアメリカ人シンガーソングライター。自身のソロ作品に加えて、ブルース・マグースの4枚目と5枚目のアルバム、『ネヴァー・ゴーイン・バック・トゥ・ジョージア』『ガルフ・コースト・バウンド』にメンバーとして参加した。カズはASCAPとCMAから多くの称賛と賞を受賞し、ポップスとR&Bでトップ10ヒット、ジョージ・ストレイトによるナンバー1カントリー・ヒットと、 マイケル・ボルトンによる「That's What Love is All」を含む他の数多くのアダルト・コンテンポラリーとして知られるヒットをとばした。

マイケル・ボルトンのこの曲も好きだなあ…。
That's What Love Is All About / この胸にときめきを
(Michael Bolton / マイケル・ボルトン)1987 ♯19


81oWFLp9FVL._AC_SX679_

(Eric Kaz)

Released in 1977
From the Album“Simple Dreams” 

*原詞は太字

If you see a friend and he tries to say
A girl we once knew is losing her way
It's true

I may be blue
I've seen the best years of life go through
A man that I love
And another I need
Both men have helped make the sad life I lead

“私たちの知ってたあの娘が
自分の道を見失ってた”と
友たちが言ってたらそれは本当のことよ

私は感情が不安定なのかもしれない
人生の最高の時期が過ぎ去るのを見てきたわ
愛している人と
必要としている人がいて
二人の男が私の悲しい人生を形作ってきたの

Sorrow lives here in my heart
It haunts me when I sleep
I can't keep the thought of you from my dreams
Everything seems to spin all around
But I can't see
Whether it happens with or without me

悲しみはここ 私の心の中に住み着いて
眠るときも私を悩ませる
夢からあなたのことを思い出さずにいられない
すべてがぐるぐる回っているように見える
だけど私には見えてない
それは私がいてもいなくても起こるのか


Remember how perfume,
my gown and silk gloves
Had teased your heart so
and brought out your love
It's done

Night's breeze has blown
A chill up my spine
The world was mine
Then haughty and high
To bide my time
'Til all of my hopes
Just wish you were mine

思い出して どんなだった?
香水 私のガウン そしてシルクの手袋
それらがあなたの心をくすぐり
あなたの愛を引き出していたことを
すべてが終わってしまった

夜風が吹いて
私の背筋を凍らせる
世界は私のものだった
その時 私は高飛車で傲慢で
悠然と時を待っていたのに
でも 私に残っているのは
あなたを手に入れたいという思いだけ


Sorrow lives here in my heart
It haunts me when I sleep
I can't keep the thought of you from my dreams
Everything seems to spin all around
But I can't see
Whether it happens with or without me

悲しみはここ  私の心の中にある
眠るときも私を悩ませる
夢からあなたのことを思い出さずにはいられない
すべてがぐるぐる回っているみたいなのに
でも私には見えてない
私はいてもいなくても関係ないかもしれない…


(Words and Idioms)
bide=「(好機などを)待つ」
bide one’s time(好機を待つ)

日本語訳 by 音時

1977 Simple Dreams - Linda


この曲の主人公(の女性)…いろんな思いが交錯していますよね…。

「人生最高の時」にも、愛するひとと必要なひととの間で気持ちが揺れていた…。
悲しみが心に住み着いて、いろんなことを思い出させます。
でも彼女、自分が世界や相手の人生にとって意味のある存在だったのかどうか?なんてことまで考えてしまってます。(私がいても いなくても関係なかったんじゃないか)

そしてかつては、
「世界は私のものだった」と感じていた(高飛車で傲慢だった自分がいた)のに、いまは「あなたを手に入れたい」ことしか考えられなくなっている自分…この落差が、片思いの苦しさや人生の虚しさを強く表しているように思います…。

◆エリック・カズって心の機微を歌詞に表現する、すごいソングライターだな。そしてその歌を歌いこなすリンダもすごいシンガーであると実感させる一曲です。