ラジオ番組「全米トップ40」では数カ月に1度、スペシャル・プログラムがあって、過去のヒットのランキングを教えてくれたりするので、逃してはなるものかとカセットに番組ごと保存したりしてチャートの勉強(!)をしていました。そのとき、過去ヒット曲のサビ・コーラス部分を繋ぎ合わせたものをメドレーで流してくれるのも楽しみでした。
◆そのなかでこの曲「Baby Don't Get Hooked On Me」もやはりコーラス部分が使われていて、記憶に残りました。「邦題は"愛は心に深く"っていうのか」、「全米1位を3週続けた大ヒット~名曲なんだな!」とインプットしました。邦題から言っても「ラヴソング」なんだなと思っていました。いつかは訳そうという候補曲の1つでありました。でも…。
◆こういう歌詞だとは思ってなかったな~。「俺にホレちゃいけねーぜ」って、そんな感じ。これが「愛は心の深く」か…(^_^;)。
get hooked on ~に夢中[病みつき・中毒]になる、~にはまる (英辞郎)

Songwriters Davis, Mac
Lyrics c Sony/ATV Music Publishing LLC
Released in 1972
US Billboard Hot100#1(3)
From The Album"Baby Don't Get Hooked on Me“
*原詞は太字Girl, you're gettin'
that look in your eyes
And it's startin' to worry me
なあ おまえの目をみりゃ
俺にだんだん惚れ始めてるのがわかる
そいつは俺を悩ませるのさ
I ain't ready for no family ties
Nobody's gonna hurry me
俺は家族を作るつもりはないし
誰も俺をせかしたりしない
Just keep it friendly, girl,
'cause I don't wanna leave
Don't start clingin' to me, girl,
'cause I can't breathe
なあ 仲良くやっていこうぜ
俺は別れたくないんだ
俺にまとわりつくのはやめてくれよ
息が詰まっちまうから
Baby, baby,
don't get hooked on me
Baby, baby,
don't get hooked on me
'Cause I'll just use you
then I'll set you free
Baby, baby,
don't get hooked on me
ベイビー ベイビー
俺のこと好きになるんじゃないぜ
ベイビー ベイビー
俺に はまるなんてよしておけよ
だって 俺は
おまえを都合よく使っては
バイバイするだけなんだからさ
ベイビー ベイビー
俺はやめておけよ
Girl, you're a hot-blooded woman-child
And it's warm where you're touchin' me
おまえは熱愛タイプのおませな娘だな
おまえに触れられると熱くなっちまう
But I can tell by your tremblin' smile
You're seein' way too much in me
だけどおまえのひきつった笑顔を見りゃわかる
おまえは俺には重たすぎるぜ
Girl, don't let your life
get tangled up with mine
'Cause I'll just leave you
I can't take no clingin' vine
なあ 俺の人生に
巻き込まれるようなことはするなよ
だって俺は離れていくことになるからさ
俺はまとわりつかれるのはイヤなのさ
Baby, baby,
don't get hooked on me
Baby, baby,
don't get hooked on me
'Cause I'll just use you
then I'll set you free
Baby, baby,
don't get hooked on me
ベイビー ベイビー
俺のこと好きになるんじゃないぜ
ベイビー ベイビー
俺に はまるなんてよしておけ
だって 俺は
おまえを都合よく使っては
バイバイするだけなんだからさ
ベイビー ベイビー
俺はやめておけよ
(Words and Idioms)
family tie=族縁
get hooked on ~=~に夢中になる ~にはまる
tremble=人・手足などが震える,身震いする
see=交際する、デートする
way too~=すごく~すぎる
get tangled up=すっかりこんがらかってしまう
clinging vine=張り付いている蔓(つる)→他人に頼る人
日本語訳 by 音時


◆マック・デイヴィスはカントリーのシンガー・ソングライターであり俳優。エルビス・プレスリーへの楽曲提供などでも知られています。俳優としては映画「スティングⅡ」などにも出演していて、今でもバラエティ・ショーやブロードウェイ・ミュージカルなどでも活躍しています。
◆1973年のビルボード誌のインタビューでマック・デイヴィスがこの曲についてこう話しています。
プロデューサーのリック・ホールの依頼でこの曲を書いたんだ。それも"フレーズの繰り返し(hook)"があるようなシングル向けのものを作ってくれって話だったんだ。まず最初に書いたのがこの曲の中に出てくるフレーズであり、メロディ・ラインだったんだ。これを聴いたリックはまだ曲も完成していないのに「ウン。これはきっと1位になりそうな曲だよ。レコーディングしよう!」と言って行動を開始したのです。
出典:ビルボードNo1ヒット1971-1985 下(音楽之友社)
マック・デイヴィスは"hookのある曲"ってリクエストされて、印象に残るフックを作りましたが、歌詞の上でも"hook"って単語を用いて曲を書いたんですね!そのシャレたあたりも、この曲のヒットの要因なのかな?
◆歌詞に出てくる"clingin' vine"なんて熟語も意味が面白かったです。
◆"愛は心に深く"が1位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles Week Ending 23rd September, 1972
スリー・ドッグ・ナイトに代わって1位になります。トップ10には名曲ばかり。ギルバート・オサリヴァンとエリック・カルメン(ラズベリーズ)、マイケル・ジャクソンが同じチャートにランクインされている!のを見るだけでコーフンものです( ゚Д゚)!
1 2 BABY DON’T GET HOOKED ON ME –•– Mac Davis (Columbia)-13 (1 week at #1) (1)
2 1 BLACK & WHITE –•– Three Dog Night (Dunhill)-7 (1)
3 4 SATURDAY IN THE PARK –•– Chicago (Columbia)-8 (3)
4 5 BACK STABBERS –•– The O’Jays (Philadelphia International)-10 (4)
5 3 ALONE AGAIN (Naturally) –•– Gilbert O’Sullivan (MAM)-15 (1)
6 13 BEN –•– Michael Jackson (Motown)-8 (6)
7 16 EVERYBODY PLAYS THE FOOL –•– The Main Ingredient (RCA)-10 (7)
8 9 HONKY CAT –•– Elton John (Uni)-7 (8)
9 12 GO ALL THE WAY –•– The Raspberries (Capitol)-13 (9)
10 7 ROCK AND ROLL (Part 2) –•– Gary Glitter (Bell)-10 (7)
◆な、なんだ…?水槽の中?で歌うマック・デイヴィス。
魚が寄ってくるけど…ああ、Don't Get Hooked On Me (俺に釣られるんじゃないぜ)ってことか(笑) 豚の鼻をした人魚!?
◆「Rock & Roll(I Gave You The Best Years Of My life)」。1975年に最高位15位のヒットとなりました。(この曲が最後のトップ40ヒットとなってしまいました)
◆マック・デイヴィスがエルビスに提供した楽曲「In The Ghetto」。
1969年に全米3位のヒットとなりました。
コメント
コメント一覧 (4)
カントリーを聴くと,頭の中ではアーティスト全員にカウボーイハットをかぶせてました(笑)
これ、僕もそうです!笑った😆
音時
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音時
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音時
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マックの甘い歌声、いいですね。(曲の終わり方は時代を物語っています 笑)
「俺にホレちゃいけねーぜ」という内容なのですね。ビックリ。
「家族を作るつもりはない。だけど、別れたくないから仲良くやっていこう」ですって? そんな我儘な…。
この主人公、心の深くでは、彼女を好きなんじゃないかな? (複雑な男心…)
音時
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