ダンの2枚組の大作「イノセント・エイジ」。タイトル曲であるこの曲はA面2曲めに位置していました。
なんといってもタイトル曲ですから、ダンがこのアルバムについてトータルに意味をもたせようと考えたのであれば、この曲の内容やタイトルの意味を掴みたいと思って聞いていました。
が…当時の僕にはその意味はよくわからなかったな。


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ただ、LPのジャケットは、タイトルを表したように真っ白(その中に置かれた古い?人形)であり、LPを聴くときには手垢で汚しちゃいけないと、いつも手を洗って触るようにしていました。

 それでもいつの間にか知らないうちに僕の指紋が付いてしまい、それが落ちないとわかったときに、なんだか汚してしまったいやーな気分を感じたこともありました…!(^_^;)


◆ライナーノーツのこの曲の歌詞の上部には、次のように書かれておりました。
 
 “respectfully dedicated to Buffaro Springfield“
「敬意を持って バッファロー・スプリングフィールドに捧げる」


バッファロー・スプリングフィールドと言えば、1960年代のウエスト・コーストのロックバンドですね。


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Wikipediaによると、結成は1966年4月で解散はそのわずか2年後の1968年5月。

スティーヴン・スティルス、リッチー・フューレイ、そしてニール・ヤングと大御所が個性を発揮させつつ生み出した音楽が、多くのミュージシャンに影響を与えました。ダンもその1人だったんだろうな。


そうすると、この“The Innocent Age”とは、バッファロー・スプリングフィールドが活動していた頃の時代や、その頃のダンが感じていた想いを曲にしたもの…なのかな。
この曲のバックコーラスは、バッファロー・スプリングフィールドのメンバーだったリッチー・フューレイが参加しています。


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(Dan Fogelberg)

Released in 1981
From the Album “The Innocent Age”

*原詞の引用は太字


Capture the moment carry the day
Stay with the chase as long as you may
Follow the dreamer, the fool and the sage
Back to the days of the innocent age

その一瞬を切り取り 一日を運んで来よう
追い続けるんだ 可能な限り
きみがあの頃の夢想家や愚か者
そして賢者に付いていくつもりなら
あの日々に戻ろう 無垢な時代のあの日々に

Storybook endings never appearThey're just someone's way of leading us here
Waiting for wisdom to open the cage
We forged in the fires of the innocent age

物語の結末は決して訪れない
僕たちをここに連れてくるのは他人のやり方さ
檻を開ける知恵を待って
僕たちは鍛えられた 無垢な時代の炎のなかで

Back at the start it was easy to see
No one to own to, nowhere to be
Deep in the heartlands a sad memory
calls to me (calls to me)


始まりに戻ればすぐわかること
誰のものでもなく どこにでもあるもの
心の奥底で悲しい記憶が
僕に呼びかけてくる(僕を呼んでる)


Fretful horizons, worrisome skies
Tearful misgivings burning your eyes
Yearnings unanswered, 
reckon the wage you pay
To recapture the innocent age

不安に波立つ水平線  崩れそうな空
涙に濡れた瞳が 不安でいっぱいさ
切望しても答えは返ってこず
支払うべき代償を計算してる
きみが無垢な時代を取り戻すために


Back at the start it was easy to see
No one to own to, nowhere to be
Deep in the heartlands a sad memory
calls to me (calls to me)

始まりに戻ればすぐわかること
それは誰のものでもなく どこにでもあるもの
心の奥底で悲しい記憶が
僕に呼びかける(僕を呼んでる)

Fretful horizons, worrisome skies
Tearful misgivings burning your eyes
Yearnings unanswered, reckon the wage
You pay to recapture the innocent age


不安に波立つ水平線 崩れそうな空
切望しても答えは返ってこず
支払うべき代償を計算してる
きみが無垢な時代を取り戻すために


(Words and Idioms)
forge · 築き上げる,(努力して)成し遂げる 
fretful=気難しい、〔水面が〕波立つ、〔風が〕突風性の
misgiving 【名】懸念、不安、心配、疑念
unanswered 【形】 返答[返事]のない、うやむやにされた
reckon 【他動】 〔~を〕数える、〔~を〕計算する
wage =賃金

日本語訳 by 音時



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◆アルバム「イノセント・エイジ」のライナーノーツには、米国の小説家 トーマス・ウォルフの詩の1フレーズが掲載されています。

Man's youth is a wonderful thing:
It is so full of anguish and of magic
and he never comes to know it as it is,until
it has gone from him forever

 - Thomas Wolfe


ひとの青春とはすばらしいもの
それは苦悩と魔力に満ちていて
ひとはありのままに知ることはできないものだ
それが永遠に自分から過ぎ去ってしまうまで

 トーマス・ウォルフ


◆この詩は実際にはもう少し長いようですね。(こんな風に続くようです

また、この詩(のこの部分)はトーマス・ウォルフの「時と川について(Of time and the river)」という自伝的小説の一部のようです。(日本では未訳の書籍らしい)

「時と川について」は1935年の作品で、トーマスの処女作『天使よ故郷を見よ』の続編で,副題に「若き日の飢えの物語」とあり,作者の分身である主人公ユージン・ガントが故郷を離れハーバード大学の演劇コースに学び,ニューヨーク大学の英語教師をしたのち,ヨーロッパ旅行をして帰国するまでの5年間の精神的彷徨を描いた 40万語に及ぶ膨大な教養小説…、
だそうです。
コトバンク

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◆楽曲“The Innocent Age”の和訳はなかなか難しかったのですが、

要するに、ダンは

トーマス・ウォルフの詩に書かれているメッセージのようなこと〜バッファロー・スプリングフィールドが活躍していた頃がとってもいい時代であったが、その素晴らしさはその時にはわからなかったが今になって感じている…

ということなのでしょう。(あの〜、そのことは誰でもわかっているのでは)(^_^;)

◆アルバム「イノセント・エイジ」。これからも聴き続けたいし、収録された楽曲は一曲でも多く、自分なりに和訳していきたいと思っております。(でも、1曲ずつ詳細に味わっていくと、トータルの良さから離れていってしまうこともまたあるんですよね〜)

◆ダンのライブ映像から。
アルバム「イノセント・エイジ」のオープニングに収録されていた“Nexus(光年の果てに)”。