「俺に信じられるものをくれ…!」 ポイズンのこの曲は胸を打ちます…。


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Songwriter(s) Michaels, DeVille, Dall, Rockett

Released in 1990
US Billboard Hot100#4
From the Album “Flesh and Blood”

*原詞の引用は太字

Well I see him on the TV
Preachin' 'bout the promised lands
He tells me to believe in Jesus
And steals the money from my hands
Some say he was a good man
But Lord I think he sinned, yeah

ああ ヤツをテレビで見るよ
約束の地について説教する男さ
ヤツは俺に言う “イエスを信じろ“って
そして俺の両手からカネを盗むのさ
ヤツは良い人だったという人たちもいる
でもよ ヤツは罪を犯したと思うぜ 

Twenty-two years of mental tears
Cries a suicidal Vietnam vet
Who fought a losing war on a foreign shore
To find his country didn't want him back
Their bullets took his best friends in Saigon
Our lawyers took his wife, his kids, no regrets
In a time I don't remember
In a war he can't forget
He cried "Forgive me for what I've done there
'Cause I never meant the things I did"

22年間の心の涙を流してきた
自殺願望のあるベトナム退役軍人の叫び声が響く
異国の地で負け戦を戦ったのは誰だい?
母国が男を帰還させたくなかったことを知った
サイゴンで親友を銃弾によって奪われた
弁護士は妻と子供たちを連れて行った 
何も後悔してないよ
俺には覚えていない時代のことだけど
ヤツには忘れられない戦争のこと
ヤツは叫んだ
「俺がそこでしたことを許してくれ」
だってそんなつもりじゃなかったんだ」

And give me somethin' to believe in
If there's a Lord above
And give me somethin' to believe in
Oh, Lord arise

何か信じられるものを俺にくれよ
もし神さまがいるのであれば
何か信じられるものがないのかい
ああ 神よ

My best friend died a lonely man
In some Palm Springs hotel room
I got the call last Christmas Eve
And they told me the news

俺の親友は孤独なまま死んでいった
パーム・スプリングスのホテルの部屋のなかで
去年のクリスマス・イヴに電話があって
俺はそのニュースを教えてもらった

I tried all night not to break down and cry
As the tears rolled down my face
I felt so cold and empty
Like a lost soul out of place
And the mirror, mirror on the wall
Sees my smile, it fades again

一晩中 泣き崩れないようにしたさ
涙が俺の顔に流れ落ちたとき
とても寒くて空虚な思いがしたよ
場違いに失われた魂のような感じさ
そして鏡…壁にかかった鏡に映る
自分の笑顔が…また消えていく…

And give me somethin' to believe in
(And give me something to believe in)
If there's a Lord above
And give me somethin' to believe in
(And give me somethin' to believe in)
Oh, Lord arise

何か信じられるものを俺にくれ
(俺にくれよ 信じていいものを)
もし神さまがいるのであれば
何か信じられるものがないのかい
(俺にくれよ 信じられるものを)
ああ 神よ

Sometimes I wish to God I didn't know now
The things I didn't know then
Road, you gotta take me home

ときどき 神に祈るんだ
あの時知らなかったことを
今でも知らずにいたかったって…
道よ ホーム(心が安らぐ場所)まで連れてってくれ…

I drive by the homeless sleepin' on a cold dark street
Like bodies in an open grave
Underneath the broken old neon sign
That used to read "Jesus Saves"

ホームレスが眠る冷たく暗い街路を車で走る
開いた墓の中に重なる遺体のようさ
壊れた古いネオンサインにはかつて
こう書かれてたんだ「イエスが救う」

A mile away live the rich folk
And I see how they're living it up
While the poor, they eat from hand to mouth
The rich drinkin' from a golden cup
And it just makes me wonder
Why so many lose and so few win, hah

1マイル離れたところに住む裕福な人々
ヤツらの裕福な暮らしぶりを知ってるよ
貧しい人たちが手づかみで物を食べる一方で
金持ちは金のグラスで酒を飲む
俺はただただ不思議に思うんだ
なぜ勝つヤツが少なくて
負けるヤツがこんなに多いのかって…

And give me somethin' to believe in
(And give me somethin' to believe in)
And give me somethin' to believe in
(And give me somethin' to believe in)
If there's a Lord above
And give me somethin' to believe in
(And give me somethin' to believe in)

何か信じられるものを俺にくれ
(俺にくれよ 信じていいものを)
もし神さまがいるのであれば
何か信じられるものがないのかい
(俺にくれよ 信じられるものを)
ああ 神よ
何か信じられるものを俺にくれ

(You take the high road and I'll take the low road)
Oh Lord arise
(You take the high road and I'll take the low road)
And give me somethin' to believe in
(And give me somethin' to believe in)
Oh Lord arise
(You take the high road and I'll take the low road)
And give me somethin' to believe in
(And give me somethin' to believe in)
Oh Lord arise
(You take the high road and I'll take the low road)

(おまえは高い道を行き 俺は低い道を行く)
ああ神よ
(おまえは高い道を行き 俺は低い道を行く)
何か俺に信じられるものをくれ
(俺に何か信じられるものをくれ)
ああ 神よ 立ち上がれ
(おまえは高い道を行き 俺は低い道を行く)
何か信じられるものを俺にくれ
(お願いだ 俺に見せてくれ)
ああ 神よ姿を現してくれ
(おまえは高い道を行き 俺は低い道を行く)

Yeah, sometimes I wish I didn't know now
The things I didn't know then, yeah
And give me somethin' to believe in, yea-yeah

ああときどき願うのさ
あの時知らなかったことを
今でも知らなきゃよかったって
俺に信じられるものを誰かくれないか…

(Words and Idioms)
foreign shores =外国 
live it up=人生をぜいたくに楽しむ、おもしろおかしく暮らす

日本語訳 by 音時

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◆冒頭の歌詞に出てくるインチキ?!伝道師。
この曲の genius.com ページに下記のような情報が出ていました。

1980年代後半、説教をして金銭を要求し、それぞれ何百万ドルもの収入を得た2人のテレビ伝道者がスキャンダルに巻き込まれた。ジム・バッカーは1億5,800万ドルの財産を逃亡した罪で1989年に懲役45年の判決を受けた(ただし服役は5年のみ)。1980年のジェシカ・ハーンとの不倫でバッカーを批判したジミー・スワガートは、1988年にニューオーリンズのホテルの一室で売春婦と一緒にいるところを捕まった。支持者たちに許しを乞うた後、1991年にも同じ行為を繰り返した。

2nd Verseではベトナム戦争帰りの退役軍人の話。この話はベトナムの兵役に参加しパープルハートを2つ受章した退役軍人であるボブ・ハスリンガー(ブレット・マイケルズのいとこ)の人生の物語、ということらしいです。

◆孤独なまま、1989年のクリスマス・イヴにパーム・スプリングスのホテルの部屋のなかで死んでいった俺の親友…これはブレット・マイケルズの親友でガードマンをしていたジェームス・キモ・マーノ(James Kimo Maano)のことのようですね。

これはこの曲のSongfactsページからの情報です:

1989年のクリスマス・イヴ、ポイズンのリード・シンガー、ブレット・マイケルズの巨大なポリネシア人ボディーガードがパームスプリングスのホテルの部屋で孤独死した。彼の名はキモといい、バンドの他のメンバー同様、アルコール、ドラッグ、そして女に溺れ、健康を害していた。キモはマイケルズの個人的な友人でもあり、仲間の死を知らされたポイズンのヴォーカリストは、部屋に閉じこもってこの曲を書くことで反応した。キモはビデオで見ることができる。

その時のブレッドの精神状況でいえば、様々なことが重なって、人生や生きることの意味、そして何を信じればいいのかわからなくなってしまっていた…ってことなんでしょう…。


Something_To_Believe_In


◆最後のコーラスで繰り返し出てくるフレーズ、You take the high road and I'll take the low road
「おまえは高い道を行き 俺は低い道を行く」ですが、これはスコットランドの伝統的な歌「ロッホ・ローモンド」(The Bonnie Banks o'Loch Lomond)」から取られた表現のようです。
(参考「世界の民謡・童謡」ページ

ブレット・マイケルズはこの曲を書くきっかけになったのは「キモの死だった」ということでは、キモに捧げたフレーズなのかもしれません。よくしてくれたキモも魂は高い道で天国に行き、自分はまだしぶとく生きていくよ(低い道を行く)ということなのかなと捉えました…。


(PS)なんと、この曲にはアコースティック・ヴァージョンがあり、違った歌詞を歌っているという情報が…。別途、和訳しましょう…(^_^;)。→こちらです





◆ポイズンのブレット・マイケルズ 「Something to Believe in」のアコースティック・パフォーマンス映像公開(amass.jp 2023/01/02