この曲はギターで練習したなあ。それだけ印象的なギターのフレーズ。そして「詩」としての完成度も高い。2分弱の短い曲ですが名曲です。
和訳の方も中学生のときに一度試みましたが、もう最初の"April Come she Will"から中学英文法では???でした。
4月から9月まで、すべて月の名前に韻を踏んでいます。
「April」と"will"、「May」と"stay"、
「June」と"tune"、「July」と"fly"、
「August」と"must"、「September」と"remember"
そして、中学生の頃は"なんで7月になると彼女は飛んでいくんだろう?"と不思議な歌だなあと思っていました(-_-;)
これは"July"と韻を踏むために「行ってしまった」を"Go away"とか使わずに"fly"としたんでしょうね。でも「突然」感は出ていて、意味が深まってるように思います。
"come she will"や"die she must"の"倒置も韻のためなんだろうなあ。Paul Simon、やっぱり詩人です。

c 1965 Words and Music by Paul Simon
Released in 1966
From The Album"Sound Of Silence"
:原詞は太字
April, come she will
When streams are ripe and swelled with rain
4月 彼女はやってくる
小川の水が満ちて
雨でかさが増した頃に…
May, she will stay
Resting in my arms again
5月 彼女はいてくれるだろう
僕の腕で再び安らぐんだ…
June, she'll change her tune
In restless walks, she’ll prowl the night
6月 彼女の様子が変わるだろう
落ち着きなく歩き 夜に彷徨うんだ…
July, she will fly
And give no warning of her flight
7月 彼女はいなくなってしまう
なんの予告もなく突然に…
August, die she must
The autumn winds blow chilly and cold
8月 彼女は死んでしまうんだ
秋の風が肌寒く冷たく吹くなかで…
September, I'll remember
A love once new has now grown old
9月 僕は忘れない
生まれたばかりの愛も
大きく成長するっていうことを…
(Words and Idioms)
ripe=熟して
swell=かさを増してふくれる
warning=予告
chilly=冷え冷えとした うすら寒い
日本語訳 by 音時

◆"彼女は死んでしまったのか?"…死んでしまうに"違いない"と言っているが、"死んでしまったとは言っていない"。
また"grow old"は"老ける"という意味と同時に"大人になる"という意味もあります。
行ってしまった彼女、今は僕のそばにはいない。だからこそ彼女への想いは募っていく。会えないからこそ彼女への想いに気づく…愛も成長したのでは…だから"I'll remember"=忘れないよ、と決意しているのではないでしょうか。
そしてOctober、November、December、January、February、Marchを過ぎて、また4月になれば彼女がやってくる。5月に僕の腕で"再び(Again)安らぐんだ…。

◆"4月"から新しい学年や年度が始まる日本では"4月になれば…"と聞くと、特別な"始まり感"がありますね。だから8月で死んでしまい、9月にあのときの愛が「Grow old」になってしまった…というとこの曲に喪失感を感じてしまうこともありました(僕もそうでした)。
でも9月始まりのある外国では受け止めはどうなのでしょうか。新しく始まる9月に「愛が成長している」ことを感じ、そして「寒い季節を越え」、また「愛」がめぐってくる…。そんな1年間を歌った曲なんだと今はとらえたいです。Paul Simon、やっぱり詩人です。(本日2回目)
◆アートのソロから"April Come She Will"。アートのライヴではよくオープニングで歌われてます。
★このブログでこれまで取り上げてきたS&Gの曲の和訳記事はこちらです。
コメント
コメント一覧 (9)
音時
が
しました
短くてきちんと韻を踏んでいるので生徒にディクテーションさせたりしてます。
私の中ではtuneとflyで”彼女”は鳥のイメージです。ツバメのような。
英語の詩のイメージを壊さない素敵な訳詞ありがとございます!
音時
が
しました
どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。
音時
が
しました
"glown old"なんて、情けないつづりの間違いで、失礼しました。電球か?!
「ライブラリー」なんて、LやらRやら分かりません!(右・左は分かりますが!)
ブログのタイトルバックのジャケット写真。リアルタイムでペット・サウンズ聴いていたりしたもので・・・音楽と匂いは、心をその記憶のあったところへ一気に連れていきます。これから楽しみに他の記事を読ませていただきます。
音時
が
しました
近い年代ですかね…
さて、"glown old”はそういう意味もあるのですか。歌詞全体の感触が違ってしまうじゃないですか! 長年頭に染み着いた感じはなかなかしぶといです。
でも、私の解釈では物悲しいけれど、サイモンはメインのテーマを曲のタイトルにしたのだと考えれば、音時さんの解釈が馴染みますね… あたま、更新します。
サイモンとガーファンクルのアルバムは擦り切れるほど聴いて、何かのドラマに「冬の散歩道」が使われていた時には、その曲が終わると、次の「At the zoo」が出てこないのが不自然な感じがしたものです。(^^♪
またお邪魔します。
*その昔「ビート・オン・プラザ」というFM番組(関西ローカル?)があって、アルバム一枚全曲掛ける、という今では考えられないような編成でした。洋楽はこの番組でいろいろ「お勉強」いたしました。
音時
が
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音時
が
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音時
が
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どこかで読ませていただいたのですが、実は私も初めて買った洋楽のレコードがサイモン&ガーファンクル(Greatest Hits)です。確か中3か高1くらい。今でもS&Gの歌声を聞くと、耳が反応して一瞬その頃の気分を思い出します。そのレコードには入っていませんでしたが、この曲も美しくて大好きです。今まで何となく聞いていた歌詞、今回しっかりと味わいました。ありがとうございます。
音時
が
しました
韻を踏んでいるところが美しい。倒置がかっこいい。(解説をして頂いて初めて理解。)倒置は、確か、学校で習って覚えているのは副詞の倒置Hardly whenだったか。Hardlyが文の前に来るとHardly had he left the house when the storm broke.とこんな倒置文になったような。
また実際に英語圏の人とのやりとりで、出くわすのはビジネスレターの最後の文。If you have queries, please let us know。がShould you have queries, please let us knowとなる場合がある。かっこいいなあと思ってます。しかし上級すぎです!
サイモン&ガーファンクルの美しさは、声、曲そして歌詞だったということが今日わかりました。詩人ですね。解説ありがとうございます。
March, understand I Simon&Garfunkle very much.(違うかな?やっぱり)
音時
が
しました