アルバム「Tug Of War」からのシングル。

冒頭のPVはビデオのシングル・バージョンですが、アルバムで聴くとオープニングの“Tug Of War”と音がシンクロして始まりますね。

 リンゴ・スターと長年のプロデューサーであるジョージ・マーティン、そして天国に゙逝ってしまったリンダ・マッカート二ー(R.I.P…)の姿も見られます。

◆“take it away“…さあ、始めてください!

 テレビ番組などで司会者がミュージシャンなどに対して「では演奏をお願いします」などの意味で使うようですね。(英辞郎 on The Web)
 この曲は、元々はリンゴ・スターがニュー・アルバムを作成しようと、ポールとジョージに1曲ずつ依頼をしたそうで、ポールはこの“Take it away”を書いたのですが、自分が歌う方が似合ってるな、と思って自分で歌った(^_^;)ようです。

「まあ、ある時期にリンゴが書いてくれと頼んだ曲が何曲かレコーディングしたんだ。 僕はリンゴのために何曲か曲を書いていたんだけど、「テイク・イット・アウェイ」もその中の1曲だったんだ。 「コーラスに入る感じとか、そういうところが自分には合うと思ったんだ。リンゴっぽくないと思ったんだ」
(The Meaning Behind “Take It Away” by Paul McCartney and the Ex-Bandmate for Whom He Originally Wrote It)

◆上記のサイト記事の情報には、ポールは1980年8月に次のアルバムリリースのためにこの曲の初期のデモを作りました。(この記事の終盤に貼り付けてあり、聴けます)
 新曲については、ビートルズのプロデューサーだった、ジョージ・マーティンとレコーディングしたいと思っていて、ポールはまた、この次のアルバムを、70年代を通じて彼が結成し、一緒に演奏していたグループ、ウイングスへの復帰として当初思い描いていた、ようです。
ただ、ポールがこの曲を含む新曲のリハーサルのために「ウイングス」を集めたとき、ほとんど何もできなかった。メンバー間の根深い恨みがこの進展のなさの原因なのか、単にバンドが行き詰まっていただけなのかはともかく、ポールはは別の方向に進まなければならないと悟ります…。

ポールはこの曲を含むアルバム「Tug Of War」では、ギター、ベース、ピアノなど、楽器演奏のほとんどを自分で担当し、それぞれの曲で呼びたい人を呼んでレコーディングすることとなりました…。



Take_It_Away


(Paul McCartney)

Released in 1982
US Billboard Hot100#10
US Billboard Year End Chart#70 
From the Album “Tug Of War”

*原詞の引用は太字

Take it away
Want to hear you play
Till the lights go down
Take it away
Don't you want to stay
Till there's no one else around?

さあ 始めてくれよ
きみの演奏が聞きたいのさ
照明が消えるまで
さあ 聴かせてくれよ
きみは居たくないのかい?
誰もいなくなるまで

Take it away
Want to hear you play
Till the lights go down
Take it away
Don't you want to stay
Till there's no one else around?

Lonely driver
Out on the road
With a hundred miles to go
Sole survivor
Carrying the load
Switches on his radio

孤独な運転手が
道路を走ってる
あと100マイル走らなきゃいけない
まるで唯一の生存者が
荷物を運んでるのさ
そして彼はラジオをつける

Take it away
Want to hear you play
Till the lights go down (down down)
Take it away
Don't you want to stay
Till there's no one else around?

さあ 始めてくれよ
きみの演奏が聞きたいのさ
照明が消えるまで(行ったり来たり)
さあ 聴かせてくれよ
きみは居たくないのかい?
誰もいなくなるまで

Take it away
Want to hear you play
Till the lights go down (down down)
Take it away
Don't you want to stay
Till there's no one else around?

In the audience
Watching the show
With a paper in his hand
(In his hand, in his hand)
Some important impresario
Has a message for the band

観客に囲まれて
ショウを観ている男がいる
手に一枚の紙きれを持って
(彼の手に注目さ)
どこかの重要な興行主から
バンドにメッセージがあるようだ

Oh
Take it away
Want to hear you play
Till the lights go down (down down)
Take it away
Don't you want to stay
Till there's no one else around?

さあ 始めてくれ
きみの演奏が聞きたいのさ
照明が消えるまで(行ったり来たり)
さあ 聴かせてくれ
きみは居たくないのかい?
誰もいなくなるまで


You never know who may be
Listening to you
Never know who may be
Listening to you
You never know who may be
Listening to you
Take it away, take it away

わからないだろ
誰がきみの歌を聞いているかなんて
わからないよ
誰がきみの演奏を聞いているかなんて
もしかして誰かが
きみの曲を聞いているかもしれないよ
さあ 始めよう
さあ 歌ってくれ

After hours
Late in the bar
By a darkened corner seat
Faded flowers wait in the jar
Till the evening is complete

ショウの時間は終わり
場面は 深夜のバー
暗い隅の席で
色あせた花が瓶の中で待っている
夜がすっかり終わるまで…

Ah
Ah
Ah
Ah

(Words and Idioms)
impresario= (歌劇・バレエ・音楽会などの)興行主、座元、(一座の)監督、指揮者、経営者)

日本語訳 by 音時

PaulMcCartneyalbum_-_TugOfWar


◆うーん、歌詞の物語はなんだろう?

Verseごとに見ると…
最初に出てくるのは一人運転する孤独な運転手。トラック野郎かな。
ポールは「荷物を運ぶ唯一の生存者」なんて例えてる。
彼がラジオをつける…

きっと場面は“Take it away”と促されたバンドが演奏をしているのでしょう。
その音はラジオを通じて、運転手に届き、彼は運転しながら孤独感を解消しているのかな?

次の場面は観客に囲まれてショウを見ている男。その手元には1枚の紙。
あのバンドの演奏がなかなかいいぞ…と信頼できるスジ?から聞いた興行主(プロモーター)が「うち(どこかの会場)で演ってみないか?」など依頼の手紙を持っている?

そしてショウも終わった深夜のバー。かれた花が夜があけるのを待っている…。

むむむ…出演の交渉は失敗に終わり、バンドからすると売れるチャンスを逃したかのような…。

まあ、それでも「きみの演奏は誰が聞いているかわからない」んだから“take it away...”。
音楽は続けていってくれよ… ってそんな感じの物語を描きました。

(みなさんはどう思われますか? ← 逃げたな)



◆こちら“Take It Away”のDemo演奏。