リチャードは1990年、ツアーバスのなかでこの曲を書いたといいます。
最初はレコーディングなどするつもりなかったリチャードですが、奥さんのシンシア・ローズに聴かせたところ「すごくいい!」「レコーディングしなきゃ許さない」とまで言われたようです。(^▽^;)

 でもこの曲の歌詞が気に入った奥さんって…ちょっと怖いかも(-_-)。

◆"Hazard"といえば今では防災のための「ハザード・マップ」なんて言葉で聞きますね。“Hazard”は実際にネブラスカ州にある町の名前であると同時に、いくつかの意味がかかっているんでしょうね。

ハザード(ウィキペディア)より:
ハザード(hazard)は、危険の原因・危険物・障害物などを意味する英語。 潜在的危険性。 日本ではいろいろな外来語・和製英語として使用される。 英語の“hazard”には「偶然」という意味あいもあるが、日本語ではもっぱら「危険」という意味あいで用いられる。

「ハザードという名前の田舎町」であり、「危険」そして「偶然」という意味。この曲の物語を理解するキーワードはやはりズバリ、タイトルの"Hazard"なのでしょう。

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Songwriters RICHARD MARX
Lyrics c BMG RIGHTS MANAGEMENT US, LLC

Released in 1992
US Billboard Hot100#9
From The Album"Rush Street"

*原詞の引用は太字


My mother came to Hazard 
when I was just seven
Even then the folks in town 
said with prejudiced eyes
That boy's not right

母がハザードにやってきたのは
僕がまだ7歳のときのこと
そのときすでに町の連中は
偏見の目で見ていたのさ
あの少年は不良だって目でね

Three years ago 
when I came to know Mary
First time that someone 
looked beyond the rumors and the lies
And saw the man inside

3年前のこと
僕は初めてメアリと出会ったんだ
初めてだったよ
噂話や嘘の向こうにある
本当の僕を見てくれたひとは

We used to walk down by the river
She loved to watch the sun go down
We used to walk along the river
And dream our way out of this town

僕らはよく川岸を散歩したものさ
彼女は太陽が沈むのを見るのが好きだった
僕らはよく川岸を散歩をしていたのさ
この町を出ることを夢見てた


No one understood 
what I felt for Mary
No one cared until the night 
she went out walking alone
And never came home

僕のメアリへの想いを
誰も理解してくれなかった
その日の夜になるまで
誰も気が付かなかったんだ
彼女が一人で出かけて
家に帰ってこなかったことを

Man with a badge came 
knocking next morning
Here was I surrounded 
by a thousand fingers suddenly
Pointed right at me

翌朝 胸にバッジをつけた男が
僕の家のドアをノックしてきた
突然 僕は囲まれたんだ
僕を指す沢山の人々の指にね

I swear I left her by the river
I swear I left her safe and sound
I need to make it to the river
And leave this old Nebraska town

僕は誓った
彼女とは川岸で別れたんだって
僕は誓った
危険な問題も何もなかったんだって
僕は川に行って無実を証明しなきゃならないんだ
そしてこの馴染んだネブラスカの町を
出て行かなければならなくなったのさ

I think about my life gone by
And how it's done me wrong
There's no escape for me this time
All of my rescues are gone, 
long gone

過ぎていった僕の人生を想い出す
どれだけ僕は苦しんだことだろう
今回は僕ももう逃げられない
救いの神は去ってしまったんだ 
遥か遠くに...

I swear I left her by the river
I swear I left her safe and sound
I need to make it to the river
And leave this old Nebraska town

僕は彼女を川のほとりに置いてきた
僕は彼女を安全で静かに寝かせたのさ
僕は川に行って"それ"を
やらなきゃならなかった
そしてネブラスカの町に
別れを告げなくちゃならないんだ…


(Words and Idioms)
prejudiced=偏見を持った,不公平な
look beyond=~の先を思い描く

日本語訳 by 音時

Screenshot 2022-03-13 22.24.07


◆PVをじっくりと見てしまいます。川に沈められていたメアリが見つかり、首にかけられていたマフラーがその凶器と考えられました。マフラーの持ち主は「主人公」。第一の容疑者はやはり彼になりますね。だいたいがシングルのジャケット写真からして犯人っぽい(←見た目で判断すんなよ)。

 彼の幼少の頃の様子もPVで流れます。母親を捨てて出て行く軍人の父親。家に放火したのも彼...。どうも彼は母親の姿とメアリを重ねて見ていたフシはありますね。でも…バッチをつけた保安官も怪しくないですか?ずっと二人を観察していたのは、放火の前科がある彼を何かしでかすのでは?と見張っていたようにも思えますが、彼と一緒にいるメアリを女性として見ていたのかも…。

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◆歌詞だと、気になることがいくつか。

(1)なぜ冒頭に「僕の母がハザードに来たのは…」と言いながら、コーラス部分のラストでは"ネブラスカの町"という表現になっているのでしょうか。

→"Hazard"が出てくる箇所の歌詞を見てみると、"My mother came to Hazard when I was just seven"となっています。この"Hazard"はもしかして、町の名前じゃないかもしれません。"僕の母は僕が7歳のとき"危険な目"に遭った"という意味なのかも。

(2)コーラス部分の和訳。

I swear I left her by the river
I swear I left her safe and sound
I need to make it to the river
And leave this old Nebraska town

同じ場所を2回和訳してますが、前半と後半と変えてみました。
前半は、彼が無実の証明をする歌詞に。
後半は、彼が罪の告白をする歌詞に。

この歌詞もどっちにもとれるのが、なかなか面白かったです...。


◆まだ長髪のリチャード。Liveで歌う"Hazard".



◆Richard Marx - Hazard (Live)