この曲“Helen Wheels(愛しのヘレン)”を、このB面3曲めで入れるか、それとも“Band On The Run”AB面全曲和訳をしてからプラスでやるかを悩んだのですが、ここで入れることにしました!

◆はい、僕の持っている“Band On The Run”のアルバムに“Helen Wheels”は収録されていませんが、「アメリカ盤」はこの位置に入っているんですよね。

アルバム『バンド・オン・ザ・ラン』のために行われたラゴスでのレコーディング・セッションで制作された。ポールは元々アルバム『バンド・オン・ザ・ラン』に収録するつもりはなかったが、全く新曲ばかりのアルバムを発売することにレコード会社が難色を示したため、アメリカ盤に収録された。
                              (この曲のウィキペディアより)

このあたりが各国の違いなんだろうけど、米国はアルバムの販売は「リードシングル」があって、それが収録されているニューアルバム、として売るというやり方だったんだろうな。

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はい、B-3に“Helen Wheels”が入ってますね。

◆日本の小中学生の僕はこの曲は当然邦題「愛しのヘレン」でインプットしましたので、ヘレンという女性を歌ったものだと思ってました。(奥さんのリンダさんのいる前でよく「愛しのヘレン」を歌えるものだと…)(-_-;)。

…違ってましたね。ヘレンとは…

僕が大金を出して購入した(苦笑)、ポール著の「The Lyrics」の「H」から始まる歌のページにこの曲も載っていました。一部引用しますと…

 ヘレン・ウィールズというのは僕のランド・ローバーの名前だ…

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車のことをよく知らない僕みたいな方(^_^;)へ…

ランドローバー(Land Rover )は、イギリスのメーカー。四輪駆動車を専門とするブランド。
ランドローバーが持つ2つの魅力とは?
(前述の「Lyrics」にはポールが「Helen Wheels」に乗ってる写真もありました)

◆「Lyrics」にある、この曲についてのポールのコメント…

僕はいつかロード・ソングを作ってみたいと思っていた。「Take It Easy」や「Sweet Home Alabama」…知っている曲はすべてアメリカのもので、極めつけは「Route66」だ。(中略)イギリスでロード・ソングのアイデアを考えるときにはユーモラスな事情を考える必要がある。1,000マイルの距離がある広大なアメリカなら、道中ある程度の自由が許されるだろうけど、イギリスはすぐに横断できてしまうから…(後略)

はい、ロード・ソングが書きたかったポールは、イギリス北部のスコットランドの自分の農場からロンドンまで、愛車に乗ってイギリス縦断の曲を書いた…それが「愛しのヘレン」なんですね。
 
シングルジャケットには車の写真載せてほしいよね。(←50年前に言えよ)


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Writer/s: Linda Mccartney, Paul Mccartney

Released in 1974
USBillboard Hot100 #10
From the Album

*原詞は太字

Said farewell to my last hotel
It never was much a kind of a bode
Glasgow town never brought me down
When I was heading out on the road
Carlisle city never looked so pretty
And the Kendal freeway's fast
Slow down driver want to stay alive
I want to make this journey last

最後に泊まったホテルに別れを告げた
前触れみたいなものはなかったけどね
グラスゴーの町にがっかりすることはなかったし
旅に出発したときは
カーライルはそんなにきれいには見えなかった
だけど ケンダルのフリーウェイは速い
死にたくなかったら スピードを落とせ
僕も この旅を長く続けたいから

Helen, hell on wheels
Ain't nobody else gonna know the way she feels
Helen, hell on wheels
And they never gonna take her away

ヘレン  地獄を乗り回す車さ
“彼女“の気持ちがわかるのは僕だけだ
ヘレン  こんなイカした車はないよ
誰も“彼女“を止められないさ

M six south down to Liverpool
Where they play the west coast sound
Sailor Sam he came from Birmingham
But he never will be found
Doing fine when a London sign
Greets me like a long lost friend
Mister Motor won't you check her out
She's got to take me back again

M6(高速道路)を南下してリバプールへ
流れるのはウエスト・コースト・サウンドだ
セーラー・サムはバーミンガムから来たってさ
だけど彼を見たヤツはいないよね
ロンドンを案内する標識がしゃっきと立ってる
挨拶は 長い間会ってなかった友だちみたいだ
車のモーターさんよ  “彼女“の機嫌はどうだい?
“彼女“は僕を再び 旅に連れ戻してくれるはず

Helen, hell on wheels
Ain't nobody else gonna know the way she feels
Helen, hell on wheels
And they never gonna take her away

ヘレン “Hell on Wheels”が名前だよ
“彼女”の機嫌を取れるのは僕だけさ
“Hell On Wheels” 略して「ヘレン」さ
走り出したら止まらないよ 

Got no time for a rum and lime
I want to get my right foot down
Shake some dust off of this old bus
I gotta get her out of town
Spend the day up on the motorway
Where the carburetors blast
Slow down driver want to stay alive
I want to make this journey last

ラム酒やライムを飲む時間はないよ
アクセルを踏んでスピードを出したいね
この古いバスの埃を払い落とすんだ
“彼女”をこの町から出してあげなくちゃ
キャブレターが爆音をたて
1日中 高速道路をぶっぱなして過ごす
生き残りたかったらスピードを落とせ
ああ この旅を長く続けられたらな

Helen, hell on wheels
Ain't nobody else gonna know the way she feels
Helen, hell on wheels
And they never gonna take her away

ヘレン  地獄を乗り回す車さ
“彼女“の気持ちがわかるのは僕だけだ
ヘレン  こんなイカした車はないよ
誰も“彼女“を止められないさ

Say bye bye

あばよ〜

(Words and Idioms)
bode 【他動】〔~の〕前兆となる、〔~の〕前触れとなる、〔~を〕
キャブレター(carburetor)=ガソリンを霧状にして空気と混ぜ、エンジンに送り込む燃料供給装置。

日本語訳 by 音時

paul-mccartney-helen-wheels

◆愛車を“Her”と呼んでいますので、“ ”付きで“彼女”としています。
一見、女性にも思えるような歌詞にしてるのもこの曲の面白さだと思いました。


◆歌詞に出てくる都市名について、イギリスの地図ではこんな位置関係です。

グラスゴー
カーライル(下の地図でイギリスの「イ」のあたり)
ケンダル
リバプール
バーミンガム
ロンドン

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英国の高速道路は路線番号の先頭に「M」(motoeway)が付けられます。
歌詞の出てくる「M6」は南北に長い路線ですね。

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◆ちなみに、シングル「愛しのヘレン」のB面に収録された“Country Dreamer”についても、情報がウィキペディアに出ていました。

「カントリー・ドリーマー」は、当初2枚組で発売予定だった『レッド・ローズ・スピードウェイ』に収録されるはずだったが、レコード会社が難色を示したため、やむを得ず1枚となったことで選曲から漏れ、シングルのB面曲として収録された。

また「カントリー・ドリーマー」は、日本の男女混成5人組ユニット、ブラウン・ライスのデビュー・シングルでもあり、9月にアメリカでリリースされた。当時は“日本のバンドのための書き下ろし”と話題となり、日本ではA面に阿久悠による日本語詞のヴァージョン(副題:さすらう青春)B面に英語ヴァージョンを収録して同年12月1日発売された。

とあります。

おお、これかな。曲の提供ポール・マッカートニーって話題にならなかったのかな。