“未来はとっても明るい、だからサングラス(Shades)をかけなくちゃ“という、ちょっと変わったこの曲が全米チャートに入ってきたのは、1986年の終盤のこと。
 動画を2つ付けましたが、下のPVをテレビで観たことがありましたが、とっても意味深な曲だと思いました。

◆この曲がチャートで最高位を記録した週の全米ビルボードチャートを見てみましょう。

US Top 40 Singles For The Week Ending 27th December, 1986
TW LW TITLE Artist (Label)- Weeks on Chart (Peak To Date)

ティムバック3のこの曲が最高位19位を記録したのは、バングルズの“エジプシャン”がNo1、ワン・チャン、デュラン2の“ノトーリアス”がヒットしてた頃でした。ブルース・スプリングスティーンのライヴからカバーヒットの“WAR”もトップ10入りしていました。

1 1 WALK LIKE AN EGYPTIAN –•– The Bangles (Columbia)-14 (2 Weeks at #1) (1)
2 3 EVERYBODY HAVE FUN TONIGHT –•– Wang Chung (Geffen)-13 (2)
3 4 NOTORIOUS –•– Duran Duran (Capitol)-9 (3)
4 5 SHAKE YOU DOWN –•– Gregory Abbott (Columbia)-11 (4)
5 2 THE WAY IT IS –•– Bruce Hornsby & The Range (RCA)-15 (1)

6 8 C’EST LA VIE –•– Robbie Nevil (Manhattan)-12 (6)
7 13 CONTROL –•– Janet Jackson (A&M)-9 (7)
8 11 WAR –•– Bruce Springsteen (Columbia)-6 (8)
9 9 STAND BY ME –•– Ben E. King (Atlantic)-27 (4)
10 12 DON’T GET ME WRONG –•– The Pretenders (Sire)-12 (10)

19 20 THE FUTURE’S SO BRIGHT, I GOTTA WEAR SHADES –•– Timbuk 3 (I.R.S.)-10 (19)

◆Timbuk 3 は、1984 年にウィスコンシン州マディソンで、パットとバーブラのマクドナルド夫妻によって結成されました。パットが(ベース、MIDI ギター、ハーモニカ、ボーカル、ドラム プログラミング)、バーブラが (ギター、マンドリン、バイオリン、リズム プログラミング、ボーカル) を担当し、1991 年に Wally Ingram (ドラム) と Courtney Audain (ベース) がデュオに加わりました。
(夫妻は1995年に離婚、Timbuk3の活動も終了となります)

◆Wikipediaによると、この曲はバーブラ が夫のパットに「未来は明るいから、サングラスをかけなきゃ!」と言ったことに由来してるといいます。"The future is looking so bright, we'll have to wear sunglasses!
 バーブラは真剣にこう言ったらしいのですが、パットはこのセリフを、2人が出会って結婚し、家庭を持ち、最初のEPがリリースされ、アルバムにはライブが満載だったことから、皮肉なジョークと受け止めて、代わりに「未来は明るいからサングラスをかけなきゃ」というセリフを作ったとのこと。
"The future's so bright, I gotta wear shades."


200527112


Songwriter(s) Pat MacDonald

Released in 1986
US Billboard Hot100#19
From the Album “Greetings from Timbuk3”

*原詞の引用は太字

I study nuclear science, I love my classes
I got a crazy teacher, he wears dark glasses
Things are going great, and they're only getting better
I'm doing all right, getting good grades
The future's so bright, I gotta wear shades
I gotta wear shades

僕の専攻は核科学  授業も大好き
先生は変人で  サングラスをかけてる
物事は順調  よくなる一方
僕自身も順調  成績だっていい
未来は明るい  僕も サングラスをかけなくちゃ
サングラスをかけよう
(先生みたいにね)

I've got a job waiting for my graduation
Fifty thou a year will buy a lot of beer
Things are going great, and they're only getting better
I'm doing all right, getting good grades
The future's so bright, I gotta wear shades
I gotta wear shades


卒業前に仕事が決まったんだ
年収5万ドルだから ビールがいっぱい買える
物事は順調  よくなる一方
僕自身も順調  成績だっていい
未来は明るい 僕はサングラスをかけなくちゃ
サングラスをかけよう
(未来がまぶしいから)

Well I'm heavenly blessed and worldly wise
I'm a peeping-tom techie with x-ray eyes
Things are going great, and they're only getting better
I'm doing all right, getting good grades
The future's so bright, I gotta wear shades
I gotta wear shades


ああ 僕は天に恵まれた 世渡り上手
X線の目を持つ「のぞき魔」の技術者さ
物事は順調  よくなる一方
僕自身も順調  成績だっていい
未来は明るい 僕はサングラスをかけなくちゃ
サングラスをかけよう
(ちっちゃなことには目をつぶって)

I study nuclear science, I love my classes
I got a crazy teacher, he wears dark glasses
Things are going great, and they're only getting better
I'm doing all right, getting good grades
The future's so bright, I gotta wear shades
I gotta wear shades, I gotta wear shades
I gotta wear shades

僕の専攻は核科学  生徒たちも大好きさ
先生は変人  サングラスをかけてる
物事は順調  よくなる一方
僕自身も順調  成績だっていい
未来は明るい  僕も サングラスをかけなくちゃ
サングラスをしよう サングラスをかけよう
(この世の終わりを見なくてすむように)

(Words and Idioms)
worldly wise《be ~》世渡り上手である、世慣れている
peeping Tom 〔性的好奇心から〕のぞき見する男

日本語訳 by 音時

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和訳して怖くなったのは、この主人公はすべてが「楽観主義」。まあ頭のいいお利口さんなんでしょう。専攻は「核科学」で、就職もしっかり内定(そういう方面なんでしょうね)でも本人はお給料でビールをどれだけ飲めるかな?なんてことしか興味はない様子。
この曲はいわゆる“とにかく威力の大きな核兵器を開発するマッド・サイエンティスト”誕生の話なのかなと思いました。

 「サングラスをかける」理由は…
・憧れの?尊敬した先生がサングラスをかけてるから、僕も真似して…。
・将来が明るく眩しいから…。
・核を何のために使うのかなんてことは考えたくないから…。
なんて、解釈してみました…(^_^;) どうでしょうか。

◆80年代の半ば当時、米の指導者はレーガン、ソ連はゴルバチョフで世界的にも核戦争の危険が高まった時期でした。そんななかで「未来はとっても明るい」と歌うこの曲はやっぱり皮肉として受け止められ、それゆえのヒットになったんでしょうね…!