アルバム1曲め…ちょっと暗い感じで始まるこの曲…聴けば聴くほど好きになってきました。

このアルバム「The Pretender」は、僕はリアルタイムで聴けてなかったのですが、「アルバム制作段階で妻フィリスが自殺するという悲劇的な出来事があり、そのことがアルバム全体に暗い影を落としている」(ウィキペディアから引用)
という痛ましい事件のあったことを聞いていましたのでなおさら…でした。

でも、ジャクソンがオープニングでこの曲「The Fuse」そして締めくくりにアルバムタイトルにもなった「The Pretender」で、人生を前向きに歌っているのは…好きです。

ジャクソンの人生も応援したいし、僕も励まされたりします。(しました)





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(Jackson Browne)

Released in 1976
From the Album “The Pretender”

*原詞の引用は太字

It's coming from so far away
It's hard to say for sure
Whether what I hear is music or the wind
Through an open door
There's a fire high in the empty sky
Where the sound meets the shore
There's a long distance loneliness
Rolling out over the desert floor

それはとても遠くから聞こえてくる
はっきりとは言えないけど
僕に聞こえるのは音楽なのか
それとも開いたたドアから入ってくる風なのか
遮るものなく広がる空高くに炎が燃え
そこでは音が岸辺と出会う場所でもある
遠い彼方の孤独は
砂漠の床へと広がっていく…

And the years that I spent lost in the mystery
Fall away leaving only the sound of the drum
Like a part of me
It speaks to the heart of me
Forget what life used to be
You are what you choose to be
It's whatever it is you see
That life will become

そして僕過ごした年月は謎の中へと迷い込み
ドラムの音だけを残して消えてゆく
ちょうど僕の身体の一部のように
それは僕の心に話しかけてくるんだ
“人生がどんなものだったかなんて忘れよう
 おまえはおまえが選んだ人生を生きてるんだ
 おまえが目に見るものが何であれ
 その人生は人生はそうなるのだ“

Whatever it is you might think you have
You have nothing to lose
Through every dead and living thing
Time runs like a fuse
And the fuse is burning
And the earth is turning

おまえが手にしたと思うものが何であれ
おまえには失うものは何もない
すべての亡くなったものと生命あるものを通じて
時間は導火線ごとく通り過ぎていく
そして導火線は燃え続け
そして地球は回り続けるんだ

Though the years give way to uncertainty
And the fear of living for nothing strangles the will
There's a part of me
That speaks to the heart of me
Though sometimes it's hard to see
It's never far from me
Alive in eternity
That nothing can kill

年月が経つと不確実性が増してくる
そして意味もなく生きることへの恐怖が
意志の首を絞めてくるようだ
僕の身体の一部が
僕の心に話しかけてくる
“時に 見えにくい場合もあるけれど
それは決して遠くない場所にある
誰にも殺すことはできず
永遠に逝き続けるものなんだ“と

Oh Lord
Are there really people starving still?
Look out beyond the walls of Babylon
How long will their needs go unfilled
I want to say right now I'm going to be around
I'm going to be around
When the walls and towers are crumbling
When the towers are tumbling down
And I will tune my spirit to the gentle sound
I want to hear the sound
Of the waters lapping on a higher ground
Of the children laughing

ああ 神さま
この世には飢えている人がまだいるのでしょうか?
バビロンの壁の向こうを眺めてください
彼らの要求はいつになったら満たされるのでしょうか?
僕は今すぐ言いたい  僕はそばにいるつもりです
壁と塔が崩れ落ち
塔が転倒してしまう時には
僕はここにいるつもりです
そして優しい音に心を合わせたいのです
高台に打ち寄せる水の音
そして
子供たちの笑い声のような音を聴きたいのです


(Words and Idioms)
give way 道を譲る、譲歩する、折れる 〔感情に〕負ける、〔心が〕くじける
strangles=(手・輪なわなどで首を絞めて)絞め殺す、 窒息死させる

日本語訳 by 音時


Pretenders

子どもがはしゃぐ笑い声…聴こえるかな。

◆この曲は「メロディ」が先にできて歌詞を後から完成させたようですね。

インタビューアー:
「言葉ができる前にメロディーが浮かんだことはありますか?」
ジャクソン:
「それもあるけど、すでにでき上がったメロディーに歌詞を書くのは、すごく難しい。初めてそうした時のことをなんとなく覚えているよ。すごく長い時間がかかってしまった。確か「ヒューズ/ The Fuse」もそうだったと思う。メロディーや曲がすべて先に書けてしまって、そこに言葉を書いていかなくてはならなかったんだ。
 箇所によっては、割とスラスラとかけるんだ。たいていはグルーヴとか、ギターとかピアノとか、そういうもの次第だね。」


(引用:Inspiration / アミューズブックス)カリフォルニア州 サンタバーバラにて 1996年

◆タイトルになった「The Fuse」。この単語が歌詞に出てくる箇所は、

Time runs like a fuse
And the fuse is burning
And the earth is turning

この箇所がこの曲の主題のように思えます。
僕は 今この瞬間にも時間は経っていき、地球は回転し続けている。僕はいったいなぜ生きているのか、何をするべきなのか…“The Fuse is Burning”という歌詞も、そんなことを考えて、爆発しないうちに主体的に生きていこうとした決意…を歌ったんじゃないかなと思います。

And the fear of living for nothing strangles the will

何もしないで生きることの恐怖が「will」の首を締める…というのもそういう意味だと思うのです。

◆ああ、この曲を聴くと、締めくくりに「The Pretender」を聴きたくなってしまうな。