アルバム「Band On The Run」のA面1曲め、2曲め。この2曲が連続で聴くのは…なんて豪華で迫力のあるA面なんでしょう!\(^o^)/ テンション高くなりますなあ…!
◆小学校の時から知ってたこの曲、“ジェッツ!”(ポールの発音は“S”が入ってると思います)、タイトル通り“ジェッツ!”=スピード!のあるロックソングで大好きでした。やっぱりタイトル通りのシャウトから始まる曲で、覚えやすさもありましたね。
◆ポールが自分の作った曲の歌詞についてコメントした本「ザ・リリックス」の“Jet”のページにもこんな風なコメントがありました。(「ザ・リリックス」)
「ビートルズ時代に僕らはヒット曲の書き方を学んだ。何しろ僕らはビートルズだったから、そうしなければならなかった。失敗作を書くわけにはいかない。それはビートルズにふさわしくなかったからね。(中略)“Jet”はぼくが知っている多くのコツの中からシャウトを活用している。シャウトは常に曲のオープニングに最適だ」
はい、ほんとそう思います!(^o^)
◆でもポール・マッカートニー&ウイングスでも、和訳して面白かった“Band On The Run”や“Listen What the Man Said(あの娘におせっかい)”もあれば、歌詞はよーわからん、という曲もあり、この曲“Jet”は真面目に歌詞の意味を追っても、その背景やポールのコメントなどを調べないと「まったく意味がわかりません」(^_^;)。そんなこともあって、僕は以前やっていたブログを始めたのが2013年のことなのですが、この10年間、“Jet”の和訳は手をつけずにおりました。
だって、ポール自身も、当初は“Jet”は飼っていたラブラドール・レドリバー(Labrador Retriever)犬の名前だと言っていたのに、その後、「ジェットとは、実は農場で子供たちのために飼っていた、小さなシェットランドポニーの名前なんだ。」と修正をしているんです(^_^;)。
・レドリバー説は2009年のローリングストーン誌のインタビュー
・ポニー説は、前述した「ザ・リリックス」です。現在はこのポニー説が有力な様子です。

映画「ロックショウ」公開記念で日本では「Wings Over America」から“Jet”のライブバージョンがシングルになりました。
◆“Jet”のSongfactsページには、“ポニー説”でこのあたりのことが書かれていました。
Jet "はポール・マッカートニーと妻のリンダが飼っていた黒いポニーの名前で、このポニーは曲のタイトルになっています。マッカートニー夫妻はさまざまな動物を飼っており、当時はゴールデンラブのポピー、ダルメシアンのラッキー、老牧羊犬のマーサ(ビートルズの曲「マーサ・マイ・ディア」から)などがいました。"Jet "が選ばれたのは、その名前が、アリーナで演奏するときに拳を突き上げるのに最適な、まさにスタジアム向きのタイトルになるからです。ポールは「ヘルタースケルター」で狂気について歌ったときに、遊園地の乗り物をタイトルにしたのと同じようなことをしたのです。
(ヘルター・スケルターは遊園地の巨大な滑り台の名前ですね)
◆ただ、“Jet”が飼っていたポニーの名前である、ことがほぼ判明したとしても、この曲の歌詞はまだよくわかりません。
このことについて、Songfactsのページにはこんなことも書かれていたので、ぼんやりわかってきました。(GQ in 2018, Paul McCartney told the story behind this song:)
すべての歌詞がどこから来たのかわからない。だけどJet "の由来は知っているよ。歌詞は、たぶん私と義父のことを歌っているんだと思う。結婚して間もない頃、お義父さんがちょっと厄介だったんだよ。彼はおそらく「少佐」なんだろうけど、ただの歌だから、自分のことは自分で解決するんだ。
ポールがリンダと結婚した頃・した後、とくにリンダのお父さんとの関係が難しかった?あたりの出来事と、家族で飼っていたポニーの“Jet”のこと、また、スタジアム級のライブ会場で拳を振り上げて観客みんなでシャウトする曲を作りたかったことがごっちゃになった曲なんですね。
おまけになりますが、この前年にデヴィッド・ボウイがアルバム「ジギー・スターダスト」(原題「THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS」)にて、“Suffragette City”を収録してリリースしましたが、ポールは参政権を求めて戦う女性を指す「サフラジェット」という言葉が浮かんでいたんじゃないかという説があります。ポールは言葉が“バカみたいに聞こえるから好きなんだ(It sounded silly,so I liked it.)“と言っていますね。
'Suffragette' was crazy enough to work. It sounded silly, so I liked it.
— –Paul McCartney, Paul McCartney: In His Own Words.(ポールのインタビュー本)
リハーサルのデモ フェード・アウトでない終わり方もカッコいい!
Songwriter(s)
Paul McCartney、Linda McCartney
Released in 1974
US Billboard Hot100#7
From the Album “Band On The Run”
*原詞の引用は太字
(Jet, Jet)
(Jet)
I can almost remember their funny faces
That time you told them you were going to marrying soon
And Jet I thought the only lonely place was on the moon
ジェット ジェット
ジェット!
あいつらのおかしな顔が目に浮かぶようさ
きみがもうすぐ結婚すると言った時の
あいつらの顔ときたら!
ジェット
僕は寂しい場所は月の上だけだと思ってたよ…
(Jet, Jet)
Jet was your father as bold as the sergeant major
How come he told you that you were hardly old enough yet
And Jet I thought the major was a lady suffragette
ジェット ジェット
きみのお父さんは
鬼軍曹みたいに勇敢だったんだよね?
きみにまだ結婚するのは早いってどうして言ったのかな?
ねえ ジェット
僕は 少佐は 婦人参政権論者 だと思ってたんだよ
(Jet, Jet)
Ah mater want Jet to always love me
Ah mater want Jet to always love me
Ah mater, much later
ああ母さん ジェットにいつも愛されたいんだ
ああ母さん ジェットにいつも愛されたいんだよ
ああ母さん ずっといつまでもさ…
(Jet)
And Jet I thought the major was a lady suffragette
(Jet, Jet)
そうさジェット
僕は少佐は「サフラジェット」だと思ってたんだ
Ah mater want Jet to always love me
Ah mater want Jet to always love me
Ah mater, much later
Jet
with the wind in your hair
Of a thousand laces
Climb on the back and we'll go for a ride in the sky
And Jet
I thought that the major was a little lady suffragette
ジェット
風にたなびくおまえのレースのような髪とともに
背中に乗って 僕たちは空へひとっ飛びしよう
そうさジェット
僕は思ってたんだ 少佐はサフラジェットなんだって
(Jet, Jet)
And Jet you know I thought you was a little lady suffragette
(Jet)
A little lady
My little lady, yes
可愛いレディ
僕のレディ そうさ…
(Words and Idioms)
How come? =(口語でインフォーマルな質問の仕方)なぜ物事がそうなったのか、なぜそのような状況になったのかを訊ねる。 特に驚いた時にこのフレーズを使う。
Suffragettes=19世紀末から20世紀初頭にかけて、「参政権」(英語: Suffrage)、つまり選挙で投票する権利を女性にも与えるよう主張する女性団体のメンバーだった人々を指す。
mater= おっかさん、おふくろさん
much later=かなり後に
日本語訳 by 音時

◆はい、後半はジェットの背に乗って遊んでる娘たちの風景などを見て歌詞を書いたのでは?という気もしますね。
“ああ Mator”の部分もよくわからないのですが、「ザ・リリックス」の“Jet”の解説には、
“Mator”の起源は、学生時代のラテン語の授業まで遡る。歌詞では想像上の母親だけど、実の母親の亡霊がいつも背後にぼんやりとたたずんでいたと言っても過言ではない。
とのこと。

「ザ・リリックス」より、リンダのお父さんリー・イーストマンの肖像(確かにちょっと怖そうな…笑)と、
ジェットの背に乗るメアリーの写真が載っていました。
ですので、この曲“Jet”については前述しましたが、
ポールがリンダと結婚した頃・した後、とくにリンダのお父さんとの関係が難しかった?あたりの出来事と、家族で飼っていたポニーの“Jet”のこと、また、スタジアム級のライブ会場で拳を振り上げて観客みんなでシャウトする曲を作りたかったことがごっちゃになった曲
というまとめになります(^_^;) (おしまいです)
◆やっぱりこのライブがカッコいい!Wings Over Americaのオープニング。“Venus and Mars / Rockshow”
からの〜“Jet”!
◆“Jet”のシングルジャケットはやっぱり日本のものが一番カッコいいですよね。“Jet”というとすぐにこのポールのカッコいい写真が頭に浮かんできます。

下の2点は海外のもの。ちょっとわけわからない感じですよね(^_^;)。
ジェット機に乗った風景のポスターと、シンクロナイズドスイミング?
(今はアーティスティックスイミングに名前が変わりましたね)


◆やっぱりこのライブがカッコいい!Wings Over Americaのオープニング。“Venus and Mars / Rockshow”
からの〜“Jet”!
◆“Jet”のシングルジャケットはやっぱり日本のものが一番カッコいいですよね。“Jet”というとすぐにこのポールのカッコいい写真が頭に浮かんできます。

下の2点は海外のもの。ちょっとわけわからない感じですよね(^_^;)。
ジェット機に乗った風景のポスターと、シンクロナイズドスイミング?
(今はアーティスティックスイミングに名前が変わりましたね)


コメント
コメント一覧 (16)
女性の参政権を求める運動団体サフラジェット…テロ行為は許されませんが、自らの生命を賭した人たちがいたことは覚えていかないといけませんね…。
https://www.news-digest.co.uk/news/features/16117-womens-suffrage-movement.html
音時
が
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ポールが意図したのかわかりませんが、馬と
サフラジェットが出てくるこの曲から、その事件を連想する人もいると思います。
ブラックバードなど比喩的に人権を歌うことがあるポールなので、私はこの曲からそのように感じる時があります。
音時
が
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音時
が
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中3の頃はよくラジオで流れてまして、ポール&ウィングスの好きな楽曲になりました。
歌詞内容を知っても好きですけどね。
音時
が
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音時
が
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こんにちは、久しぶりに覗きに来ました。直してくださったのですね、ありがとうございます。歌の歌詞の単語は韻を踏んだりシラブル合わせのために変わった語を使うことがあるので厄介です。
ただ、軍の階級等はアメリカ・イギリスの映画やドラマを見ていると結構出て来ますので、そう言うのを見ておくとイメージが湧くかもです。(海軍陸軍で呼び方が違ったり面倒ですが)
「鬼軍曹並みに勇気があるの?まだ若いなんていうとかさ?『軍曹』(=お父さん)って、女性の自由を認めてる人だと思ったんだけどな」
ウーマンリブ…60〜70年代の香りがしますね
話は変わり、Over USAの映画、映画雑誌か音楽雑誌で日本でも封切りされると知って、それでチケット購入用に小遣いキープしてたのですが、住んでた所が田舎過ぎたために一年待っても地元で封切りされることはありませんでした(泣
ソロ来日の時の逮捕でびっくりしたり…生ポールはそれから随分経った2002年だったか、ウクレレでジョージのSomethingをやり始めた頃のツアーで初めて見ました。もう年甲斐もなく泣きながら一緒になって歌ってました(恥
音時
が
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音時
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今年もよろしくお願いいたします。
全米トップ40スペシャル、楽しく拝聴いたしました。
以前ポールの曲で検索をかけたときにこの曲は見当たらず、有名曲にもかかわらずなぜないんだろうかと思っていたのですが、こんなつかみどころのない歌詞だったんですね。
また、ジェットはずっと飼い犬だと思っていたのですが、この記事で初めて馬だと知りました。調べてみると、最近出版された本だったので知らない人がいても無理ないなと思いました。
最後に、今年もブログの更新楽しみにしております。私の家族が昨年末にコロナに感染し、なかなか大変だったのでお体の方もご自愛なさってください。
音時
が
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和訳も「鬼軍曹」と変更させていただきました!
音時
が
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Sergeant Majorは曹長で、鬼軍曹とかそんなイメージのある階級の様な気がします。
士官学校を出たペーペー少尉の下につく叩き上げの40近い軍曹のイメージです。
音時
が
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1985年(昭和60年)の出来事。
ラグビー新日鉄釜石が7連覇、つくばで科学万博、青函トンネル本坑が貫通、NTTが誕生、豊田商事事件、PL学園のKKコンビ最後の甲子園で優勝、日航ジャンボ機墜落事故、ロス疑惑の三浦和義容疑者逮捕、プラザ合意、夏目雅子が急逝、阪神タイガース優勝で大フィーバー。
の年でした(-。-;。
音時
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音時
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音時
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もっと、シンプルな歌詞かと思っていました。飼っていた犬のことを歌ったという話は聞いたけど…。それが馬で、リンダのお父さんとの関係も含まれているとは…。音時さんの解説を読んで、だいぶスッキリしました。それでも、よく分からない内容ですね。
アルバム『バンド・オン・ザ・ラン』は、ポールのアルバムとしては5作目で、ウイングス名義では3作目。ボクは、このアルバムは名盤だと思っています。
当時、ラスト・ナンバーの「1985年」は、まだまだ先のことと思っていました。それで、1985年になったらこの曲で新年を迎えようと思っていました。(実際、かけましたよ)
でも、40年近く前になってしまったんですね。時の流れが速すぎます。
音時
が
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JETは中学生の時に聴いて「カッコイイ曲!!」と思ってすぐ好きになりました。
当時は、ジェット機を想像して空を飛ぶ歌なんだろうと思っていましたが、
レコード買って歌詞を見て、全然関係なかったのに絶句(-_-;)
なかなか、難しい歌詞ですが、ご説明いただき納得できました。
個人的には、ウィングスといえば、これとマイラブと心のラブソングです。
あとはほとんど消滅した「Girls School」。
歌詞に問題があるらしいですけど、曲として好きでした。
音時
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音時さん、よく解明されましたね。さすがです。和訳、解説、感動しました!
この曲がヒットした頃、僕は中学生でした。全米TOP40を聞き始める前なんですが、大好きで、日本盤シングルレコードの和訳だったか?何度も何度も読んだ記憶があります。しかしながら、まったく理解不能でした。Jetって女の子の名、又はあだ名かって思ったことを思い出しました。
Jetはポニー。Suffrangetteの含む意味は、『リンダの父は当時時代を先取りしたSuffeangetteのようだと思っていたけど、何故、結婚は、まだ若いなんて古い事を言うんだろう?』ですかね。この単語もJet同様に叫べるような音韻ですね。響きがかっこいい。またMatorって母、ここも面白い。
しかし、この歌詞、イギリスがバックグランドの英語圏の人はそれなりに、感覚的に、背景的に理解できると思いますが、アメリカ等、その他の英語圏の人には理解できるのかな?というか、どんな意味だろうと思って、紐解きを追って感動する面もあるんじゃないかな、とも思いました。
音時
が
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