リチャードの初のNo1ヒットはバラードでした。実はこの曲、ちょっとメメしい感じでそんなに好きではなかったので、リチャードの曲を和訳で取り上げるのにだいぶ遅くなってしまいました。

でもこの曲についてのエピソードなど調べてみたら、結構面白いなあと思えてきました。

◆リチャードがインタビューに答えて次のように解説しています。

・僕の友だちが経験したことなんだ。ほんの一部分の話だからよく知ってるってわけでもないんだけどね。その友だちはある女性と出会ったときに、これが正しいあり方なんじゃないか、と思ったんだ。でもその女性はその時点ですでに誰か恋人がいたんだ。だからその女性と付き合うようなことにはならない。その女性と一緒になることはないんだよ。


・友だちとはしばらく何年も会ってなくて疎遠になってしまった。でもそのとき彼が言っていたことはよく覚えてる。"これがもし「運命の相手」で、その相手を失ってしまうとしたら…"って言っていたよ。彼ができたことはほんの短い間、お互いのまわりで一緒にいたくらいで、最後にはお互い一緒にいるべき人のところに戻っていった。何年かした後で彼らが一緒になっていたかもしれないけど、僕にはわからない。連絡が途絶えちゃったからね。でも思い出すんだよ。その友だちのことを思い出するうちに、この曲ができたんだよ。


出会った男女。"もしかしてこの人は…運命の人?"というような出会い。でも向こうにもこちらにもお付き合いしている人がいる。僕たちは離れていく運命なんだ…と悶々としてる自分...

一方的に恋焦がれてる歌かと思ったら、歌のシチュエーションはこんな感じだったんですね。

309

Songwriters RICHARD MARX
Lyrics c Warner/Chappell Music, Inc.

Released in 1988
US Billboard Hot100#1
From The Album"Richard Marx"

*原詞の引用は太字


Just when I believed 
I couldn't ever want for more
This ever changing world 
pushes me through another door

I saw you smile
And my mind could not erase 
the beauty of your face
Just for awhile
Won't you let me shelter you

これ以上何も望めない
そうわかってしまったとき
この移り変わっていく世界は
僕を別な部屋へと押し出していく...

きみの笑顔を見たよ
その美しさが
心から消せないんだ
しばらくの間
きみを包み込み護らせてほしい

Hold on to the nights
Hold on to the memories
I wish that I could give you something more
That I could be yours

毎夜すがりつき
想い出を捨てられずにいる
きみを僕のものにするためにはどうしたらいい?
僕の大切なものをなにか
きみに差し出したい そんな想いなんだ

How do we explain 
something that took us by surprise
Promises in vain, 
love that is real but in disguise

What happens now
Do we break another rule
Let our lovers play the fool
I don't know how
To stop feeling this way

どう説明したらいいんだろう?
僕たちに不意に起きた出来事を
かつて誓った 虚しい約束
真実の愛は姿を変えてしまった

何が起こったのだろう?
僕らはまたルールを破ってしまうのか?
いっそ二人で道化者を演じようか?
どうしていいかわからないんだ
こんな気持ちをどう止めたらいいんだ...

Hold on to the nights
Hold on to the memories
I wish that I could give you something more
That I could be yours

毎夜毎夜 離れられずにいる
きみの想い出を捨てられずにいる
きみを僕のものにするために
大切なものをなにか
きみに差し出せることを願ってる

Well, I think that I've been true 
to everybody else but me
And the way I feel about you 
makes my heart long to be free

Every time I look into your eyes, 
I'm helplessly aware
That the someone 
I've been searching for is right there

ああ 僕はずっと誠実だったよ
自分以外の誰にだってね
きみに対しての想いから
僕の心は
自由へと焦がれるようになったんだ

きみの瞳をのぞきこむたび
どうしようもなく気が付くのさ
ずっと探し続けていた人が
いま目の前にいるんだと...

Hold on to the nights
Hold on to the memories
I wish that I could give you more
Hold on to the nights

毎夜毎夜 離れられずにいる
きみの想い出を捨てられずにいる
きみを僕のものにするために
大切なものをなにか
きみに差し出せることを願ってる...

(Words and Idioms)
in vain=いたずらに, むだに, 効果なく

日本語訳 by 音時


R-7034924-1595294340-4977

◆この曲"Hold On To The Nights"の歌に登場する二人...許されない恋。このあとどうなっていくのでしょうか...。

 ちなみにリチャードのライヴでは"Hold On To The Nights"は"Now and Forever"とメドレーにて歌われるようです。もしリチャードが歌詞の物語を踏まえたうえでこの2曲をメドレーにしていたとしたら…"Now and Forever"の物語が"Hold On To The Nights"の続編だとしたら...(^▽^;)。

 "いま そして永遠に きみの恋人であることを誓うよ"...と誓う相手は…どっち?(ううっ、許されない愛に走ったのか?それとも彼は彼女と出会う前に戻ったのか…)

◆リチャードのトップ40ヒットは14曲。彼のデビューアルバムからは"Hold On To The Nights"の全米1位を含み、全米トップ3曲が4曲も誕生しています。
続くアルバム"Repeat Offender"からは2曲の全米No1も飛び出し、彼はスーパースターへの階段を駈け上がって行きました…。(Richardの曲の和訳記事はこちらから)

(1987) 
"Don't Mean Nothing" #3
"Should've Known Better"#3
(1988)
"Endless Summer Nights"#1
"Hold On to the Nights"#1
(1989)
"Satisfied"#1 
"Right Here Waiting"#1
"Angelia"#4
(1990)
"Too Late to Say Goodbye"#12
"Children of the Night"#13
(1991)
"Keep Coming Back" #12
(1992)
"Hazard"#9 
"Take This Heart"#20
(1994)
"Now and Forever" #7 
"The Way She Loves Me"#20 

◆"Hold On To The Nights"が1位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles For The Week Ending July 23, 1988

復活チープ・トリックの1位に代わって、リチャードが5位からジャンプして首位に立ちます。デフレパやイネクセスなどバンドのヒット曲をごぼう抜きでした。でも翌週はスティーヴ・ウィンウッドの"ロール・ウィズ・イット"が4→1位へ。6位のブリーズも好きだったなあ。7位のエリックのヒットも嬉しかった!10位はゴーゴーズのギタリスト、ジェーンのヒット曲でした。

1 5 HOLD ON TO THE NIGHTS –•– Richard Marx – 10 (1)
2 3 POUR SOME SUGAR ON ME –•– Def Leppard – 14 (2)
3 4 NEW SENSATION –•– INXS – 11 (3)
4 6 ROLL WITH IT –•– Steve Winwood – 7 (4)
5 1 THE FLAME –•– Cheap Trick – 16 (1)

6 8 HANDS TO HEAVEN –•– Breathe – 15 (6)
7 9 MAKE ME LOSE CONTROL –•– Eric Carmen – 10 (7)
8 2 MERCEDES BOY –•– Pebbles – 12 (2)
9 14 SIGN YOUR NAME –•– Terence Trent D’Arby – 9 (9)10 11 RUSH HOUR –•– Jane Wiedlin – 12 (10)


◆RICHARD MARX - HOLD ON TO THE NIGHTS with NOW AND FOREVER (LIVE)



◆こちらはアコギを持って...Via Funchal, Sao Paulo, 12/06/2010