アルバム「ニューヨーク物語」から「楽しかった日々」です。
◆ビリーはLAのライフスタイルとは決別して、ニューヨークに戻ってきました。当時ニューヨーク市は経済危機に直面していました。ビリーは言います。
このアルバム「ニューヨーク物語」を作成したとき、妻のエリザベスがマネージャーだった。僕はカリフォルニアからニューヨークに拠点を戻したんだ。というのは、ニューヨーク市は経済危機で、破綻したらどうなるか想像できるだろう。ニューヨーク市は連邦政府に援助を求めた。その時に話題になったデイリー・ニュースの見出しがあった。「フォード大統領NY市に宣言:くたばれ」。それをLAで見た僕は「帰ろう」と決めた。ニューヨークが破綻するなら僕も一緒に道連れになろうじゃないかと思ったんだ。だからこれはニューヨークの街への想いを綴ったアルバムなんだ。
◆「ニューヨーク物語」が「さよならハリウッド(Say Goodbye To Hollywood)」で幕を開け、あの名曲「ニューヨークの想い(New York State Of Mind)」も入っていますね。「夏、ハイランドフォールズにて」「ジェイムズ」など僕の好きな曲も…。

ビリーは「コンセプトアルバム」という言い方はしていないようですが、これは間違いなく、ハリウッドに別れを告げ、ニューヨークに戻ってきたビリーが、そこでの人間模様を歌い、またどうして経済危機になってしまったか、その暮らしぶりに疑問を投げかけたものでしょう。
そしてアルバムのラスト「マイアミ2017」では"ブロードウェイの灯りは消えて"…しまっているんです。

Songwriters JOEL, BILLY
そして この「楽しかった日々」はB面のラスト前の曲。(ラスト曲は「マイアミ2017」)。

ビリーは「コンセプトアルバム」という言い方はしていないようですが、これは間違いなく、ハリウッドに別れを告げ、ニューヨークに戻ってきたビリーが、そこでの人間模様を歌い、またどうして経済危機になってしまったか、その暮らしぶりに疑問を投げかけたものでしょう。
We drown our doubts in dry champagne
And soothe our souls with fine cocaine
I don't know why I even care
We'll get so high and get nowhere…
ドライ・シャンペンで疑念を沈め
上等のコカインで魂をなだめすかす
どうしてだか ちっともわからないのさ
とてもいい気分になってもどこにも行けない…
そしてアルバムのラスト「マイアミ2017」では"ブロードウェイの灯りは消えて"…しまっているんです。

Songwriters JOEL, BILLY
Lyrics c Universal Music Publishing Group
Released in 1976
From The Album"Turnstils"(ニューヨーク物語)
*原詞の引用は太字
Now we take our time,
So nonchalant
And spend our nights so bon vivant
We dress our days in silken robes
The money comes
The money goes
We know it's all a passing phase
さあ ゆっくりとしようじゃないか
何も考えず
夜ごと陽気に過ごせばいいさ
日々の暮らしをシルクのローブで飾るんだ
お金なんて気にしなくていい
だってすべては通り過ぎて行くものさ
We light our lamps for atmosphere
And hang our hopes on chandeliers
We're going wrong, we're gaining weight
We're sleeping long and far too late
And so it's time to change our ways
But I've loved these days
周りの灯りをともして
シャンデリアに希望をぶら下げよう
僕たちは間違っているんだ
僕たちは肥えていくばかり
寝坊してしまい 起きたときにはもう手遅れ
そんな生き方を変えるときが来たんだ
でもあんな毎日が好きだったのさ
Now as we indulge in things refined
We hide our hearts from harder times
A string of pearls, a foreign car
Oh we can only go so far
On caviar and cabernet
いまや僕らは贅沢なものに溺れて
大変な時代であることから
目を背け心を隠してる
真珠のネックレス 外車
キャビアや高級ワイン
そのあたりで止めなくちゃだめさ
We drown our doubts in dry champagne
And soothe our souls with fine cocaine
I don't know why I even care
We'll get so high and get nowhere
We'll have to change our jaded ways
But I've loved these days
ドライ・シャンペンで疑念を沈め
上等のコカインで魂をなだめすかす
どうしてだか ちっともわからないのさ
とてもいい気分になってもどこにも行けない
この飽き飽きした生き方を変えなくては
でもあんな日々も楽しかったんだ
So before we end and then begin
We'll drink a toast to how it's been
A few more hours to be complete
A few more nights on satin sheets
A few more times that I can say
I've loved these days
さあ 終わりを迎える前に始めよう
今までの僕たちに乾杯しよう
あと数時間で終わるんだ
あと幾晩かをサテンのシーツの上で過ごし
あと何回か口にしよう
"あの時代が好きだった"と…
(Words and Idioms)
nonchalant=むとんちゃくな,無関心な[に見せる
bon vivant=美食家,食道楽. 陽気な仲間.
money comes and goes=金は天下の回り物
passing phase=一時的局面
indulge in=溺れる;耽溺;淫する
refined =上品な、洗練された
only so far=そこまでしか、ある程度までしか
drown=おぼれ死にする,溺死する
日本語訳 by 音時

◆この"楽しかった日々"は、今の暮らしぶりをすべて否定してるかというと、物質的な面では「生き方を変えなくては」と言いつつも、そのなかでも「楽しかったよね」と上から目線ではなく、共感を求めてるように思います。「あの時代が好きだった」という想いを持って、新たなスタートをしようと呼びかけたように思います。
◆アルバムジャケットはこのアルバムの曲の登場人物が出ているそうですよ。面白いですね。
ジャケットの写真は廃墟となった地下鉄の駅なんだ。そこを撮影のセットに使わせてもらったんだ。収録曲を写真で表現したかった。前にいるカップルは「楽しかった日々」を表している。
祖母と孫は「マイアミ2017」でニューヨークで起きたことをおばあさんが孫に語り継いでいる。後方の本を抱えた男性は「ジェイムズ」のはずだったと思う。ヘッドホンをした女性は「踊りたい」を表していて、さらに後方には「怒れる若者」がいる。革ジャンを来たダサい男は誰だったかな。彼がどの曲を表しているのかは不明だ。「さよならハリウッド」かな。


◆ビリーは贅沢三昧で何も顧みることのない1970年代の暮らしについて、この曲で問題提起をしました。
その後の私たちは1980年はどうだったでしょう? ビリーは1980年代の締めくくりに、またも問題提起をする曲を歌いました。その歌は、物語を創作するという形式ではなく、歴史的な出来事を年毎に並べていく形で…。これが「We Didn't Start The Fire(ハートにファイア)」"ですね。全米1位になりました。
その後の私たちは1980年はどうだったでしょう? ビリーは1980年代の締めくくりに、またも問題提起をする曲を歌いました。その歌は、物語を創作するという形式ではなく、歴史的な出来事を年毎に並べていく形で…。これが「We Didn't Start The Fire(ハートにファイア)」"ですね。全米1位になりました。
◆アルバムのアートワークについてビリーが解説します。
◆ライヴアルバム"Song In The Attic"から。
◆ "I've Loved These Days" @ Madison Square Garden 3-21-2014
(この記事で参考にしたページ)
・http://www.onefinalserenade.com/ive-loved-these-days.html
・大人のロック!特別編集「ビリー・ジョエル 永遠のピアノマン」(日経BP)
コメント
コメント一覧 (4)
音時
が
しました
あらためて何を歌っていたんだろうとこんな深夜に音時さんのサイトに辿り着き、解像度がピカーっと上がりました。対訳も時代背景もアルバムのコンセプトのお話もとても分かりやすく、楽しませていただきました。有難うございます。
音時
が
しました
和訳のリクエストですが、はい、今の時点で知らない曲なのですが、まずは聴いてみます。コステロの方は聴いたことあります。和訳はお約束はできませんが(^◇^;)。
音時
が
しました
この曲は「ソングス・イン・ジ・アティック」で初めて出会い、「マイウェイ」みたいなバラードかなと思ったら歌詞は見事に退廃的で、なるほど70年代NYのただれた雰囲気を描いた曲なんだなと。ワインの「カベルネ」の米国での発音がわかったのも収穫でした。ビリーは時々フランス語を歌詞に混ぜ込みますがホントに使い方が絶妙ですね…
さて、音時さんに対訳してほしい曲が2つほど。
一つはロバート・ワイアット「シップビルディング」。エルビス・コステロの曲です。寂れた造船町の何気ない日常を歌っているように見えて、フォークランド紛争の反戦歌です。背景も含めて記事には十分な情報量になるかと…
https://youtu.be/UjUkjpJa6bY
もう一つはニック・カーショウ「スカイズ・ザ・リミット」。
https://www.youtube.com/watch?v=RL_rYCgn6uk
Nik Kershawといえば「ザ・リドル」で一発屋の印象ですが、その後全米トップ10ソング(ワン・アンド・オンリー)も書いてますし、コンスタントにアルバム出しています。8枚目のアルバム「EI8HT」収録のこの曲は、あなたには無限の可能性があるんだよ、という応援歌です(たぶん)。
いずれもよほどお時間があって気が向いたら………
音時
が
しました