カナダのロックバンド、ラッシュの1982年のアルバム「シグナルズ」。
自宅から自転車でちょっと出かけた区の図書館でCDをお借りました。(こういうのがあったりするので図書館のライブラリーはあなどれないよなあ)
◆アルバム「シグナルズ」は全8曲で、これまでのラッシュのサウンドをシンセサイザーの導入で大きく変えたこと、初めての全米シングルヒット曲(New World Man)が出たこと、そしてアルバム全体を通じた未来予想のSFがテーマとなっていることなど注目すべき点がたくさんありました。
(それが故に、その変化を受け入れられない従来のラッシュのファンも沢山いらしたようです)
SIDE ONE
SIDE ONE
1:サブディヴィジョンズ(SUBDIVISIONS)
2:アナログ・キッド(THE ANALOG KID)
3:化学(CHEMISTRY)
4:デジタル・マン(DIGITAL MAN)
SIDE TWO
1:恐怖兵器(THE WEAPON)
2:ニュー・ワールド・マン(NEW WORLD MAN)3:失われた夢(LOSING IT)
4:カウントダウン(COUNTDOWN)
ラッシュ『Signals』解説:シンセを導入しサウンドを刷新した名盤(Udiscovermusic.jp)
昨年は「シグナルズ」40周年記念盤もリリースされ、また収録曲に合わせたヴィジュアライザーのMVが作られました。(冒頭の動画も“New World Man”のヴィジュアライザー)
◆この曲がラッシュにとって全米シングルチャートにランクインした唯一の曲。
彼らの地元カナダでは1982年10月に2週間、RPMの全国シングルチャートで1位を獲得し、この年、カナダのアーティストによるシングルでRPMチャートで1位を獲得したのもこの曲でした。

Songwriter(s)
Neil Peart、Geddy Lee、Alex Lifeson
Released in 1982US Billboard Hot100#21
From the Album“Signals”
*原紙は太字
He's a rebel and a runner
He's a signal turning green
He's a restless young romantic
Wants to run the big machine
彼は反逆者であり 走者だ
彼は青に変わっていく信号だ
彼は落ち着きのない若いロマンチスト
大きな機械を動かしたがる
He's got a problem with his poisons
But you know he'll find a cure
He's cleaning up the systems
To keep his nature pure
彼は自分の毒の取り扱いに悩んでる
だけど治療法を見つけるだろう
彼はシステムを浄化している
自分の本質を純粋に保つために
Learning to match the beat of the old-world man
Learning to catch the heat of the third-world man
旧世界人のリズムに合わせることを学び
第三世界の人の熱をつかむことを学んでいる
He's got to make his own mistakes
And learn to mend the mess he makes
He's old enough to know what's right
And young enough not to choose it
He's noble enough to win the world
But weak enough to lose it
自分の過ちを犯さなければならない
そして自分が引き起こした混乱を
修復することを学ばなければならない
修復することを学ばなければならない
彼は正しいことを知っている年齢だ
そしてそれを選ばないほど若い
彼は世界を勝ち取るほど気高い
しかしそれを失うほど弱いのも彼
He's a new-world man
彼は新しい世界の人間だ
He's a radio receiver
Tuned to factories and farms
He's a writer and ranger
and a young boy bearing arms
and a young boy bearing arms
He's got a problem with his powers
His weapons on patrol
He's got to walk a fine line
And keep his self-control
彼はラジオの受信機で
工場や農場に周波数を合わせる
彼は作家でありレンジャー
そして武器を持った少年だ
そして武器を持った少年だ
彼は自分の力を持て余していて
武器を持ってパトロールをしてる
ギリギリの線を歩かなくちゃならない
そして自制心を保たなくちゃならない
Trying to save the day for the old-world man
Trying to pave the way for the third-world man
旧世界人のために何とか窮地を乗り切って
第三世界人のために地盤を固めようとしてる
He's not concerned with yesterday
He knows constant change is here today
He's noble enough to know what's right
But weak enough not to choose it
He's wise enough to win the world
But fool enough to lose it
彼は昨日のことは気にしない
彼は今日も絶え間ない変化があることを知っている
彼は何が正しいかを知るほど高潔だが
それを選ばないほど弱い
彼は世界を勝ち取るほど賢いが
それを失うほど愚か
He's a new-world man
Learning to match the beat of the old-world man
He's learning to catch the heat of the third-world man
彼は新世界の男だ
旧世界の男のリズムに合わせることを学んでいる
彼は第三世界の男の熱をつかむことを学んでいる
He's a new world man
He's a new world man
彼は新世界の男
彼はニュー・ワールド・マン
(Words and Idioms)
日本語訳 by 音時

彼は新世界の男
彼はニュー・ワールド・マン
(Words and Idioms)
save the day=何とか危機を乗り切る;窮地から抜け出す
pave the way
pave the way
~の地固め[地ならし・下ごしらえ・下準備・お膳立 て・準備工作 ]をする
日本語訳 by 音時

◆うーん、この曲、“New World Man”もSFのストーリーからして重要な位置を占めるんだろうなと予測をしていました。(星船さんブログでこの曲が紹介された際にも、この曲の和訳は単独ではできないんじゃないか?と思い、時間をかけてやります、とお答えしたのですが…調べてみたら、Wikipediaにこんなこと書いてあるぞ。
この曲は、当時ラッシュのプロデューサーだったテリー・ブラウンの提案で、カセット版の両面の長さを均等にするということから、アルバムの最後で最も早く作曲された曲です。
この曲の仮題は「Project 3:57」でした。これは、アルバムの最初の 7 曲が完成した後、残された 3 分 57 秒のレコード スペースを埋めるために書いていたためです。
…なんと…ということは、このアルバム、まずこの曲を除いて完成間近。A面の長さに合わせて、B面に約3分57秒の曲を作った…ということではないですか(^_^;)。
いろいろ意味合いを考えて損した感じがしました…!
コメント
コメント一覧 (4)
「私的解説」によると、「The Analog Kid」が大人になったのが「Digital Man」で、その進化形が「New World Man」なのだそうです。
旧世界=ヨーロッパ大陸、新世界=(母国カナダ含む)アメリカ大陸、第三世界=その他地域、で新世界は旧世界と第三世界を取り持つ関係なのでは?
との解釈でした。
これ面白いですね。
new world manが、曲の長さに合わせて、後から作られたと聞いて内容に興味が失せていたのですが...。
新世界の人間はイデオロギーの違いを乗り越え、色んな世界や人々を繋ぐものであってほしいですね。
音時
が
しました
音時
が
しました
彼らについては Bob & Doug McKenzie「Take Off」のコメントに詳細書きましたが、
必ずしもバンドにとって最大のヒット曲=最高傑作、とならないところが面白いです。
アルバム「シグナルズ」ですが、最も人気の高い曲は冒頭の「Subdivisions」で、
ベースとシンセとヴォーカルの3役を軽々とこなすゲディ・リーは
ライヴ映えもしますし、ライヴの定番曲です。
次に人気なのが多分2曲目「The Analog Kid」と7曲目「Losing It」でしょうか。
前者はあまりライヴでは披露されませんが、思春期の若者の葛藤が描かれている佳曲。
後者は文章が書けなくなった老いた作家が主人公。珍しくヴァイオリンがゲスト参加
していたので、ライヴ初披露はストリングスも交えた2015年の「R40 Tour」でした。
ラッシュの歌詞は、歌詞だけを研究する書籍「Mystic Rhythms」やファンサイトが
多数あるほどハマれば沼る、深い深い世界です。
https://www5f.biglobe.ne.jp/~lerxst21/rush/index.html
上記サイトの「私的解説」によると、「The Analog Kid」が大人になったのが
「Digital Man」で、その進化形が「New World Man」なのだそうです。
旧世界=ヨーロッパ大陸、新世界=(母国カナダ含む)アメリカ大陸、
第三世界=その他地域、で新世界は旧世界と第三世界を取り持つ関係なのでは?
との解釈でした。
単独曲の解釈に加え、アルバムの他の曲の解釈も巻き込んで、初めて全貌が見える、
そういった曲づくりをニール・ピアトは取っているようです。
などど小難しいことをつらつら書きましたが、ラッシュは演奏力にも定評があるので
ゲディの癖のあるヴォーカルに慣れれば、聴いているだけで気持ちよくなるバンドです。
来月バンド結成50周年記念の4CD+Book「R50」と
ゲディの自叙伝「My Effin Life」の和訳が出るので、お金貯めとかないと(汗)
音時
が
しました
おっしゃる通り、ちょっとポリス風、あるいはレゲエ風な曲ですよね。
あれから40年! 今世の中に猛然と広がりつつあるのAIは、この曲で描かれているような自制やためらいはどうも持っていないような気がします。
音時
が
しました