水曜の朝5時から始まる、ある家庭での できごとです…。


Writer(s): Paul Mccartney, John Lennon 

Released in 1967
From The Album
“Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band”

*原詞の引用は太字

Wednesday morning at five o'clock as the day begins
Silently closing her bedroom door
Leaving the note that she hoped would say more
She goes downstairs to the kitchen 
clutching her handkerchief
Quietly turning the backdoor key
Stepping outside she is free

水曜の朝5時 1日が始まる頃
彼女は寝室のドアを静かに閉め
まだ書き尽くせない想いの書き置きを残す
彼女は階段を下りてキッチンに向かう
ハンカチーフを握りしめて
静かに裏口の鍵を回し
表に踏み出すと 彼女は自由...

She
 (We gave her most of our lives)
Is leaving
 (Sacrificed most of our lives)
Home 
(We gave her everything money could buy)
She's leaving home after living alone
For so many years 
(Bye bye)

彼女は...
(あの子に人生のほとんどを捧げた)
家を...
(人生のほとんどを犠牲にしてまで)
出て行く...
(お金で買えるものは何でも買ってあげた)
彼女は家を出て行く 
もう何年もずっと孤独を味わってきたんだ
(バイバイ)

Father snores as his wife 
gets into her dressing gown
Picks up the letter that's lying there
Standing alone at the top of the stairs
She breaks down and cries to her husband 
"Daddy our baby's gone
Why would she treat us so thoughtlessly?
How could she do this to me?"

父親はいびきをかいてる横で
母親がガウンをまとう
そこに置いてあった書き置きを手に取り
階段のてっぺんにひとり立ちつくす
母親は泣き崩れ夫にこう言う
"お父さん あの子が出て行ったわ"
どうしてこんなに軽はずみなことをする?
どうしたら私にこんな真似ができるの?

She
  (We never thought of ourselves)
Is leaving
 (Never a thought for ourselves)
Home
 (We struggled hard all our lives to get by)
She's leaving home after living alone
For so many years 
(Bye bye)

彼女は...
(自分たちのことなんて考えなかった)
家を...
(自分たちのことなどこれっぽっちも)
出て行く...
(何とか生きてくために懸命に努力してきた)
彼女は家を出て行く 
もう何年もずっと孤独を味わってきたんだ
(バイバイ)

Friday morning at nine o'clock she is far away
Waiting to keep the appointment she made
Meeting a man from the motor trade

金曜の朝9時 彼女はもう家から離れ
約束をした相手を待ち続けてる
車の売り買いをする男に会うんだ

She...
 (What did we do that was wrong)
Is having...
 (We didn't know it was wrong)
Fun...
 (Fun is the one thing that money can't buy)
Something inside that was always denied
For so many years 
(Bye bye)

彼女は...
(私たちのやってきたことは間違いだった)
楽しみを...
(間違ってるとも気づかずに)
味わってる...
(お金がなくても楽しかったのに)
心の奥の何かがいつも
それはおかしいと否定していたんだ
長い間ずっと…
(バイバイ)

She's leaving home
Bye bye 

彼女は家を出て行く
バイバイ...

 
(Words and Idioms)
clutchの=〈…を〉ぐいとつかむ,しっかり握る
snore=いびきをかく
thoughtlessly=軽率に、不注意に、よく考えないで -

日本語訳 by 音時


Shes_leaving_home


 美しいハープの音色のなかで、ポールが冷静な声で今の時間を告げます。"Wendsday morning at 5 clock…"。

そんな早朝に「彼女は出て行こうとしている」というタイトルのこの曲ですが、物語の主役は「彼女」ではありません。心のうちが語られるのは「彼女の両親」です。

◆メインのボーカルはポール。ポールの視点は「第三者の視点」で客観的な風景を主に歌います。そしてこの曲の秀逸だなあと思うのは、ジョンが入れるコーラス。
 "she...is leaving…home…"とポールが歌う間にジョンが歌うのは「両親の心のなか」。初めてこの曲を聴いたときは、「スゴイ歌だ!」と感動しました。"あんなにあの子のために、何もかも犠牲にして、私たちは尽くしてきたのに…"。


 ところが彼女の方は、こんなに思われていたのに…"She's leaving home after living alone for so many years"。ずっと長い間一人ぼっちの時代を過ごして今家を出て行く…んですね。親に構われていたけれど、彼女自身はずっと"一人ぼっち"を感じていたんですね...(-_-;)。

 両親はお金がなくたって我が家は幸せなんだと思っていたのですが、彼女は心のなかで何かが違うといつも否定していた…。親子、世代間の断絶…ということなんでしょうか。両親からすると、娘は家を出て行ってどこに行ったのかもわからないのですが、ポールとこの曲を聴く私たちは彼女の行先を知っています。せめて車関係の男がいい人であってほしい…と願わずにはいられません…。


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◆この曲のSongfactには次のように書かれていました。

 この曲は当初マッカートニーのアイデアでした。ポールが読んだデイリー・ミラー紙(1967年2月27日)に掲載されていた本物の話を元にしています。17歳の少女で名前はメラニー・クー(Melanie Coe)という名前の17歳の少女が年上の「賭博場の元締め(croupier)」の少年と家出をしたという話でした。

また、ウィキペディアではこんな情報もあります。

この曲のタイトルおよび歌詞は、ポールが家出した少女について書かれた「デイリー・ミラー」の記事から取ったが、実際に少女が家出したのは歌詞に出てくる「水曜日の朝5時」ではなく、両親が不在だった午後である。この曲のサビ「彼女は」「出て行く」「家を」の合間に歌われる部分はジョン・レノンがコーラスを担当しているが、これも新聞に書かれていた言葉である。

 "She's Leaving Home"は、ビートルズ、レノン=マッカートニーの「才能」を感じるベストな1曲ですよね。

◆ポールのライブ。Live in Red Square Moscow, Russia