A面2曲め、アルバムタイトルにもなっている“An Innocent Man”。この曲は、ドリフターズ、そしてベン・E・キング、のオマージュでしょうかね。

◆この曲、ビリーが途中で高音で歌いますよね。

この曲のウィキペディアにありましたが、1997年にビリーはインタビューでこう言ってます。

"あの音を出せるのはあれが最後になるんじゃないかという疑念があったんだ、だから栄光のうちに消えてしまわないか?それが“ビリーのハイノートの最後“だったんだ“

(ビリーは今ではライブでこの曲の高音のパートをバックボーカリストに譲ってるとのこと、です)

◆「イノセント・マン〜ビリー・ジョエル100時間インタビュー」(フレッド・シュルアーズ著 プレジデント社)を読みました。(図書館で借りて)

An_Innocent_Man_single



◆ビリーはアルバム「イノセント・マン」を“クリスティ・ブリンクリーに捧げたアルバム“と言っており、このタイトル曲を“求愛の初期の段階の歌“とコメントしていますね。

 ビリーとクリスティがあった時、クリスティもすでに結婚と離婚を経験していて、ちょうどその時はカー・レーサーと真剣に交際していた時期でした。
 ところが事件が起きます。クリスティと交際相手の関係が急に冷めてきた頃…そのカー・レーサーが練習中に事故を起こし不幸にも亡くなってしまいました。

 クリスティは表舞台から身を引き、喪に服します…。

ビリーは交際相手の事故を新聞で知り、クリスティのことを思って“誰か話し相手が必要だったら僕はいつでもなるよ…”と連絡を送ります…。

◆もちろん、“An Innocent Man”の歌詞が、そのときにクリスティと話した内容そのものではないものの、ビリーがそんな状態のクリスティと何回かやり取りしたことをモチーフに書かれているということなのでしょう。

InnocentBilly


(Billy Joel)

Released in 1983
US Billboard Hot100#10
From the Album “An Innocent Man”

*原詞の引用は太字


Some people stay far away from the door
If there's a chance of it opening up
They hear a voice in the hall outside
And hope that it just passes by

ドアに近づかないようにしてる人たちがいる
もしドアが開いてしまったら
外のホールで立ち聞きするんだ
早く通り過ぎてくれないか祈るのさ
 
Some people live with the fear of a touch
And the anger of having been a fool
They will not listen to anyone
So nobody tells them a lie

誰かに触られる恐怖を抱えて生きる人たちがいる
自分が愚かだったと怒りを覚え
誰の話も聞こうとはしない
だから誰も彼らに嘘はつかないけれど

I know you're only protecting yourself
I know you're thinking of somebody else
Someone who hurt you

きみは自分を守ることばかりしてる
そうさ きみは誰か他のヤツを思ってるんだ
きみを傷つけた誰かさんのことを

But I'm not above making up for the love
You've been denying you could ever feel
I'm not above doing anything
To restore your faith if I can

だけど僕なら愛を取り繕うことができる
きみはその気がないふりをずっとしてきたけど
きみが信頼できることを取り戻すために
僕ができるのなら 僕はなんだってするよ

Some people see through the eyes of the old
Before they ever get a look at the young
I'm only willing to hear you cry
Because I am an innocent man

若者たちをありのままに見ようとせず
もう年だから…という瞳で見る人たちがいる
僕はただきみが泣くのを聞くだけでもいい
だって僕は純粋な人間だからさ…

I am an innocent man
Oh, yes I am

ああ純粋な人間だよ
そう それが僕ってヤツさ

Some people say they will never believe
Another promise they hear in the dark
Because they only remember too well
They heard somebody tell them before

暗闇で交わした約束を
決して信じない人たちがいる
なぜなら彼らはよーく覚えてるんだ
以前にそんな約束を聞いたことがあるからね

Some people sleep all alone every night
Instead of taking a lover to bed
Some people find that it's easier to hate
Then to wait anymore

恋人をベッドに誘うことをせず
ずっと毎晩一人で寝てる人たちがいる
ずっと待ち続けるより
憎む方が簡単とわかってる人たちがいる

I know you don't wanna hear what I say
I know you're gonna keep turning away
But I've been there

僕の言うことをきみは聞きたくないんだね
きみはずっと向こうを向いたままかい
だけど僕は…ずっとそこにいる

And if I can survive I can keep you alive
I'm not above going through it again
I'm not above being cool for a while
If you're cruel to me, I'll understand

僕が生き延びれるなら
きみを生かし続けてあげられるよ
しばらくじっとしたままでも構わない
きみが僕に残酷にあたっても
僕は理解してあげられる

Some people run from a possible fight
Some people figure they can never win
And although this is a fight I can lose
The accused is an innocent man

勝ち目がある戦いから逃げる人たちがいる
勝てっこないと思ってしまう人たちなんだ
この戦い 僕は負けても良いと思うけど
罪を背負うのは「無実の男」なんだから

I am an innocent man
Oh, yes I am
An innocent man

You know you only hurt yourself out of spite
I guess you'd rather be a martyr tonight
That's your decision

きみはやけになって自分を傷つけるだけ
今夜は殉教者にでもなろうとしてるんだろう?
それがきみの結論なんだね

But I'm not below anybody I know
If there's a chance of resurrecting a love
I'm not above going back to the start
To find out where the heartache began

だけど僕は誰の指図も受けないよ
もしも愛が再び蘇るチャンスがあるのなら
最初からやり直したってかまわない
心の傷がつけられた原因を探るためなら

Some people hope for a miracle cure
Some people just accept the world as it is
But I'm not willing to lay down and die
Because I am an innocent man

奇跡的な救いを望む人たちもいる
世界をありのままに受け入れる人たちがいる
だけど僕は横になって死を待つつもりはない
なぜって僕はイノセント・マンだからね

I am an innocent man
Oh, yes I am
An innocent man
そう僕は“イノセント・マン”
きみのための
“イノセント・マン”なんだ…

Oh ho ho ho

(Words and Idioms)
not above 《be ~》必要とあらば~するのをためらわない
restore 【他動】 〔~を〕元の場所[持ち主]に返す[戻す] 〔~を〕元の状態に戻す
out of spite=正気を失って; ひどく取り乱して
resurrect ; 1. 再び動き出させる · (cause to become alive again) ; 2. 生還する

日本語訳 by 音時
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◆「An Innocent Man」(イノセント/マン)

…“Innocent”は


 ・無実の,罪のない,潔白な 
 ・悪気のない
 ・無害な · うぶな,経験のない
 ・無邪気な,天真爛漫な · 無知な

など、いろんな意味がありますが、
“ you're thinking of somebody else Someone who hurt you“ という歌詞のように、彼女の相手が彼女を傷つけてる、としたら、
 僕は きみを傷つけたりしない=無実、潔白だよ(Innocent)という意味でしょう。

また、“I'm only willing to hear you cry,Because I am an innocent man“という歌詞からは、

 僕には何を言ったって大丈夫さ
 だって僕は“人畜無害”(Innocent)だからさ…。

うーん、最後の“But I'm not willing to lay down and die Because I am an innocent man“からは、
 僕は横になって死を受け入れるつもりはない
 だって僕は“天真爛漫”な男だよ。悲観なんてせずに今を大切にするヤツさ

 なんて意味も感じますね。

◆ライブで歌う“イノセント・マン”。いろんな名曲のフレーズを最初に歌い、“An Innocent Man”に移っていきます。おっ、このライブでは高音の部分、ビリーが自分で歌ってるぞ。




◆Ben E.King “Spanish Harlem”。うむうむ、なるほど…。