実は…映画「フィラデルフィア」はまだ観ておりません…(-_-;)。
「エイズをテーマにした、考えさせられる映画」と聞いて興味は湧きましたが、この当時(1994年頃)は自分も仕事などでいっぱいいっぱいで考えるのを避けていたような気がします。
でももう…観てもいいかな。というか、死ぬまでに観ておきたい!映画の一本でもあります。
映画「フィラデルフィア」について(映画.COM)
https://eiga.com/movie/26024/
◆そんなわけで、ブルースの主題歌もこれまで和訳をしてきませんでした。主題歌を和訳で取り上げる際にはできるだけ、映画を観て、また、映画のどんな場面で使われるかを確認してからにしてますが、この曲はそうではありません。ですので、映画をこれから観ることができたら、そこでの感情を踏まえて修正するかもしれません。その場合はあしからず…です。
◆この曲のWikipediaおよびSongfactsページなどの情報を見ると、
ジョナサン・デミ監督は映画「フィラデルフィア」のエンディングには、ニール・ヤングに“サザン・マン”のような曲を、エンディングにはブルース・スプリングスティーンにロック曲を、と頼んだようですね。
エイズ問題に詳しくない人たちに映画館に来てほしい、エイズで亡くなる同性愛者への偏見を少しでも取り除きたいという想いから「ショッピングモールで流してほしい」と頼んだそうです。
◆この曲はブルースの1995 年のグレイテスト ヒッツ アルバムに収録されていた 5 曲の未発表曲のうちの 1 曲で、英国ではチャートで最高位2位という、彼の最大のヒットとなりました。
また、1994年のオスカー最優秀歌曲賞を受賞し、映画の主人公を演じたトム・ハンクスは初のオスカー主演男優賞を受賞しています。
Writer/s: Bruce Springsteen
Released in 1994
US Billboard Hot100#9
From the Album
“from the album Philadelphia Official Soundtrack”
*原詞の引用は太字
I was bruised and battered
I couldn't tell what I felt
I was unrecognizable to myself
Saw my reflection in a window
And didn't know my own face
Oh brother are you gonna leave me wastin' away
On the streets of Philadelphia?
俺はボロボロでアザもできてた
自分の感情がわからなくなって
自分でも認識できなくなっていた
窓に映った自分の姿を見たが
俺の顔だとはわからなかった
ああ 兄弟 痩せ細っていく俺を見捨てるのか
フィラデルフィアの路上で
I walked the avenue, 'til my legs felt like stone
I heard the voices of friends vanished and gone
At night I could hear the blood in my veins
Just as black and whispering as the rain
On the streets of Philadelphia
足が石のようになるまで大通りを歩いた
消えていなくなった友の声が聞こえた
夜になると 血管の中の血の音が聞こえた
それは 真っ黒でささやくような雨のように
フィラデルフィアの路上で
Ain't no angel gonna greet me
It's just you and I my friend
And my clothes don't fit me no more, I walk
Thousand miles just to slip this skin
俺を迎えてくれる天使はいないだろう
おまえと俺だけしかいないのさ なあ
俺の服はもう似合わなくなったのさ
俺は千マイルも歩いていく
この肉体からするっと抜け出すがために
Night has fallen, I'm lyin' awake
I can feel myself fading away
So receive me brother with your faithless kiss
Or will we leave each other alone like this
On the streets of Philadelphia?
夜が明け 俺は目を覚ましたまま横たわってる
自分自身が消えていくのを感じてるのさ
だから兄弟 俺を受け入れてくれ
心のこもってないキスでもいいから
それとも俺たちは互いを
こんなふうに放っておくのか
フィラデルフィアの路上で
(Words and Idioms)
battered ボロボロで
bruised 【形】 傷ついた、あざのできた
unrecognizable 認識できない、見分けのつかない
waste away 【句自動】〔人・動物が病気などで〕衰弱する、痩せ細る
slip · 滑る · 滑るように動く;するりと着る,するりと脱ぐ ·
日本語訳 by 音時
◆この曲のSongfactsに書かれていた情報です。
デミ(監督)はスプリングスティーンに映画のオープニングにロックソングを求めた。
ブルースは友人の死について以前書いた歌詞に基づいてこの曲を書き始めたが、ロックのビートには合わなかった。 スプリングスティーンは、それが未完成のデモであると考えて、思いついたものをデミに送りました。 デメはそれがとても気に入って、そのままの形で彼の映画にぴったりだと感じました。
この情報を見ると、依頼されたのはロック・ソングでしたが、エイズ関連の映画主題歌ということでブルースなりの解釈として「友人の死」に際したときのイメージが湧いたんでしょうね。
この曲の歌詞…自分だけが死に向かっていく感情…この気持ちを分かち合えるのは同じ病気で死んでいった人たちだけ…
I walk thousand miles just to slip this skin…
当初 “slip”について意味が??だったのですが、英和辞書に“するっと脱ぐ”という訳が書かれていて、肉体を魂がするっと脱ぐイメージが急に湧きました(ちょっと背筋がぞっとしました)。
歌詞のさいごの部分は、“I“(俺)ではなく“We”(俺たち)を使っています。
will we leave each other alone like this
エイズの問題を個人レベルではなく社会全体の“我がこと”にすべきじゃないか、
と問いかけているように思います。
◆2016年 フィラデルフィア( Citizens Bank Park)でのライブから。
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