ピアノ連打のこのイントロ、アルバム「グラス・ハウス」のA面は最後まで気が抜けず、一気に聞かせてしまうレコードでした。

 このイントロからして、"アブナい恋"そして"アブナい女"であることを伝えてきます。アルバム「グラス・ハウス」から"レイナ(All For Leyna)"です。

◆英国の傾向?は面白いですね。アルバム「グラス・ハウス」からだったらファースト・シングルはイントロの"ガラスの割れる音"から印象的な"You May Be Right(ガラスのニュー・ヨーク)"にするでしょう。米国も日本も当然そうなのですが、英国はシングルカットがなぜかこの曲"All For Leyna"。

 米国は"Sometimes A Fantasy(真夜中のラブコール)"を4枚目のシングルでリリースしましたが、"All For Leyna"はこのB面。"レイナ"は日本でもシングルになりましたが、B面は"真夜中のラブコール"。このへん各国のレコード会社が自分の国の音楽マーケットの流行や嗜好を踏まえてシングルにするんですね。面白いです(^▽^;)。

(Glass Housesからのシングル)
"All for Leyna"  米:なし 英:40位
"You May Be Right"米:7位 英:なし
"It's Still Rock and Roll to Me" 米:1位 英:14位
"Don't Ask Me Why" 米:19位 英:なし
"Sometimes a Fantasy" 米:36位 英:なし


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Songwriters JOEL, BILLY
Lyrics c Universal Music Publishing Group

Released in 1980
UK Single Chart#40
From The Album"Glass Houses"

*原詞の引用は太字


She stood on the tracks
Waving her arms
Leading me to that third rail shock
Quick as a wink
She changed her mind

彼女は線路の上に立ち
両手を僕に振ってきた
おかげで僕は
危うく轢かれそうになった
でもあっという間に
彼女は気が変わったんだ

She gave me a night
Thats all it was
What will it take
until I stop kidding myself, 
wasting my time, whoa

彼女は一晩だけ
僕と過ごしてくれた
でも それがすべて
僕はいつまで
自分をごまかして
いればいいんだろう
時間を無駄にしながら… whoa

Theres nothing else I can do
Cause Im doing it all for Leyna
I dont want anyone new
Cause Im living it all for Leyna
Theres nothing in it for you
Cause Im giving it all to Leyna

僕はもう何も手につかない
だってすべてがレイナのためなんだ
新しい誰かなんて欲しくない
だって僕はレイナのために生きてるんだ
きみのことなんてどうだっていいよ
だって僕はすべてをレイナに捧げてるんだ

We laid on the beach
Watching the tide
She didnt tell me there were rocks
Under the waves
Right off the shore

僕らは浜辺で横になり
潮の満ち引きを見ていたんだ
彼女は僕に言わなかったのさ
岸を離れたらすぐ
波の下には岩場があるってことを

Washed up on the sand
Barely alive
Wishing the undertow would stop
How can a man take anymore, 
whoa

砂浜に打ち上げらて
引き潮が静まるのを願って
僕は息も絶え絶えさ
これ以上 どうしたら
彼女に付き合うことができるのか
whoa

Theres nothing else I can do
Cause Im doing it all for Leyna
I dont want anyone new
Cause Im living it all for Leyna
Theres nothing in it for you
Cause Im giving it all to Leyna

僕はもう何も手につかない
だってすべてがレイナのためなんだ
新しい誰かなんて欲しくない
だって僕はレイナのために生きてるんだ
きみのことなんてどうだっていいよ
だって僕はすべてをレイナに捧げてるんだ

Im failing in school
Losing my friends
Making my family lose their minds
I dont want to eat
I dont want to sleep
I only want Leyna, 
one more time

学校も落第したし
友だちも失った
家族の頭もおかしくさせてしまう
食欲なんかないんだ
眠りたくもない
もう一度
レイナがほしいだけなんだ

Now, Im in my room
Watching the tube
Telling myself, 
she still may drop over to say, 
shes changed her mind

そして今 僕は部屋のなかで
テレビを見てる
自分に言い聞かせながらね
もしかして彼女が
"考えが変わったわ"って言うために
立ち寄るんじゃないかって

So, I wait in the dark
Listening for her
Instead of my old man saying 
Stop!
Kidding yourself, 
wasting your time

そして僕は暗闇のなかで待ってる
レイナの言葉を
頭のなかで繰り返し聞いている
僕の親父の言葉の代わりにね
"もう止めるんだ!
自分をごまかすな
時間を無駄にするんじゃない"

Theres nothing else I can do
Cause Im doing it all for Leyna
I dont want anyone new
Cause Im living it all for Leyna
Theres nothing in it for you
Cause Im giving it all to Leyna

僕はもう何も手につかない
だってすべてがレイナのためなんだ
新しい誰かなんて欲しくない
だって僕はレイナのために生きてるんだ
きみのことなんてどうだっていいよ
だって僕はすべてをレイナに捧げてるんだ

**Band Solo**

All For Leyna
All For Leyna
All For Leyna
All For Leyna
All For Leyna
All For Leyna

みんなレイナのために
すべてレイナのために

(Words and Idioms)
third rail=政治家が避けたがるような物議をかもす問題、触ると感電する、取り上げると命取りになりかねない問題
as quick as a wink=〔まばたきのように〕非常にすばやい、即座に
in it for ~=~目当て
washed up on the sand=砂浜に打ち上げられた 
undertow=逆流、引き波
tube=(英)地下鉄.(米)テレビ(セット)
drop over=(予告なしに)ひょっこり訪ねる

日本語訳 by 音時


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◆歌詞に出てくる"レイナ"。本当にアブない女性です。

"線路の上に立って手を振ってくる"女性を放ってはおけない。"浜辺から海に入るとすぐに岩場があることを教えない"で大怪我をしてしまう主人公…。それでも一夜を共にした女性"レイナ"。
彼は何も手がつかなくなるくらい、レイナのことしか考えられなくなってしまいます。親父から「おまえ、(そんな女のことなんか考えてないで)いい加減にしろ!」と注意されてもうわの空で、頭のなかにはレイナの声ばかり響いている…。家で暗闇のなか、TVをつけてるけど、"レイナが立ち寄ってくる"んじゃないか?とただ待っている…。彼はどうなってしまうのか?

Billy Joel - Glass Houses [sleeve1 - jpn]

◆ところで…歌詞に出てくる"third rail"という言葉について…。

 鉄道関連の言葉で「第三軌条(third rail)」は通常の2本のレールとは別の電源供給用のレールってことです。"高圧の電気が流れてて触ると危ないよ"ということからそのような意味になるということのようです。

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◆アルバム「グラス・ハウス」からスタジオ・バージョン。

 


◆"All For Leyna"はビリーのライヴでも演奏されています。





◆桑田さんは"レイナ"を聴いてこの曲のアイデアが沸いたのでは?1982年のアルバム「ステレオ太陽族」から"My Foreplay Music"。