このブログでこれまで取り上げてきた「ニューヨーク52番街」収録曲の和訳記事はこちらです。



   アルバム「ニューヨーク52番街」のA面は“Big Shot”“Honesty”“My Life”と名曲が続きます。B面はシングルカットはありませんでしたが、それでも魅力は負けていません。レコードを片面聞いて、ひっ繰り返してもう片面…だとあんまり感じないのですが、カセットテープ(C-90)で通して聞くと、アルバム全体の締めくくり“Until The Night”~“52nd Street”の終わり方に作品のトータル性が感じられました。
(一つまえのアルバム「The Stranger」も“Everybody Has A Dream”に続き、最後にまた“The Stranger”の口笛が流れて終了という構成がGood!)

◆B面1曲目のこの“恋の切れ味(スティレット)”は曲の始まりが、ゆっくりとサックス~ピアノから始まり、オルガン~フィンガースナップが入り、“She cuts you once!、she suts you twice!”とシャウトするようなビリーのボーカルがカッコいい。またなんといってもこのタイトル“Stilleto”っていうのがかっこいい。

“スティレット”(ウィキペディア)
  短剣の一種で、中世記後半、チェインメイルが普及し、それまでの剣等ではなかなか相手にダメージを与えられなくなった時代に発明されたと言われる武器。北ヴェネト州で作られたスティレットはフセットと呼ばれる。 瀕死の重傷を負った騎士にとどめを刺すために用いられたということから、「慈悲」の一撃を与えるという意味でミセリコルデと呼ばれることもある。 十字架の様な形状で、先端が尖っている。また、短剣の部類としては長身で、大概は全長30cm程である。先端は鋭利だが、両側に刃は付いていない...。

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この単語を覚えたことでちょっと大人びた感じがしましたね。「She cuts you once」とか「Bleed」とか歌詞に沢山出てくることもあって、邦題も“恋の切れ味”とされましたが、邦題の副題でわざわざ(スティレット)を入れてるところなんか、日本のレコード会社の方もビリーがこの単語をタイトルにしたカッコよさをそのまま表現したかったのだろうと想像します。

◆ウィキペディアによると、この曲はビリーの当時の恋人エリザベス・ウェーバーとの関係性を歌ったものらしい。彼女に切り刻まれるのはビリー自身だったということか。


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Writer: JOEL, BILLY
Lyrics © Universal Music Publishing Group

Released in 1978
From The Album"52nd Street"

*原詞の引用は太字です

She cuts you once, 
she cuts you twice
But still you believe
The wound is so fresh you can taste the blood
But you don't have strength to leave

彼女はおまえを傷つける
一度も! 二度も!
それでもまだ信じてる
傷口は血を味わえるくらい新鮮で
だけどおまえは彼女から離れる勇気がない

You've been bought, you've been sold
You've been locked outside the door
But you stand there pleadin',
With your insides bleedin',
'Cause you deep down want some more

信じてもらって ダマされて
そのあげくに閉め出されたりしても
おまえは弁護しようと立ちはだかる
からだに血を流しながらも
だって心の底では求めてるんだ
もっと切りつけてくれって

When she says she wants forgiveness
It's such a clever masquerade
She's so good with her stiletto
You don't even see the blade
You don't see the blade

彼女は許してほしいと言いながら
上手に仮面をかぶってる
彼女は鋭いナイフを上手に使う女
おまえにはそのナイフが見えやしない
ナイフの刃さえ見ることはないんだ

She cuts you hard, 
She cuts you deep,
She's got so much skill
She's so fascinating that you're still there waiting
When she comes back for the kill

彼女はおまえを傷つける
激しく! 深く!
彼女はナイフを上手に使う
魅惑的な彼女をただ待ってるだけさ
おまえを餌食にしようとやってくるのに

You've been slashed in the face
You've been left there to bleed
You want to run away
But you know you're gonna stay
'Cause she gives you what you need

おまえは顔を傷つけられて
血を流して置き去りだ
逃げ出したいけれど
どうしても留まってしまう
彼女はおまえが欲しいものをくれるから

Then she says she needs affection
While she searches for the vein
She's so good with her stiletto
You don't really mind the pain
you don't mind the pain

彼女は愛が欲しいと口にしながら
心の中ではどこを切りつけるか探してる
彼女は鋭いナイフの達人なのさ
痛みなんか感じさせることなく
いつのまにかおまえを傷つけるんだ

She cuts you out, 
She cuts you down
She carves up your life
But you won't do nothng
As she keeps on cutting
'Cause you know you love the knife

彼女はおまえを傷つける
見事に! すっきりと!
おまえの人生を切り刻むのさ
おまえは動きやしない
彼女が切り続けてるっていうのにね
なぜって
おまえは彼女のナイフを愛してるから
 
You've been bought, you've been sold
You've been locked outside the door
But you stand there pleadin'
With your insides bleedin'
'Cause you deep down want some more

信じてもらって そしてダマされて
そのあげくに閉め出されたれ
おまえは血を流しながらも
弁護しようとたたずむのさ 
だって心の底では
もっと切りつけてほしいと思ってるから

Then she says she wants affection
While she searches for the vein
She's so good with her stiletto,
You don't really mind the pain
You don't mind the pain

彼女は愛が欲しいと口にしながら
心の中では血管を探してるんだ
彼女は鋭いナイフの達人さ
痛みなんか感じさせることなく
いつのまにかおまえを傷つける...

 (Words and Idioms)
bought(buy)=信じる
been sold=だまされる
plead=弁護する
slash=さっと切る
out=すっかり 完全に
carve up=小さく切り分ける

日本語訳 by 音時(On Time)
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◆ところで、2010年のケイティ・ペリーの大ヒット“California Gurls”の歌詞でも「Stilleto」が出てきます。「Sex on a beach 、We get sand in our stilletos 」という部分(浜辺でエッチして、スティレットに砂が入っちゃったわ)なのです(^_^;)が『ナイフになぜ砂が?』と疑問に思いました。
 改めて調べてみると、「Stilleto」には「ピンヒール」の意味もあるようなので、「かかとの細い靴(ピンヒール)に砂が入った」ということなんですね。「Stilleto」は「先の細くとがった」ものについて使われる語のようです。
  試しに「Stilleto」でGoogle画像検索してみたら...ピンヒールの写真がいっぱい!

◆Live in モスクワ(1987年) 音源のみ。冒頭、ビリー自身が曲紹介をしたあと、ロシア語での通訳が入る。