それでは歌っていただきましょう!
あの雷神、火吹き、口から血を流すDEMON…ジーン・シモンズが切々と歌います。
“A World Without Hero”(英雄なき世界)です!
…と演歌歌手の紹介のようにご紹介しましたが…(^_^;)。
◆この曲は1981年、KISSが「低迷期」に入ったと言われた時代、ロックアルバムではなく、ジーン・シモンズが以前から温めていた構想を基に作成したというコンセプトアルバム「〜エルダー〜 魔界大決戦」からの1曲。シングルにもなりましたが、惜しくもTOP40入は逃しています。
キッスのウィキペディアによると…
アルバム「The Elder」はこの作品は、元々『The Elder』というジーン原案の映画のために楽曲を書き下ろしていたが、曲が完成した直後に映画が制作中止となり、曲を無駄にしたくないマネージャーとシモンズが映画の本来のストーリーに沿ったコンセプト・アルバムにしたというもの(他の3人はまったく乗り気では無く、リリースに反対したがシモンズに押し切られる形で発売が決まった)。内容自体は意欲的なもので、これまでになかった叙事詩風のプログレッシブ・ロックを展開したが、中途半端なイメージの変化で売り上げは歴代最低を記録することになる。バンド自体も後のインタビューで「あの作品は失敗だった」と語っている。
とのこと。ドラムには新しくエリック・カーが加入しましたが、「The Elder」ツアーは行われず、ギターのエース・フレーリーもしばらくして脱退…。キッスとしては「黒歴史」の時代の作品です(^_^;)
はい、コスチュームも髪型もちょっと…ってところですよね。。
アルバム・ジャケットもメンバーが写ってない「魔界のドア?」の写真ではなく、きらびやか?なものに差し替えとなりました。
Songwriter(s)
Gene Simmons、Paul Stanley、Lou Reed、Bob Ezrin
Released in 1981
US Billboard Hot100#56
From the album Music from "The Elder"
*原詞の引用は太字
A world without heroes
Is like a world without sun
You can't look up to anyone
Without heroes
英雄のいない世界
それは 太陽のない世界のよう
憧れる人物なんぞ誰もいない
英雄のいない世界では
And a world without heroes
Is like a never ending race
Is like a time without a place
A pointless thing, devoid of grace
英雄のいない世界
まるで 終わることのない争いのよう
それは 場所すらわからない時間
無意味なもので 魅力にも欠ける
Where you don't know what you're after
Or if something's after you
And you don't know why you don't know
In a world without heroes
何を求めているのかわからない それとも
何かが自分を追いかけているのかもわからない
自分がなぜわからないかもわからなくなってしまう
英雄のいない世界では
In a world without dreams
Things are no more than they seem
And a world without heroes
Is like a bird without wings
Or a bell that never rings
Just a sad and useless thing
夢のない世界では
物事は見たまんまでしかない
英雄のいない世界は
翼のない鳥のようだ
それは 決して鳴らない鐘
ただ悲しく 役に立たないもの
Where you don't know what you're after
Or if something's after you
And you don't know why you don't know
おまえは 何を求めてるのか?
それとも 何かに追いかけられているの?
なぜ そんなことも
わからなくなってしまうのだろう
[Guitar solo]
それとも 何かに追いかけられているの?
なぜ そんなことも
わからなくなってしまうのだろう
[Guitar solo]
In a world without heroes
There's nothing to be
It's no place for me
英雄のいない世界では
なるべきものなど何もない
そこには俺の居場所はないんだ
(Words and Idioms)
devoid of 《be ~》~を持っていない、~を欠いている
日本語訳 by 音時
この曲は、アルバムではB面の2曲目に収録されていました。
映画作成も考えられていたというコンセプトをもったトータルアルバムですから、全体のなかでこの曲はどんな位置にあるのかな?
まあ、起承転結だと「転」。主人公がたたかいに敗れて?あるいは何かで心が傷ついて、内省しているような曲なんだろうな。“ヒーローなんて誰も必要としていないんじゃないか…。”→“いや、ヒーローのいない世界なんて価値がない”→“やっぱりヒーローが必要なんだ!”…とクライマックスに向けて物語は盛り上がっていくのです…!
◆これもウィキペディアの情報ですが、
元々は「Every Little Bit of Your Heart」というタイトルでしたが、アルバムのコンセプトに合うように歌詞が変更され、ルー・リードが歌詞に「英雄のない世界は、太陽のない世界のようなもの」という一節を加えました。(中略)シングルのプロモーションのためにビデオが制作された。エリック・カーをフィーチャーした最初のビデオであり、MTVで放送された最初のキッスのビデオである。
おお、確かにソングライティングにルー・リードの名前がある。どんな経過で関わったんだろう?
おお、確かにソングライティングにルー・リードの名前がある。どんな経過で関わったんだろう?
コメント
コメント一覧 (1)
むしろ、異色でドラマチックで好きなほうかも。
1976年の名作「デストロイヤー」以来のボブ・エズリンの起用。
彼は1992年の「リヴェンジ」でも再び起用されてますし、
ルー・リードの名作「ベルリン」のプロデューサーでもあるので、
ルー・リードにアイディアを求めたといえそうです。ルーはこの曲の他に
アルバムの2曲に関わってますね。
ただ英語版のウィキを見ると、ボブ・エズリン自身もコカイン中毒のせいで、
このアルバムへの判断が曇ったとの記載がありました。
音時
がしました