スティーヴン・ビショップのビルボード・ライヴでもこの曲を聴かせてくれました!
えっフィル・コリンズの作った歌じゃないの?…と思った人もいるかもしれません。
この曲はテイラー・ハックフォード監督の「ホワイト・ナイツ」の主題歌。同監督が撮った映画「カリブの熱い夜(Against All Odds)」のタイトル曲"見つめてほしい(Against All Odds)"はフィルの手によるナンバーでしたから、そうした勘違いもあるかな?とも思います。
◆作者のスティーヴン・ビショップもこのことを自覚してるようですよ(苦笑)。
僕はいつもはあらすじだけで音楽を作ったりはしない。でもこの映画は面白そうに思えたから先に作ってしまった。なのに映画は延び延びになった。僕は待ちくたびれて曲をフィル・コリンズに渡したんだ、フィルがレコーディングすると聞いて、テイラー(映画の監督)か会社の人間が直接、フィルの方に行った。今ではきっとみんなフィルが書いた曲だと思ってるよ。
作者スティーヴンによると、この曲は"ラヴ・ソングではない"とのこと。
スティーヴンは女優のカレン・アレンと交際していて別れた1981年にこの曲のインスピレーションが生まれたと言っています。
彼女はラヴ・ソングだと思っているようだけど、僕にとっては怒りの歌なんだ。"Separate Lives"を書く時はすごく感情的になった。書くことで胸の痛みを拭い去ろうとしたんだ。
おお、そうなのか…。確かにフィル&マリリンのデュエットはドラマティックな仕立てになっているけど、"You have no right to ask me how I feel."の"you have no right…"なんて表現には"怒り"の想いが込められているように思います。
通常の会話であれば"Don't..."(しないでよ)と言えばいいところを、"きみにはそんな権利なんてないだろ"って言うのですからね。僕をフッておいて今ごろ勝手なことを言うんじゃないよ…ってあたりの気持ちなんでしょうか…。

(Stephen Bishiop)
Released in 1985
US Billboard Hot100#1
*原詞の引用は太字
You called me from the room in your hotel
All full of romance for someone that your met
And telling me
How sorry you were leaving so soon
And that you miss me sometimes
when you're alone in your room.
Do I feel lonely
Too?
きみはホテルの部屋から僕に電話をしてきた
きみが出会った誰かとの恋話をたっぷり
そしてきみは僕にこう言った
"すぐに電話を切らなくちゃいけなくてゴメン"
"部屋に一人でいると時々あなたが恋しくなる"
僕がきみ同様 淋しいかって…?
You have no right to ask me how I feel.
You have no right to speak to me so kind.
I can't go on just holding on to ties
Now that we're living separate lives.
きみには僕の気持ちを聞く権利なんかない
僕にそんなに優しく話しかける権利もない
過去の絆にしがみついてるだけじゃ
前にはすすめない
そうさ今 僕らは別々な人生を生きている...
Well I have learned to let you go.
And if you lost your love for me
You never let it show
そう私はあなたを行かせてしまったの
もしあなたが私への愛を失くしてしまったのなら
もうそんなそぶりは決して見せないでしょう
There was no way to compromise
So now we're living separate lives.
二人歩み寄る道はもう残されてない
だって僕たち別々な人生を歩んでるんだから
Oh
It's so typical: love leads to isolation.
So you build that wall
Yes
You build that wall
And you make it stronger.
ああ
なんて型通りなんだろう
愛していても二人は別れることになる
そしてきみは壁を作り出す
そう
きみは僕との間に壁を築き
その壁をだんだん強固にしていくんだ...
Well
You have no right to ask me how I feel.
You have no right to speak to me so kind.
Someday I might find myself
looking in your eyes
ああ
きみには僕の気持ちを聞く権利はない
僕にそんなに優しく話しかける権利もない
いつかきみの瞳のなかに
僕は自分の姿を見つけられるのか...
But for now
We'll go on living separate lives.
Yes
For now we'll go on living separate lives.
- Separate lives.
でも今は…
僕らは別々な人生を歩いている
だから今 私たちは歩いていくんだ
別々な人生を...
日本語訳 by 音時

◆フィルのパートナーに選ばれたマリリン・マーティン。彼女も大抜擢でした。
マリリンのプロフィールを確認すると、ジョー・ウォルシュ、ケニー・ロギンス、スティーヴィー・ニックスのバックボーカルなどを勤めていたようですね。ケニーの"Footloose"のバック・ボーカルにも参加していたとありますね。
マリリンのプロフィールを確認すると、ジョー・ウォルシュ、ケニー・ロギンス、スティーヴィー・ニックスのバックボーカルなどを勤めていたようですね。ケニーの"Footloose"のバック・ボーカルにも参加していたとありますね。
"Separate Lives"を歌うフィルの相手を探していたとき、マリリンを気に入っていたアトランティックレコードの社長が彼女を推したようです。マリリンはこう言っています。
ダグ(社長)が私の声がフィルといいハーモニーを作ると思ったのよ。でも最後に決めるのはフィルだった。ダグが私の歌ったテープを送ったらOKが出たのよ。フィルみたいな人と対等にやるだけで私は完全に怖気づいてしまったけど、フィルとアリフ(マーディン)は優しかった。もしきみに歌えないと僕が思ったらきみはここにいないはずだよって安心させてくれたの。
でもマリリンはこの曲が全米No1になったときに「悔しいことがある」と一つ告白しています。
あの曲(Separate Lives)にたいして感謝していないわけじゃないけど、問題はあの曲がバラードだったってこと。私は静かな曲を歌うシンガーだと決めつけられたくないのよ。
なるほど、確かにバラードシンガーとして名が通ってしまうと、そのあとの仕事のオファーの幅も限られてしまいますよね。マリリンにはそうしたことがきっとあったんだろうな…。

2人が再会!
(この物語の主人公たちが33年経って再会して仲良く写真を撮ったと想像しましょうか…!)
フィルのTwitter(2018年10月23日)より
◆“Separate Lives”が最高位1位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles For The Week Ending November 30, 1985
TW LW TITLE Artist – Weeks on Chart (Peak Position)
“Separate Lives”は、スターシップに代わって首位に立ちます。翌週はMr.ミスターが首位に。9位エディ・マーフィーが歌手としても大活躍。10位 ZZトップ、ひたすらブギー!でカッコイイ。
1 3 SEPARATE LIVES –•– Phil Collins & Marilyn Martin
2 1 WE BUILT THIS CITY –•– Starship
3 4 BROKEN WINGS –•– Mr. Mister
4 2 YOU BELONG TO THE CITY –•– Glenn Frey
5 5 NEVER –•– Heart
6 6 LAY YOUR HANDS ON ME –•– Thompson Twins
7 9 WHO’S ZOOMIN’ WHO –•– Aretha Franklin
8 13 ELECTION DAY –•– Arcadia
9 17 PARTY ALL THE TIME –•– Eddie Murphy
10 14 SLEEPING BAG –•– ZZ Top
◆フィルのライヴでの"Separate Lives" バックボーカルは、Amy KeysとArnold McCullerです。(Live and Loose in Paris 1997)
◆作者スティーヴン・ビショップ自身の"Separate Lives"。
◆マリリンのソロヒット"Night Moves"。1986年に全米28位になりました。(これ1曲でしたね)

(この記事を書くにあたって参考にした書籍)
「ビルボード・ナンバー1・ヒット 下 1985-1988Ⅲ」(音楽之友社)
ありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (6)
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歌詞は意外でした。
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ボクは、スティーヴン・ビッショップの方を先に聞きました。曲の途中で、感情的に歌うところがあったのですが…。振られた”怒り”を表現していたのですね。 合点がいきました。
それにしても…。「ホテルの部屋から電話をして、出会った誰かとの恋話をする」彼女の行動は何なのでしょう? もしかして、まだ好きなのかなあ。
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