「スループ・ジョン・B」(Sloop John B)は、レコードだとA面ラスト。

この曲はアルバムのなかでは妙に明るい!感じです(これまでの彼らのサウンドに近い)。そんなこともあって、当初はブライアン・ウィルソンは「ペット・サウンズ」に収録する予定ではなかった…とのこと。フォーク・ソングに造詣の深いアル・ジャーディンの強い提案によりカヴァーすることになったといいます。

◆はい、この曲は彼らのオリジナルではありません。もとはバハマ諸島の民謡で、50年代末から60年代初期にかけてのフォークソング・ブームの際に、キングストン・トリオが"The John B Sails"というタイトルで歌いました。ビーチ・ボーイズはタイトルを"Sloop John B"と変え、歌詞も1部分を変えたそうです。

This is the worst trip since I've been born" to "という箇所を"I've ever been on" にしたとのこと。ライヴではカール・ウィルソンまたはアル・ジャーディンが、ブライアンが歌ったパートのリードヴォーカルを担当したそうです。

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Songwriters: Edwards, Nole / Wilson, Don / Bogle, Bob / Taylor, Melvin
lyrics c Sony/ATV Music Publishing LLC

Released in 1966
From The Album"Pet Sounds"

*原詞の引用は太字

We come on the Sloop John B
My grandfather and me
Around Nassau town we did roam
Drinking all night
Got into a fight
Well I feel so broke up
I want to go home

僕らは"ジョン B"号に乗ってやってきた
僕のおじいちゃんと僕の2人さ
ナッソーの町のあたりをうろついて
毎晩飲みあかして
ケンカにも巻き込まれ
もうすっかり嫌になっちゃったよ
家に帰りたいんだ

So hoist up the John B's sail
See how the main sail sets
Call for the Captain ashore
Let me go home, 
Let me go home
I want to go home, yeah yeah
Well I feel so broke up
I want to go home

ジョンB号の帆を揚げよう
メインセイルの調子を点検しよう
陸にいる船長に大声でお願いするのさ
家に帰してください
僕達を返らせてください
家に帰りたいです yeah yeah
もうすっかりまいっちゃったので
家に帰りたいです

The first mate he got drunk
And broke in the Cap'n's trunk
The constable had to come and take him away
Sheriff John Stone
Why don't you leave me alone, yeah yeah
Well I feel so broke up
I want to go home

一等航海士は酒でへべれけ
船長のトランクルームに押し入っちゃった
警官がやってきて彼を連れて行ったよ
ジョン・ストーン保安官
僕のことはかまわないでください
もう心もボロボロなので
家に帰りたいんです

So hoist up the John B's sail
See how the main sail sets
Call for the Captain ashore
Let me go home, let me go home
I want to go home, let me go home
Why don't you let me go home
(Hoist up the John B's sail)
Hoist up the John B 
I feel so broke up I want to go home
Let me go home

さあ ジョンB号の帆を揚げるんだ
メインセイルの調子を確認してね
陸にいる船長に大声でお願いしよう
家に帰してください
僕達を帰らせてください
家に帰りたいです
(ジョンB号の帆を揚げて)
ジョンB号の帆を揚げるんだ
もうすっかりまいっちゃったので
家に帰りたいよ
家に帰らせてよ

The poor cook he caught the fits
And threw away all my grits
And then he took and he ate up all of my corn
Let me go home
Why don't they let me go home
This is the worst trip I've ever been on

可愛そうな料理人はひきつけを起こし
僕の食べものをみんな放り投げちゃって
それから僕のトウモロコシを
みんな食べちゃったんだ
もう家に帰らせてよ
どうして帰らせてくれないんだい
コイツは僕の経験のなかでも
サイアクな航海だよ!

So hoist up the John B's sail
See how the main sail sets
Call for the Captain ashore
Let me go home, let me go home
I want to go home, let me go home
Why don't you let me go home
 
さあ ジョンB号の帆を揚げるんだ
メインセイルの調子を確認してね
陸にいる船長に大声でお願いしよう
家に帰してください
僕達を帰らせてください
家に帰りたいよ
家に帰らせてよ…

(Words and Idioms)
sloop=スループ型帆船 《1 本マストの帆船》. 
roam=〈人が〉(あてもなく)ぶらつく; 放浪する 
hoist=旗などを〉揚げる; 〈重いものを〉(ロープなどで)巻き上げる
call for=声を上げて~を求める
first mate=一等航海士
constable=〈英〉巡査、警官、警察官 
fit=〔病気の〕発作; ひきつけ,さしこみ
grits =(穀物の)ひき割り; (特に)ひき割りトウモロコシ 《米国南部では煮てオートミール風にして朝食にする》, 

日本語訳 by 音時


51J2I0N3kVL._AC_ (1)


◆"sloop"という語句は"スループ型帆船"のこと。1 本マストの帆船ということだそうです。
このような船をイメージしてください。(Sloop Wikipadia

◆はい、なかなか楽しい曲ですね。このアルバムの中ではとっつきやすいpopな曲。精神的な世界を歌う曲が多い印象のアルバムの中では確かに違和感があるのですが、この曲があるので妙に重たくなく疲れない、という印象もあるのではないでしょうか?^_^。
さて、これにてA面は終了。レコードをひっくり返してぜひB面も聴いてください。明日からも何卒お付き合い願います!



◆こちらキングストン・トリオのオリジナル。




◆Sloop John B by The Beach Boys live (1980) at Knebworth park in 1980



◆Sloop John B (Vocals Only)- The Beach Boys [Pet Sounds Sessions (Disc 3)]