僕の初めて買ったLPレコードが「サイモンとガーファンクル」のベスト盤(国内編集の2枚組)でした。
“サウンド・オブ・サイレンス”“コンドルは飛んでいく”“明日に架ける橋”などの“静かな曲”(僕の印象です)のなかで、“ミセス・ロビンソン”は明るくて楽しかったな。ギターやリズム、コーラスもS&Gの魅力たっぷり!
よく鼻歌でメロディを奏でながら“ミスイズ(ミセスを耳で聞き、こう発音)ロビンソン、ジーザスラビューモーザンユーウィルノウ、ウォウウォウウォウ”のとこだけ一緒に歌っていました(あとの部分は早口小声でよくわからない)。
◆後で知りました。この曲が映画「卒業」で“サウンド・オブ・サイレンス”(主題歌)と一緒に挿入歌として使われていたこと。そして...鼻歌で楽しく歌っていた「ロビンソン婦人」はこの映画に出てくる主人公ダスティン・ホフマンの「浮気相手」だったと! しかも...印象的なラストシーンと聞いていた結婚式で花嫁を奪って二人で逃走する、その相手役の母親だとは...( ゚Д゚)/

◆そうなんです。主人公も誘惑に負けて関係を続けた罪があるのですが、この曲はそのお相手である「ロビンソン婦人」を皮肉った歌詞を持つ歌、なんですよね。
そう言われて歌詞を吟味すると「情事」を匂わす部分も...(^_^;)
・家に帰りたくなるまで近所をうろつく(浮気を繰り返す?)
・誰も足を踏み入れないような秘密の場所へお菓子をしまっておく。
調べてみると「cupcake」って「恋人」って意味もあるんですね...。
「cake」の意味は食べ物だけに留まりません。「cake」を使う英語の表現
「cupcake」は「darling」と同様に恋人に向かって言う呼びかける時の言葉
このサイトには、
Yes, my little cupcake.
うん、僕の可愛いハニー。
なんて例文もありました(笑)。
◆また、この曲のWikipediaには "coo-coo-ca-choo" はビートルズの"I Am the Walrus"のオマージュである、ともありました。

Songwriter(s) Paul Simon
Released in 1968
US Billboard Hot100♯1(3)
from the album Bookends and The Graduate
*原詞の引用は太字です
Dee dee dee dee dee dee dee dee dee dee dee dee dee
Doo doo doo doo doo doo doo doo doo
Dee dee dee dee dee dee dee dee dee dee dee dee dee
And here's to you, Mrs. Robinson
Jesus loves you more than you will know
Wo, wo, wo
God bless you please, Mrs. Robinson
Heaven holds a place for those who pray
Hey, hey, hey
Hey, hey, hey
あなたに乾杯! ロビンソン婦人
神さまは愛してくれてます 意外なほどに
Wo, wo, wo
神さまのご加護を! ロビンソン婦人
心から祈れば 天国に行けるはずです
Hey, hey, hey
Hey, hey, hey
We'd like to know a little bit
about you for our files
We'd like to help you
learn to help yourself
Look around you,
all you see are sympathetic eyes
Stroll around the grounds
until you feel at home
あなたのことちょっとだけ
メモしておきたいんです
あなた自身が理解できるよう
お手伝いできればと思ってます
見回してみてください
みんな同情して見てますよ
ご近所をふらつくんですね
家に帰りたいと思うまでは
And here's to you, Mrs. Robinson
Jesus loves you more than you will know
Wo, wo, wo
God bless you please, Mrs. Robinson
Heaven holds a place for those who pray
Hey, hey, hey
Hey, hey, hey
おめでとうございます ロビンソン婦人
それでも神さまは愛してくれてます
Wo, wo, wo
幸運が訪れますように ロビンソン婦人
天国にあなたの場所もあるはずですよ
Hey, hey, hey
Hey, hey, hey
Hide it in a hiding place
where no one ever goes
Put it in your pantry with your cupcakes
It's a little secret,
just the Robinsons' affair
Most of all,
you've got to hide it from the kids
隠しておくんですね
誰も足を踏み入れないような秘密の場所へ
お菓子を食品庫にしまっておくんです
「ロビンソン家のちょっとした秘密」
そういうわけですか
何よりもまず
お子様に隠しておかなきゃいけませんよね
Coo, coo, ca-choo, Mrs. Robinson
Jesus loves you more than you will know
Wo, wo, wo
God bless you please, Mrs. Robinson
Heaven holds a place for those who pray
Hey, hey, hey
Hey, hey, hey
Coo, coo, ca-choo ロビンソン婦人
神さまは愛してくれてます 思ってたよりも
Wo, wo, wo
神さまのご加護を ロビンソン婦人
心から祈れば 天国に行けるはずです
Hey, hey, hey
Hey, hey, hey
Sitting on a sofa on a Sunday afternoon
Going to the candidates debate
Laugh about it, shout about it
When you've got to choose
Every way you look at it, you lose
日曜の午後はソファに腰かけたり
立候補者の討論会に出かけてみたり
笑い飛ばしたり 大声を出してみたり
でもいざ選択のときがきたら
どの道を選ぼうと
あなたは負けてるんです
Where have you gone, Joe DiMaggio
A nation turns its lonely eyes to you
Woo, woo, woo
What's that you say, Mrs. Robinson
Joltin' Joe has left and gone away
Hey, hey, hey
Hey, hey, hey
どこに行っちゃったの?ジョー・ディマジオ
国民みんなが淋しそうな目をあなたに向けてます
Woo, woo, woo
何を言ってるんです? ロビンソン婦人
“ジョルティン・ジョー”は
もう去ってしまったんです
Hey, hey, hey
Hey, hey, hey
(Words and Idioms)
sympathetic =(人・不幸などに)同情的な,思いやりのある
stroll around =歩き回る、付近を散歩する
pantry=食料品などを収納・保管していくための空間。いわゆる「食品庫」
candidates debate=候補者の討論
jolt=精神的衝撃,ショック; 驚き.
日本語訳 by 音時(On Time)

◆終盤に名前の登場する“ジョー・ディマジオ”は歴史に残る名大リーガー選手ですね。ポール・サイモンは、この曲に彼を登場させたのは「あの頃はよかったなあ」とかつての時代を懐かしむ意図だったとのことなのですが、引退した後のジョー・ディマジオは「もう逝ってしまった」とも歌われていると自分をバカにして歌ってると大激怒したという話です。(その後誤解は解けたらしい)
でも話に聞くと、ポールが好きだった大リーガー選出はミッキー・マントルだったらしく、ミッキーがポールに“何で僕の名前じゃなく、ジョーだったんだい?”と尋ねたら、ポールは“音節がよかったんだよ”とのこと。
ポール、語呂がよくてジョー・ディマジオを歌ったって天国のジョーには内緒にしとけ。(-_-;)
(こてもトリビア)
アート・ガーファンクルは、自分のソロ公演でこの曲を歌う際、ディマジオの名前を別の選手の名前に変えることがあり、日本公演では王貞治と歌ったこともあるそうです。

◆最後、もう一つ、この曲の根幹を揺るがす話⁉
当初は、この曲、映画の登場人物の「Mr.ロビンソン」ではなく「Mrs.ルーズベルト(Roosevelt)」=エレノア・ルーズベルトを歌った曲だったという話。
映画「卒業」のサウンドトラック用にポール・サイモンが曲を作る約束をしていたのになかなか売れそうな曲が出来てこなくて、監督がイラいてた(?)ところ、ポールは「作りかけの曲なんですが...」とこの曲を聴かせたところ、「いいじゃないか!」「ミセス・ルーズベルトをミセス・ロビンソンに歌詞を変えよう!」と無茶な思いつきを強引に(!)推し進めてこうなった...とか。
言われてみると、歌詞のなかに「選挙演説」が出てきたり、“When you've got to choose.Every way you look at it, you lose”なんて箇所も立候補や当選(落選)と捉えてもおかしくないですよね。
◆映画「卒業」のシーンをバックに“ミセス・ロビンソン”。ロビンソン婦人を演じるのは今は亡き名女優 アン・バンクロフト。こうやって主人公ベンジャミン(ダスティン・ホフマン)は逢瀬を重ねていく...。
今回この曲の和訳記事にあたり、所持しているDVDを見返してみました。
うーん、主人公ベン(ダスティン・ホフマン)も実家で自立せずに過ごすストーカー気質のある男でまったく共感できません(^_^;)。最後の結婚式でエレーンを奪うシーンも...。でも、だからこそ、何だろうか、青春映画として「名作」という評価もわからないでもない...な。
“サウンド・オブ・サイレンス”と同じくらい“スカボロー・フェア”が流れます。“ミセス・ロビンソン”はシングルになったバージョンではなく、アコギをかき鳴らすバージョンで、ベンがエレーンを探し回る場面のBGMで使われるんですね。
◆おおっ、アルフィーの坂崎さんと桜井さんの歌う「ミセス・ロビンソン」!(たかみーはいないね)
ギターとコーラスはさすがなのだが、ちょっと和訳がこの歌を語っていないように思える...(^_^;)。
コメント
コメント一覧 (2)
音時
が
しました
ライブ盤のリトルスージーがトップ40入りしたり話題になったコンサートを初めて観てたのしめました。
ミセスロビンソンや、映画卒業も、イメージしていた、歌詞や映画の内容が違っていたので、あの有名な花嫁を連れ去る男がとんでもない奴で、ガッカリだったですね。あの後幸せになれるのかな?と、思ったもんです。
最近、アートガーファンクルのベスト盤を手に入れましたが、地味だけど歌声が良くて気に入ってます。
そのうち和訳あるかな?
音時
が
しました