この曲、初めて聴いたときは、「昭和のエレキ歌謡?」と思いました。イメージしたのはそのノスタルジーを表現されたサザン・オールスターズの「そんなヒロシにだまされて」(アルバム「綺麗」収録)でした。

 アルバム「Detour(邦題:ディトゥアー 〜回り道〜)」(2016年リリース;2025現在のところシンディの最新アルバム)収録のこの曲。調べてみると「昭和歌謡」ではなく、「クイーン・オブ・ザ・ロカビリー」の異名を持つ、ワンダ・ジャクソン(Wanda Jackson)のカヴァー曲(1961年)なんですね。
(ワンダについては、和訳の後で少々情報を…)

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◆シンディは2000年以降、自身で曲を書くのはミュージカルやドラマのためのものとなり、アルバムや創作活動はほぼカバー曲で、そこにどうシンディらしい解釈を入れるのかが創作活動の中心になりました。

アルバム「Detour」について、シンディはこう言ってます。
「私がほんとに小さな子供だった頃、カントリー・ミュージックはポップ・ミュージックだったから、こういうのを聞いて育ったのよ。取り上げた歌は私のうんと古い記憶の一部だから、それを振り返るのはものすごくワクワクしたわ」(amass.jp)


◆“Funnel”…僕にとっては今まで出会ったことがなかったWordでした。
英辞郎on the webで調べてみると…


【名】じょうご、〔汽船などの〕煙突、じょうご状のもの、通風筒
とあり、
「天才英単語」のサイトでは…

funnelという単語は「漏斗(もと)」「細長い通路」を意味します。この言葉は、通常、上部が広がり下部が狭くなっている形状を持つものを指します。特に液体を注ぐときに使用される道具であり、物体やデータの流れを制御するために役立ちます。

とありました。

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うーむ、ってことは“Funnel of love”とは、「入口は広いけど、途中は細長い通路」「長い通路だが出口は必ずある」「出た時には、真っ黒にすすけている」(煙突であれば)…そんな愛、をイメージしますね。



Songwriter(s)
Charles McCoy、Kent Westbury
Released in 2016
From the album“Detour”

* Detour という単語の意味:迂回路、回り道


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*原詞は太字


Here I go, going down, down, down
My mind is a blank,
my head is spinning around and around

As I go deep into the funnel of love


そうよ 下へ下と落ちていく
頭は真っ白 
ぐるぐると回り続け
落ちていく先は まるで愛の漏斗(ろうと)…

It's such a crazy, crazy feeling
I get weak in the knees
My poor old head is a reelin'
As I go deep into the funnel of love


なんてクレイジーな気分なの
膝がガクガクしてる
恋愛猛者のアタシでもめまいがしてる
出口はずっと先の愛の煙突…


I tried and I tried, to run and hide
I even tried to run away
Ya just can't run from the funnel of love
It's bound to get you someday


何度も何度も逃げて隠れようとした
逃げようとさえしたのよ
だけど愛の漏斗からは逃げられない
あなただって いつか必ず捕まるわ

It's such a crazy, crazy feeling
I get weak in the knees
My poor old head is a reeling
As I go deep into the funnel of love


なんてクレイジーな気分なの
膝がガクガクしてる
恋愛猛者のアタシでもめまいがしてる
出口はずっと先の愛の煙突…


I tried and I tried, to run and hide
I even tried to run away
Ya just can't run from the funnel of love
It's bound to get you someday


何度も何度も逃げて隠れようとした
逃げようとさえしたのよ
だけど愛の漏斗からは逃げられない
あなただって いつか必ず捕まるわ

Here I go, going down, down, down
My mind is a blank,
my head is spinning around and around

As I go deep into the funnel of love

そうよ 下へ下と落ちていく
頭は真っ白 
ぐるぐると回り続け
落ちていく先は まるで愛の漏斗…

Deep into the funnel of love
Deep into the funnel of love

愛の煙突に落ちていく
愛の漏斗に落ちていくのよ…

(Words and Idioms)

blank=白紙の, 空白の; 空の, 中身がない
日本語訳 by 音時

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◆funnel of loveを「愛の煙突」と訳すと、入口が大きく出口が狭い、漏斗の形じゃなく直方体のイメージになるし、「愛の漏斗」と訳すと長さが短い感じがします。ちょうどいい感じの日本語が見つかりません。困った…☹️
 で、そういうときは音時和訳スタイルとして、どうするかというと…

 ・どちらか一方にせず、両方を採用して併記する!
 ・1st Verseと2nd Verseやコーラス部分でその部分の和訳を変える!

かしこい? いや、ズルい!これはアマチュアだからできることですよね (^_^;)

あとそのほかですが…主人公は“My poor old head ”の持ち主とのこと。
“old”っていうのは、ただの年齢ではなくて「恋愛経験が豊富なこと」かなと思いました。
その場合の“poor”てのは「見境なく恋に落ちやすい(恋に騙されやすい?)」こと?


◆ワンダ・ジャクソンのことで少々コメントを。





・ワンダの“Funnel of Love“はシングルとしてリリースされた“Right or Wrong“のB面だったんですね。ですがB面ながらもこの曲は高い評価と注目を集め、ファンや批評家の間で人気となりました、ワンダの最高傑作の一つと評する声も多くあるようです。

・“Funnel Of Love”のWikipediaにアデル(Adele)との関係についての情報が出ていました。

「Funnel of Love」は、イギリスのソウルアーティスト、アデルをはじめとする新進気鋭のミュージシャンにもインスピレーションを与えています。アデルはワンダに彼女に、「Funnel of Love」を聴いていなければ、2010年のシングル「Rolling in the Deep」は生まれなかったかもしれないと語っていたそうです。これはすごい話だな(^_^;)。

Wandaimages

 2010年、アデルはワンダの音楽が彼女に与えた影響について「ヒットアルバムにハマったの」と語っています。「彼女はすごく生意気(cheeky )で、すごくみだら(raunchy)なの。まるで女性版エルヴィスみたい。すごくセクシーで、恥をかくことも恐れないの」。
 こうした関係のなか、ワンダは2011年から2012年にかけて北米やイギリスでアデルのオープニングアクトを務めました。(こちらご参照)


◆Saturday Sessions: Cyndi Lauper performs "Funnel of Love"