エルヴィス没後48年の命日、今年の3曲のラストを飾るのはエルヴィスのキャリアのなかで、最後のビルボードHot100ヒットがこの曲“ギター・マン”。

エルヴィスが天国に逝ってしまった1977年の後、1980年に全米最高位28位になっています。

エルヴィス、R.I.P…。

(ちなみに8月16日が命日という偉大なアーティストはエルヴィスだけではありません。
クイーン・オブ・ソウルと言われたこの方も…追悼の和訳記事を後ほど挙げたいと思います)

◆この曲のオリジナルは1967年のジェリー・リード。ビルボード・カントリー・ミュージック・チャートで53位まで上昇しました。エルヴィスがすぐにカバーし、リードのギターに乗せて歌い、このコラボレーションはビルボードの「ホット・カントリー・シングル」チャートで1位を獲得します。

この時のレコーディングの裏話がWikipediaに載っていました。

エルヴィスはこの曲をレコーディングしようと試みたものの、ジェリー・リードがオリジナル盤にもたらしたサウンドに到底及ばず…。 RCAはリードを探し出し、ナッシュビルにあるRCAスタジオBでのセッションに彼を招き入れました。リードがギターを追加オーバーダビングし、テイク終盤でエルヴィスがアドリブでレイ・チャールズの「What'd I Say」(エルヴィスは1963年のアルバム『Viva Las Vegas』でこの曲をカバーしていました)をカットする編集が行われた結果、12番目のテイクが最終的に1968年のシングル・マスターとなりました。
(ピーター・グラルニックによるプレスリーの伝記2巻本による)

そして、1977年8月16日のエルヴィスの死後、プロデューサーであるフェルトン・ジャーヴィスの監修の下、1980年に(部分的に)再録音され、ジェリー・リードが独特のギター・リックを再び演奏する新しいバックトラックが収録され、リリースされます。そして1981年に“Guitar Man”は再度チャートにエントリーし、Hot100チャートで最高位28位、カントリー・チャートで1週間1位を獲得します。

◆この曲で歌われている“Guitar Man”。酒場で店と契約をして、リクエスト曲をギターを弾いて歌ってくれるようなミュージシャンのことかな。(“Piano Man”といえばビリー・ジョエル、ですね)

この曲の原詞を参考にしたサイト(Genius.com)の解説には、

ジュークボックスが広く普及していた 50 年代後半から 60 年代前半にかけて、クラブのオーナーは、ジュークボックスとは違って一晩中演奏し続けることができないミュージシャンを雇うことに消極的で、その上に追加で報酬を要求する傾向がありました。

…とこんなことも書かれていました。こんなあたりを念頭に置いて物語を楽しむといいのかもしれません!

しかし、冒頭のギターを弾くエルヴィス、カッコいいですね。ギターも上手い!


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Songwriter(s) Jerry Reed

Released in 1981
US Billboard Hot100 ♯28

*原詞は太字

Well, I quit my job down at the car wash
I left my mama a goodbye note
By sundown I'd left Kingston
With my guitar under my coat
I hitchhiked all the way down to Memphis
Got a room at the YMCA
For the next three weeks I went hunting them nightclubs
Just looking for a place to play
Well, I thought my picking would set them on fire
But nobody wanted to hire a guitar man

ああ 車を洗う仕事とはおさらばさ
母親に別れの手紙を残して
日が暮れる頃にはキングストンを出たんだ
コートの下にギターを抱えて
メンフィスまでヒッチハイクした
YMCAに部屋を借りて
それから演奏できる場所を探して
3週間 ナイトクラブを漁り回った
俺の弾き語りで大盛り上がりすると思ったのさ
だけど 誰もいなかったのさ
ギターマンを雇ってくれるヤツはね

Well, I nearly about starved to death down in Memphis
I run out to money and luck
So I bought me a ride down to Macon, Georgia
On a overloaded poultry truck
I thumbed on down to Panama City
Started picking out some of them all night bars
Hoping I could make myself a dollar
Making music on my guitar
I got the same old story at them all night piers
"There ain't no room around here for a guitar man"
"We don't need a guitar man, son"

メンフィスじゃもう少しで餓死するところ
金と運が尽きちまったよ
それでジョージア州メイコンまで乗せてもらった
過積載の養鶏トラックで
パナマシティまでヒッチハイクして
少しでも金を稼がなきゃと
深夜営業のバーを探し始めたのさ
俺のギターを聴かせようとしたのさ
深夜営業の桟橋で 同じ話を聞かされた
「この辺りにゃ ギターマンの居場所はない」
「俺らに ギターマンは必要ないのさ  坊や」

So I slept in the hobo jungles
Roamed a thousand miles of track
Till I found myself in Mobile, Alabama
At a club they call Big Jack's
A little four-piece band was jamming
So I took my guitar and I sat in
I showed them what a band would sound like
With a swinging little guitar man
Show them, son

だから俺はホーボージャングルで寝泊まりさ
何千マイルも線路をさまよった
そして気づくとアラバマ州モービルにいた
ビッグ・ジャックスというクラブでね
小さな4人組のバンドがジャムセッションをしてた
だから俺はギターを持ってそこに座り
バンドがどんな風になるのかを見せてやった
スウィングする ちょっとしたギター野郎がいると
どうなるかってさ 見せてやるよ


If you ever take a trip down to the ocean
Find yourself down around Mobile
Make it on out to a club called Jack's
If you got a little time to kill
Just follow that crowd of people
You'll wind up out on his dance floor
Digging the finest little five-piece group
Up and down the Gulf of Mexico
Guess who's leading that five-piece band
Well, wouldn't you know,
it's that swinging little guitar man

もし海辺を旅して
モービルあたりに行くことがあれば
ジャックスというクラブに行ってみろよ
そして もし少し時間があったら
あの人の流れについていけば
気づけばダンスフロアにいるだろう
メキシコ湾沿岸の
最高の5人組バンドの演奏を見つけるんだ
その5人組バンドを率いているのは誰だと思う?
そう まさかだぜ
あのときのちょっとしたノリノリのギターマンさ!

(Words and Idioms)
Poultry=家禽 (かきん)、家禽の肉、鳥肉
pier= 桟橋、埠頭 、遊歩桟橋、橋脚、せり持ち
hobo jungle =ホーボー・ジャングル=主にアメリカの都市や町の周辺に存在する、ホームレスや旅人(ホーボー)が集まる非公式なキャンプ地や集落を指す。
wind up   (…という)羽目になる, 結局…になる、終わりにする

日本語訳 by 音時


127-47-9425



◆僕が調べたこの曲の歌詞ですが、さらに続きがありました。(Genius.com)
通常のスタジオ版には含まれていない“失われた”ヴァースが存在します。

これは1968年のTVスペシャルなどで披露された追加の歌詞で、彼の人生と音楽への姿勢をより深く掘り下げた内容になっています。ジャックスというクラブでノリノリの「ギターマンとして名を馳せた」のは彼のゴールではありませんでした。彼の人生の旅路はまだ終わってはいませんでした。

◆エルヴィスが芝居する、魅力いっぱいの12分44秒ある動画です。Guitar Manのエンディングは最後の最後、11分58秒から。下記の歌詞を歌って締めくくられます。



Well, I came a long way from the car wash
Got to where I said I'd get
Now that I'm here I know for sure
I really have not got there yet
Think I'll start all over
Swing my guitar over my back
I'm going to get myself back on the track
I'll never, never ever look back
I'll never be more than what I am
Wouldn't you know
I'm a swinging little Guitar man

ああ 俺は車洗いから随分遠くまで来たよ
目指した場所には たどり着いた
でもいま ここに来てわかったんだ
本当の意味じゃ まだ辿り着いてないんだって
俺は最初からやり直そうと思う
ギターを背中に担いで
元の道に戻るんだ
絶対に二度と振り返らない
俺は俺以上の存在にはなれないんだ
知ってるかい?
俺はノリノリのギター・マンさ


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