この曲はイントロからして何か只事じゃないことが始まりそうな予感がします。
アコースティック・ギターをかき鳴らすジョン。笑顔を見せながら歌うジョン。
人種、性別を越えて、手拍子と“Paper in Fire”!のコーラス。
◆この曲のWikipediaにはこんなことが書かれておりました。
メレンキャンプは、この曲は他人や自分自身の最大の敵に対して残酷な可能性がある叔父のジョー・メレンキャンプについて歌ったものであると述べ、「『ペーパー・イン・ファイア』はジョーと、家族に根付いた怒りについての曲だ…家族が傷つくのは悲劇だ」と述べた。 大人にならないでくれよ…と。
素敵な夢を持っていた少女。でもその夢はつかもうとして近づきすぎたところで…火にくべられた紙のように燃え尽きて灰になってしまった。
純粋な愛を求めた男。でも虚しい日々は続いていく。ヤツの毎日は…火に放り込まれた紙のように燃えて灰になった。
灰皿や路地に残っているのは燃えカスと燃えた焦げ臭い匂い…
◆アルバムタイトルは「Lonesome Jubilee」。
「jubilee」って…調べてみると、25年周年や50年周年などの記念祭・祝祭・祝典・ヨベルの年・歓喜などを意味する語とのこと。
「淋しい記念祭」もしくは「孤独な記念祭」。このタイトルの持つ意味も興味深い。
Songwriter(s) John Mellencamp
Released in 1987
US Billboard Hot100#9
From the Album “The Lonesome Jubilee”
*原詞の引用は太字
She had a dream
And boy it was a good one
So she chased after her dream
With much desire
But when she got too close
To her expectations
Well the dream burned up
Like paper in fire
彼女には夢があった
ああそうさ いかした夢さ
だから彼女は実現したくて
本気で夢を追いかけたんだ
だけどその期待に
近すぎてしまったのか
その夢は燃えてしまったのさ
火にくべた紙のように
Paper in fire
Stinkin' up the ashtrays
Paper in fire
Smokin' up the alleyways
Who's to say the way
A man should spend his days?
Do you let them smolder
Like paper in fire?
火にくべた紙
灰皿に焦げた嫌な匂いいっぱい
火がついた紙
狭い路地に煙がもうもうと
日々をどう過ごそうと
そんなの本人の勝手じゃないか
人間をくすぶらせるつもりかい?
火にくべた紙のように
He wanted love
With no involvement
So he chased the wind
That's all his silly life required
And the days of vanity
Went on forever
And he saw his days burn up
Like paper in fire
ヤツは愛が欲しかったのさ
何のしがらみもなく純粋にね
だからヤツは風を追いかけた
愚かな人生に必要なのはそれだけだった
それから虚しい日々が
延々と終わることなく続いていった
ヤツは自分の毎日が燃えつきるを見たのさ
火にくべられ燃え上がる紙のように
Paper in fire
Stinkin' up the ashtrays
Paper in fire
Smokin' up the alleyways
Who's to say the way
A man should spend his days?
Do you let them smolder
Like paper in fire?
火にくべた紙
灰皿に焦げた嫌な匂いいっぱい
燃えて灰になっていく紙
狭い路地に煙がもうもうと
日々をどう過ごすべきかなんて
誰にもわからないはずさ
だけど
人間をくすぶらせるつもりかい?
火にくべた紙のように
There's a good life
Right across this green field
And each generation
Stares at it from afar
But we keep no check
On our appetites
So the green fields turn to brown
Like paper in fire
そこには素晴らしい人生が待ってる
この緑の草原を越えたところに
そして それぞれの世代が
遠くから眺めてるんだ
だけど俺たちは何をしたいのか
わからないでいるんだ
そうして緑の草原は
枯れて茶色くなってしまうんだ
火にくべた紙のように
Paper in fire
Stinkin' up the ashtrays
Paper in fire
Blowin' down the alleyways
Who's to say the way
A man should spend his days?
Do you let them smolder
Like paper in fire?
Paper in fire
Stinkin' up the ashtrays
Paper in fire
Blowin' down the alleyways
Who's to say the way
A man should spend his days?
Do you let them smolder
Like paper in fire?
火にくべた紙
灰皿に焦げた嫌な匂いいっぱい
燃えて灰になっていく紙
狭い路地に煙がもうもうと
日々をどう過ごすべきかなんて
誰にもわからないはずさ
だけど
人間をくすぶらせるつもりかい?
火にくべた紙のように
(Words and Idioms)
stink up【動詞】悪臭を放つ原因
alleyway= 路地、横町、狭い通路
Who's to say?〈…だなんて/…かどうかなんて〉わかりっこない
smolder=いぶる,くすぶる.〈感情などが〉(外に表われないで)くすぶる
〈目などが〉〔心の中に抑えている怒り・嫌悪などを〕表わす 〔with〕.
with no involvement from ~からの関与なしに、~が関与することなく
afar 【副】遠くに、遠く◇farの方が一般的
日本語訳 by 音時
和訳の前に引用したジョンのコメントで出ていた「ジョーおじさん」のこと。
彼のベストアルバム「The Best That I Could Do」の解説(ライナーノーツ)の「ジョン・メレンキャンプ・ストーリー“にも“ジョーおじさん”のことがこんな風に書かれておりました。
(前略)1987年にリリースされた「ロンサム・ジュビリー」は、57歳にしてやはりガンで亡くなったジョーおじさんの影を引きずることになる。
あれほどの巨体を誇っていた彼が最期にはたったの110ポンド(=約50キロ)になって集中治療室に寝かされてた。ところがマッチョなフットボール・スターのイメージを崩したくないばかりに、親しい人までも近づけようとはしなかった。伝導の書で言うところの虚栄の日々は彼にとっては永遠だったわけ。この頃、インスパイアされたのが“Paper In Fire”なんだよ。ジョーおじさんとハドと聖書とロックンロール・ライフをごちゃ混ぜにしたらかけた曲。おまけに僕の人生勉強もテーマの一部だ。(後略)
(ビルボード誌編集長 ティモシー・ホワイト)
◆また同ライナーノーツにはジョンが“Paper In Fire”についてこんな風に話していた話が掲載されておりました。
・“Paper In Fire”が聖書の、主に旧約聖書・伝道の書からの引用に基づいて書かれた曲なんだ。
・曲のテーマは真実とその因果関係。人間が人生のゴールにたどり着いた時のことについて歌ってるんだ。果たしてその結末がその人の想像通りであろうとなかろうとね。
◆いずれにせよ、この“Paper In Fire”という曲、この1987年時点でのジョン・メレンキャンプの人生観を歌った重要な一曲に間違いありません…。
◆1990年の「Farm Aid」のステージから。
◆2023年3月サンフランシスコのGolden Gateのライブから“Paper In Fire”歌います。
コメント