1977年リリースのアルバム「サウスポー」から、この1980年の「プライベート・タイムズ」(原題はOff Centre)まで3年あったんだな〜。
流行の音楽もめまぐるしく変わり、そして僕もラジオ番組「全米トップ40」を偶然聴き始め、沢山のアーティストと曲を一気に覚え始めたので…ギルバートの新譜…本当に「ひさしぶり〜」とそのブランクをとても長く感じたものです。
でもリードシングルとなった「そよ風にキッス(What's In A Kiss)」を聴いた時は、“おかえり!ギルバート”と思えましたね。
自分の大学の生協で、お昼休みに割引でレコードを買って、午後の授業に出たときに、友だちが「何のレコード?」と聞いてきて「知らないと思うよ」と返答。「でも見せて」→(はい…と見せる)→友だち「…ふーん」「小さいピアノだね」というやり取りを2〜3人やりました苦笑。
◆この曲はB面2曲め収録のナンバー。邦題は「一人でいると」ですが、原題は“for what it's worth“というフレーズ。
このイディオムは、英辞郎によると…こんな意味でした。
「こんなことを言っても[しても]効果[価値]があるかどうか分かりませんが、これはあくまでの私の意見ですが…」
(例文)
For what it’s worth, I thought it was great.
(私の意見はあまり価値ないかもしれないけど、私はすごいよかったと思う)
へりくだって一言…という慣用句ですね。
(より詳しくはこちらご参照…「The eigo 塾」)

( Gilbert O'Sullivan)
Released in 1980
From the Album“Off Centre”
*原紙は太字
I feel so strange here on my own
She's out with her friends
While me I don't have one
Every time I have some
She would make them all disperse
Yet I love her with all of my heart
For what it's worth
一人でここにいるのが変な感じだよ
彼女は友だちと出かけてるけど
一方 僕には友だちはいない
僕に友だちがいるといつだって
彼女が みんなを追い返しちゃう
それでも僕は心から彼女を愛している
どういうわけかそうなんだ…
She said had I been more careful with her
We wouldn't have had to get married quite so quick
And she never wanted kids
Hates the thought of giving birth
Yet I worship the ground she walks upon
For what it's worth
彼女は 僕がもっと彼女に気を配ってくれたら
こんなに早く結婚しなかったって言う
そして彼女は子供を欲しがらなかった
“女は男に出産を与える“って考えが嫌いなんだ
でも僕は彼女が歩く地面だって崇拝してる
少なくとも僕はそうなんだ…
I don't know what I can say
Perhaps it's just a passing phase
Nothing worse than being in love
With one who isn't
If I've hurt her I'll admit
I'll apologize for ITV
Even if what she says I did, I didn't
何と言っていいか分からないけど
多分それは一時的なものだ
この世で一番良くないことは
愛していない人と恋に落ちることさ
もし僕が彼女を傷つけたのなら謝るよ
国営放送に代わって謝罪する
彼女が言ったことは僕がしたことだとしても
僕はそうじゃない
I give her the bulk of my weekly pay
She takes it without even thanking me one bit
And I've worked hard for it
So a thank you wouldn't hurt
Yet I love her with all of my heart
For what it's worth
僕は彼女に給料の大半をあげている
彼女は少しも感謝することなく受け取るだろう
僕はそのために一生懸命働いたのに
「感謝」は一銭もかからないけどね
でも僕は心から彼女を愛してる
だからなんだって話しだけど…
I don't ask for very much
I'm not one to make a fuss
In fact the less said is for me
So much the better
Maybe I should be more strong
Tell her straight look.' what's going on
But if I do that, she might leave me altogether
僕は高望みはしないタイプさ
大騒ぎしたりもしない部類だよ
実際 僕はあまり言わない方だし
なおさら好都合でしょ?
僕はもっと強くならなきゃいけないね
思ってることを正直に言うべきなんだろうな
でももし僕がそうしたら…
彼女は僕から去ってしまうかも…?
Oh, I've been high up and I've been low
But lately the latter is so far out ahead
I wish I were dead
She treats me like I was dirt
Yet I love her with all my heart
For what it's worth
ああ僕はハイになったり暗くなったり…
でも最近は落ち込むことの方がずっと多いんだ
死んでしまいたいって思ったりする
だって 彼女は僕をよごれ物のように扱うんだぜ
それでも僕は心から彼女を愛してる
どういうわけなんだろうね
Yes I love her with all my heartFor what it's worth
そうさ 彼女を愛してるんだ
僕からするとそういうことさ
Yes I love her with all my heart
For what it's worth
For what it's worth
そうさ 彼女を心から愛してる
なんでだろうね
でもそういうことなんだよ
(Words and Idioms)
make disperse=分散させる、追い散らす
worship the ground a person walks on=人をあがめたてる
ITV · =Independent Television 独立テレビジョン◇イギリスの民間放送局
so much the better なおさら好都合である、いっそう[なおさら]結構だ
日本語訳 by 音時

いやはや、こういう恋愛って…どうなんでしょう(^_^;)。
僕は耐えられないなあ〜…。
でも例えば
And she never wanted kids
Hates the thought of giving birth
という歌詞。
“誕生する“って“give birth”って言葉を使う。
これって、女性という性は“男性に赤ちゃんを与えてくれる“という意味から来ているんでしょうね。
そういう考えは嫌い、とはっきり言う女性…素敵だと思います。
馬鹿な男(僕のような…)は、相手の立場煮立って考えることなんてできなかったりするから、この部分は僕は和訳していてハッ(゚д゚) としたりしました。
しかし、Gilbert O'Sullivan の歌の和訳はほんと面白く、やりがいがあります。
(解釈が難しい箇所をイロイロ間違えたりしますが)(^_^;)
主人公は自分の思いを一見関係ないようなことを例示したりして、皮肉を交えて話したりするんですよね。今回の歌詞だと、
この世で一番良くないことは
愛していない人と恋に落ちることさ
もし僕が彼女を傷つけたのなら謝るよ
国営放送に代わって謝罪する
ってあたりは面白かったなあ。
この記事を読んで、この曲を聴いていただけている皆さんが楽しんでくれるといいのですが…。
コメント
コメント一覧 (2)
音時
が
しました
同名異曲でした。ギルバートのこのアルバムは一番たくさん聴きましたが、
この曲は、なぜか記憶からこぼれ落ちてました。
「女は男に出産を与える」のくだり、今でこそ「マタハラ」とか言われますが、
1980年代にここまで言及するのは珍しいですね。
「国営放送に代わって謝罪する」のくだりも面白いです。
「全人類のために出ていってくれ」と歌うアルバート・ハモンドのとある曲みたいですね。
アルバム「オフ・センター」で印象に残ってる曲は、①②⑤⑥⑨⑩あたりでしょうか。
「曲を作ってはみたが、どこか気に食わない」と作曲の苦悩を歌う①が3分半ながら
とてもドラマチックな曲で好きです。クリス・レアがアコーディオンで参加しています。
音時
が
しました