リンダ・ロンシュタットのアルバム「悪いあなた」。1974年の発売で、翌年1975年に収録曲の「悪いあなた(You're No Good)」がシングルで、そしてアルバムもビルボードのチャートでも1位になりました。リンダの5枚目のアルバムですが、原題は「Heart Like A Wheel」です。
"Heart Like A Wheel"はA面ラストの曲で、しっとりとしたバラード曲です。作者は"アンナ・マッガリグル(Anna McGarrigle)"。アンナは、"ケイト&アンナ・マッガリグル"姉妹の妹。二人はカナダ・モントリオール出身の姉妹フォーク・デュオです。
そういうわけで、以下の和訳は、リンダは歌っていない 2nd Verseも入れて和訳しています。

(Anna McGarrigle)
◆リンダの歌う"Heart Like A Wheel"。とても感情豊かにしっとり歌いますが、何故でしょう?ケイト&アンナのオリジナル歌詞の2nd verse(They say that death is a tragedy、It comes once, and it's over…)が省略されています。
収録時間との関係でカットしたのか、それとも"death"などの単語が不吉すぎるからカット? はたまた、リンダが曲を受け取ったときは2nd verseは存在しなくて、それをケイト&アンナがレコーディングする際に作成したのか?僕にはわかりません…。
収録時間との関係でカットしたのか、それとも"death"などの単語が不吉すぎるからカット? はたまた、リンダが曲を受け取ったときは2nd verseは存在しなくて、それをケイト&アンナがレコーディングする際に作成したのか?僕にはわかりません…。
そういうわけで、以下の和訳は、リンダは歌っていない 2nd Verseも入れて和訳しています。

(Anna McGarrigle)
Released in 1975
From The Album“Heart Like a Wheel”
*原紙は太字
Some say the heart is just like a wheel
When you bend it you can't mend it
And my love for you is like a sinking ship
And my heart is on that ship out in mid-ocean
ひとの心はまるで「紬ぎ車」のよう
曲がってしまうと 元には戻せない
あなたへの私の愛は沈みゆく船のよう
私の心を乗せて広い海へ出て行ってしまった
They say that death is a tragedy
It comes once, and it's over
But my only wish is for that deep dark abyss
For what's the use of living with no true lover
ひとは言う 「死は悲劇だ」と
ひとたび訪れたら それで終わりだから
でも私のたった一つの望みは
その深くて暗い底に横たわってる
本当の愛のない人生に意味なんてないの
When harm is done no love can be won
I know it happens frequently
What I can't understand
oh please God hold my hand
Why it should've happen to me
傷つけあった愛には 何も残りはしない
そういうことはたびたび起こるもの
私にはわからない
ああ神様 私の手を取って
なぜ私の身に起きてしまったのですか?
And it's only love and it's only love
That can wreck a human being
and turn him inside out
That can wreck a human being
and turn him inside out
たかが愛 愛にすぎないものなのに
それは人の心を壊してしまう
人をからだの中から変えてしまう
それは人の心を壊してしまう
人をからだの中から変えてしまう…
Some say the heart is just like a wheel
When you bend it you can't mend it
But my love for you is like a sinking ship
And my heart is on that ship out in mid-ocean
ひとの心はまるで「紬ぎ車」のよう
曲がってしまうと 元には戻せない
あなたへの私の愛は沈みゆく船のよう
私の心を乗せて広い海へ出て行ってしまった
And it's only love and it's only love
And it's only love and it's only love
And it's only love and it's only love
And it's only love and it's only love
それは愛のすること 愛だけなのよ
たかが愛なのに それが愛なの
それは愛のすること 愛だけなのよ
たかが愛なのに それが愛なの
(Anna McGarrigle)
ship out=〔商品などを〕出荷する 船で外国へ行く
abyss=深いふち,底の知れない深い穴.深い底
What's the use of ~=~が何の役に立つのか
cf.if no harm is done =何の害[被害・不都合]もないなら
日本語訳 by 音時

◆作者のアンナについて。
Warner Music JapanのWebサイトを見ると、1960年代から自作自演曲を歌い始めていましたが、プロにはなっていなかったようです。リンダがアンナ作のこの曲をアルバムに取り上げたことがきっかけとなってワーナーと契約しアルバムをリリース。すっきりとしたサウンドがファンを増やしていったようですね。あっでも、姉のケイトさんが2010年に享年63歳にて、癌のため死去されてしまっているようです。R.I.R…。 (2人のプロフィール)

◆"Heart Like A Wheel"の"Wheel"。いわゆる"ホイール"=「車輪」のこと、だと思うのですがなんかそのまま「車輪」と和訳するのがすっきりしませんでした。「愛は"Wheel"のようなもの。曲がってしまったら直せない」と歌われてますが、「車輪」だったらもとに直せませんか?
そこで"Wheel"のほかの意味を調べたところ、"〈話〉紡ぎ車、糸車"という意味を見つけました。「紡ぎ車」というもの自体は僕も知らないのですが、綿や繭から繊維を引き出して糸にしていくものですから、、曲がってしまったら糸自体もいびつになったり、作れなくなってしまいます。
ひとの心が紡ぎ車だったら、曲がってしまったら、そこから生み出されるものもなんだかおかしなものとなってしまい、もうどうにもできなくなってしまう…。そんな意味なのでは?と思いました。
ケイト&アンナのこの曲を聴いても、なんだかバンジョーの音なども聞こえるイントロの雰囲気が「紡ぎ車」のイメージをかき立てました。
「愛」…人を変えてしまうほどの力を持つのですね。たかが愛なのに…。いやそんなことができるのは愛ということなのでしょうか…。
◆ケイトとアンナのステージにリンダが出演!"Heart Like A Wheel"を歌います。
コメント
コメント一覧 (4)
私の心を乗せて広い海へと...広い海、広がる視界の中で、遠くを見るあなたは今すぐ手を伸ばせば届く私の心に気づいてくれるのかしら? そんな関係をイメージして和訳しました。
主人公は沈没はしないかもしれませんが、気づかれない寂しさや悲しさを感じて、愛ってなんだろう?と思いをめぐらせます←車輪のようにぐるぐると想いが回ってます。
音時
が
しました
音時
が
しました
イヤ~、リンダのバラードはいいですねえ。汚れがないと言うのか、心が洗われる思いです。ヴィブラートが実に心地よい。実力のある方だなと感心しています。それにチェロをフューチャーしたところが素晴らしい。(録音方法のせいか、生音なのが気になりますが…)
「紬ぎ車」という語句を使ったあたり…。音時さん、さすがです。
そんな中、ボクが気になったのは…。「あなたへの私の愛は沈みゆく船のよう 私の心を乗せて広い海へ出て行ってしまった」という歌詞。
この愛は沈没してしまったのかな? そうだとすると、なんという哀しい結末でしょう。
この主人公が立ち直ってくれることを切に願います。
音時
が
しました
songfacts.com を見るとヒューマン・リーグにも同名異曲がありました。
あいにくリンダ(ケイト&アンナ)ヴァージョンのこの曲への説明はありませんでした。
シングル&アルバム共に全米1位を獲得した、リンダの出世作ですね。
レコーディングの時期はリンダが1974年、作者ケイト&アンナが1976年なので、
新たにverseをつけ足した可能性はありますね。
「wheel」の意味が車輪なら付け直しができますが、直せないので紡ぎ車なのですね。
なるほど、理解できたような気がします。
1976年の「ケイト&アンナ・マッカリグル」デビュー作は、よくフォーク名盤に
あげられますが、聴いたことはないので、入手してみようと思います。
音時
が
しました