“Cat's in the Cradle”…邦題は“ゆりかごの猫”。不思議なタイトルがつくこの曲は、僕が「全米トップ40」を聴き始めてから、『よぉーし!これから僕は全米1位になった曲をすべて所有するのだ!』と決めてから知った曲です。
曲を聴く前に1974年に全米1位を取った曲、ハリー・チェイピンの名前も教科書を読んで暗記するように、頭のなかにインプットしました(^o^)。(この曲が全米1位になった週のチャートはこちら)
◆“ゆりかごの猫”って…どういう意味なんだろう?
“Cat's in the Cradle”ではないのですが、“Cat's Cradle”(猫のゆりかご)で特定の意味があることがわかりました。
それは“あやとり”ということ。1人または2人で、輪にした紐を使って手で色んな模様を作る…というあの遊びのこと、です。
(Cat's Cradle :wikipedia)
◆なぜ“Cat's Cradle“が「猫のゆりかご」なのかというと…諸説あるようですが、上記のwikipediadiaでは、“cratch-cradle(飼い葉桶の揺りかご)“が転訛したものである可能性がある。cratchesとcradleという2つの単語のつながりは、飼い葉桶をゆりかごとして使うイエスの誕生を描いたキリスト教の物語から来ているのかもしれない“とも書かれておりました。

メルカリ(優勝する)さんの出品画像から
◆この曲を書いたハリーと、ハリーの奥様であるサンディさんは当然“Cat's Cradle”という言葉は知っていたでしょう。とすると“Cat's in the Cradle“=ゆりかごの猫と「猫」に焦点をあてたのは、ゆりかごのなかで大切にされている「赤ちゃん」を指すものとしてとらえました。
◆この曲の歌詞でいう、
And the cat's in the cradle and the silver spoon
Little boy blue and the man in the moon
の部分を考えました。僕の解釈としては、
「the cat's in the cradle」= 赤ちゃん、であるのに対して、
「silver spoon」=富とか財産をあらわす=お金を稼ぐ“父親“
が対比されていて、次の文も基本は同じ構造、
「little boy blue」=悲しい想いをした小さな少年
「the man on the moon」=月にいるかのように遠く離れている父親
という「子ども」と「父親」の対比を歌っているんだろうなあと思います。

Songwriter(s)
Harry Chapin、Sandra Chapin
Released in 1974
US Billboard Hot100#1(1)
From the Album “Verities & Balderdash”
*原詞の引用は太字
My child arrived just the other day
He came to the world in the usual way
But there were planes to catch, and bills to pay
He learned to walk while I was away
And he was talking 'fore I knew it, and as he grew
He'd say "I'm gonna be like you, dad"
"You know I'm gonna be like you"
つい先日 我が子が誕生したんだ
他の子と同じく普通にこの世に生まれてきたのさ
だけど私は飛行機で飛び回らないといけないし
借金もあって忙しかった
私がいない間に 彼は歩くことを覚えた
いつのまにかしゃべるようになっていたし
成長するごとに
"パパみたいになりたい "と言ってたんだ
"そうさ 僕はパパみたいなるんだ"ってね
And the cat's in the cradle and the silver spoon
Little boy blue and the man in the moon
"When you coming home, dad?"
"I don't know when"
But we'll get together then
You know we'll have a good time then
ゆりかごの猫と銀のスプーン
リトルボーイブルーと月の男
"パパ いつ帰ってくるの?"
"いつになるか分からない"
でも その時は一緒にいよう
いいかい その時は楽しく過ごすとしよう
My son turned ten just the other day
He said, thanks for the ball, dad, come on let's play
Can you teach me to throw, I said, not today
I got a lot to do, he said, that's okay
And he walked away, but his smile never dimmed
It said, I'm gonna be like him, yeah
You know I'm gonna be like him
つい先日 息子は10歳になった
彼は言った
“ボールを買ってくれてありがとう"
"さあ 遊ぼうよ 投げ方を教えてよ“って言われたが
私は“今日はダメだ やることがいっぱいある“
息子は “仕方ないか…“と立ち去った
だけど彼の笑顔がかすむことは決してなかった
“僕はパパのようになるんだ“と言ってるように
“僕はパパのようになるんだ“と
And the cat's in the cradle and the silver spoon
Little boy blue and the man in the moon
"When you coming home, dad?" "I don't know when"
But we'll get together then
You know we'll have a good time then
ゆりかごの猫と銀のスプーン
“悲しい想いの少年“ そして “遠く離れた父親”
"パパ、いつ帰るの?" "いつになるかわからない"
でもその時は一緒に行こう
その時は楽しく過ごそうね
Well, he came from college just the other day
So much like a man I just had to say
Son, I'm proud of you, can you sit for a while?
He shook his head, and he said with a smile
What I'd really like, dad, is to borrow the car keys
See you later, can I have them please?
つい先日 大学から戻ってきた息子
“大人になったな“と言わずにはいられなかった
“息子よお前を誇りに思う ちょっと座って話さないか?“
彼は首を振って 笑顔で言った
“父さん 僕は車の鍵が借りたいんだ
話はまた今度ね だからお願い 早く頼むよ“
And the cat's in the cradle and the silver spoon
Little boy blue and the man in the moon
"When you coming home, son?" "I don't know when"
But we'll get together then, dad
You know we'll have a good time then
“すやすや眠る赤ちゃん”と“金を稼ぐ父親”
それは リトルボーイブルーと 月にいる男
"パパ いつ帰ってくるの?"
"いつになるか分からない"
でも その時は一緒にいよう
いいかい その時は楽しく過ごすとしよう
I've long since retired and my son's moved away
I called him up just the other day
I said, I'd like to see you if you don't mind
He said, I'd love to, dad, if I could find the time
You see, my new job's a hassle, and the kids have the flu
But it's sure nice talking to you, dad
It's been sure nice talking to you
And as I hung up the phone, it occurred to me
He'd grown up just like me
My boy was just like me
仕事はとっくに引退 息子は引っ越してしまった
つい先日 息子に電話をして
“もしよければ 会いたいんだけど“と話したんだ
息子は“父さん 僕も時間があれば会いたいよ“
“新しい仕事は面倒で 子供たちは風邪をひいているし“
“でも父さんと話せてよかったよ
ほんとに話せてよかったよ“
電話を切りながら ふと思ったんだ
息子は私と同じように成長した
私の息子は私と同じだったんだ
And the cat's in the cradle and the silver spoon
Little boy blue and the man in the moon
"When you coming home, son?" "I don't know when"
But we'll get together then, dad
We're gonna have a good time then
ゆりかごの猫と銀のスプーン
"リトルボーイブルー" と"月の男
"いつ帰るんだ?" "いつになるかわからない"
でも、その時は一緒に行こうね、お父さん
その時は楽しい時間を過ごそうよ
(Words and Idioms)
“a silver spoon”(銀のさじ)=「富、(相続)財産」を意味する富裕の象徴
hassle =面倒な[困った・イライラさせられる]こと
it occurred to me that=...を思いついた
日本語訳 by 音時

◆はい、いかがでしたか?
ハリー・チェイピンというシンガーソングライターの書いた「ゆりかごの猫」という曲が1974年に全米1位になった、という「歴史的史実」しか知らなかったことが、和訳してみて「父親と子どもの確執」?いや「親と成長する子どもってそういうもの」を歌った歌であるとは、僕には想像できませんでした…(^_^;)。そしてこの曲、シングルとしては日本発売はなかったようですね。
◆歌詞を書いたのは、先に書いたように、ハリーの奥様であるサンドラ・"サンディ"・ガストン。彼女は、彼女の最初の夫であるジェームズ・キャッシュモアと、彼の父でありブルックリン区長を務めた政治家ジョンとの間の気まずい関係から着想を得た、とWikipediaに書かれてありました。
また、ラジオで聞いたカントリーミュージックの曲にも触発されたともあります。ハリーはまた、この曲が自分と息子のジョシュとの関係を歌ったものだと言っており、「率直に言って、この曲は死ぬほど怖いんだ」と認めているそうです。(^_^;)
◆直接この曲とは関係はないだろうと思いますが、1963年に「猫のゆりかご」(Cat's Cradle)というSF小説が出版されているようです(作者はアメリカの作家カート・ヴォネガット)。
世界を滅ぼす力を持つ発明品「アイス・ナイン」を巡る物語であり、科学や宗教、国家などを独特のユーモアを交えながら風刺している作品とのこと(ウィキペディア)。登場人物のハニカ−博士が、広島に原爆が落とされた日、あやとりをしていたと言います。Cat's cradleという、あやとり技もあるようです(両手のあいだにいくつもXを作る様が猫の揺り籠に見えることからつけられた)。

◆最後にハリーのことを少々。
ハロルド・フォースター・チェイピン(1942年12月7日 - 1981年7月16日)は、アメリカのシンガーソングライター、慈善家、飢餓問題の活動家で、フォークロックやポップロックの曲でよく知られています。
1981年7月16日の午後、ハリーは無料の慈善コンサートに出演するため、ハイウェイを走っている途中でした。午後12時27分、ニューヨーク州ジェリコ郊外でセミトレーラーと衝突し、ヘリコプターで病院に運ばれますが、内出血のため午後1時5分に死亡が確認されました…(-_-;)。

ハリーは、ニューヨーク州ハンティントンのハンティントン農村墓地に埋葬されています。彼の墓碑銘は、1978年に発表された彼の歌「I Wonder What Would Happen to This World」から引用されているとのこと。
地球上で自分の時間を過ごして
そして、死ぬ前に証明してくれたら
一人の人間の人生にどんな価値があるのかを
この世界に何が起こるのだろう
この世界に
80年代に入ってからの全米トップ40でもリアルに聴いていた彼のヒット曲「タクシー」っていう曲があり、この曲も和訳したいなあと考えている曲です。ハリー、R.I.P…。
◆ハリーの歌う姿がみられます。前半はハリーの奥様のサンディ(作詞)、息子のジョンがハリーとこの曲について語っている貴重なビデオです。
◆米国のロックバンド“Ugly Kid Joe”が1992年、このの曲をカバーしました。オーストラリアのシングルチャートで1位になり、アイルランド、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、アメリカなど、いくつかの国でもヒットしました。
コメント
コメント一覧 (14)
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ハリー・チェイピンの“taxi“の続編と言われる“sequel“のことですね。
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「ゆりかごから墓場まで」は、「From The Cradle To The Graveyard」でした。
ボクの22歳の息子も、一緒に出掛けません。しかも、メールの文字数を最低限で返してくる天才です。 実に寂しいものです。
ウイスキーの「ジョニーウォーカー」は、高いものもたくさんあるのですが…。「黒ラベル」くらいが、ボクにはピッタリです。
音時
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(PS)「ジョニ黒」は学生時代、憧れのお酒でした。普段は「RED」が「ホワイト」、良くて「角」か「オールド(だるま)」でした!
音時
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この曲の詩の内容を「子供の成長は仕方ないこと」と捉えると気が楽ですね。寂しいけど、子供の成長を喜んでみたいと思います。 詩の解釈は、読む人の自由なんですね。
余談です。
ボクは「ゆりかごから墓場まで」という英語「Cradle To Grave」を、この曲とCCRの「Graveyard Train」で覚えました。ハリー、ありがとう。
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カート・ヴォネガットは私が最も好きな作家です。このCat's Cradleという小説にはボコノン教という架空の宗教が出てくるのですが、世の中には隠れボコノン教徒 (=ヴォネガットのファン) がけっこういます。爆笑問題の太田とか。太田の奥さんが社長の会社はタイタンという名前ですが、カート・ヴォネガットのもう一つの代表作がタイタンの妖女という小説で、そこから取ったに違いないと思っています。ちなみに、私が名乗っているトラルファマドールは、このタイタンの妖女に出てくる惑星の名前です。曲から離れた話題ですいません。けど、ハリーもヴォネガットを意識してこの曲を作ったのではと想像しています。
音時
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「ゆりかごの猫」と「銀のスプーン」。親子関係のことだったのですね。
ボクも、この主人公と似ているかも…。息子の授業参観や運動会にあまり行かなかったなあ。父親に対しては、「忙しいから後にして…。」と言ったことが多かった。そして、息子からも同じように扱われるんだろうなあ。
好きな曲だけど…。 なんか、身につまされる曲です。
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