このブログで取り上げてきた、スモーキー・ロビンソンの楽曲の和訳記事はこちらです。
知らなかったなあ。
1970年12月に2週間、全米No1を記録したこの曲「涙のクラウン」ですが、作者は当初スティーヴィー・ワンダーとヘンリー・コスビーの2名で、彼らは主にインストゥルメンタルの部分を担当していたのですが、仮につけた歌詞が気に入らなくてスモーキーに歌詞を頼んだそうです。スモーキーが「道化師パグリアッチ」をイメージして歌詞を仕上げたとのこと!
◆ミラクルズのデビューは1958年、初のメジャーヒットは1960年に全米2位となる"Shop Around"でした(のちにキャプテン&テニールがカバーヒットしますね)。スモ―キー・ロビンソン&ザ・ミラクルズを名乗るのは1967年。さらに沢山のヒットを生み出していきます。でもツアーが続くなか、スモーキーは家族のことを考えてグループを立ち去ろうとしていたところ…"涙のクラウン"が大ヒット。彼らに初の全米No1ヒットをもたらしました。スモーキーはグループに留まらざるを得なくなりました。(スモーキーの脱退は1972年。ミラクルズのリード・ヴォーカルにはビリー・グリフィンが就任。スモーキーはようやくソロになりましたが、なかなかヒットは出ませんでした…)

◆僕は最初は「涙のクラウン」という邦題を耳にしまして、"クラウン"って英単語が頭に浮かばなかったので、「車」の名前?なんて一瞬思いました。「涙のクラウン」という邦題ではありますが、原題が"The Tears Of A Crown"ですから正しくは「クラウンの涙」であり「道化師の涙」っていうことでしょう。
途中、"道化師にならなけりゃ"とばかりにピッコロが入ってくるアレンジも秀逸だと思います。
また、和訳する前は、大切で好きな相手の前で道化師になり、本当の気持ちを隠しているのかな?と思ったのですが、相手には自分の涙を知ってほしい、僕の道化師の顔ではなく本当に悲しいことを知ってほしいと歌っているんですね…。
道化師が主人公ってことでは…レオ・セイヤー(およびスリー・ドッグ・ナイト)の"道化師の孤独~Show Must Go On"を想い出しますよね。レオは道化師の格好もして歌ってるんですよ。

written by
Smokey Robinson, Stevie Wonder, and Hank Cosby
Released in 1970
US Billboard Hot100#1(2)
From The Album“ Make It Happen (aka The Tears of a Clown)”
:原詞は太字
Now if there's a smile on my face
It's only there trying to fool the public
But when it comes down to fooling you
Now honey that's quite a different subject
ねえ 僕がもし笑っていたとしても
それはみんなをあざむこうとしてるだけ
でもきみを騙そうとすることになれば
それはまったく別な話になるのさ
But don't let my glad expression
Give you the wrong impression
Really I'm sad
Oh I'm sadder than sad
You're gone and I'm hurtin' so bad
Like a clown I pretend to be glad
僕の楽しそうな表情がきみに
間違った印象を与えないようにしなきゃ
本当は僕は悲しいんだ
ああ 悲しすぎるほど悲しいのさ
きみが去ってしまい僕はとても傷ついたよ
まるで楽しげに振る舞う道化師みたいに
Now there's some sad things known to man
But ain't too much sadder than
The tears of a clown,
When there's no one around
Oh yeah baby
ああ 悲しいことって色々あるけど
これより悲しいことってないんだよ
それは 道化師の涙さ
誰もいないところでひっそり流すんだ
ああ ベイビー
Now if I appear to be carefree
It's only to camouflage my sadness
And honey to shield my pride
I try to cover this hurt with a show of gladness
But don't let my show convince you
That I've been happy since you decided to go
ああ もし僕がお気楽に見えたとしても
それは悲しみをカムフラージュしてるだけ
プライドを隠そうとして
この傷を見せかけの楽しさで覆ってるのさ
でも僕の見た目だけできみに誤解してほしくない
きみが出て行ってから僕が元気だなんて
Oh I need you so
I'm hurt and I want you to know
But for others I put on a show,
ooh yeah
ああ きみが必要なんだ
僕が傷ついたこと わかってほしい
でも他のみんなには取り繕ってしまうんだ
ooh yeah
Now there's some sad things known to man
But ain't too much sadder than
The tears of a clown
When there's no one around
Oh yeah baby
ああ 悲しいことって色々あるけど
これより悲しいことはない
道化師の涙
誰もいないところで流すんだ
ああ ベイビー
Just like Pagliacci did
I try to keep my sadness hid
Smiling in the public eye
But in my lonely room I cry
まるでパグリアッチのように
僕は自分の悲しみを隠し通すのさ
みんなの目には微笑みを見せながら
ひとり淋しい部屋で泣く
The tears of a clown
When there's no one around
Oh yeah baby
道化師の涙
それは誰もいない場所で
ひっそり流れるもの…
ああ ベイビー
Now if there's a smile on my face
Don't let my glad expression
Give you the wrong impression
Don't let this smile I wear
Make you think that I don't care
When really I'm sad, I'm hurting so bad
ねえ 僕がもし笑っていたとしても
僕の楽しそうな表情がきみに
間違った印象を与えないようにしなきゃ
僕のこの笑い顔で
平気なんだときみに思われたくない
僕は本当に悲しいんだ
とても傷ついてるんだ…
(Words and Idioms)
carefree=心配[気苦労]のない、気楽な
日本語訳 by 音時

◆ネットにこんな記事がありました。
「ファンクラブの代表が発掘して1位になった埋もれた名曲:スモーキー・ロビンソン「Tears Of A Clown」(udiscovermusic.jp)
この記事によると…当初はこの曲は単なるアルバムの一曲に過ぎませんでした。ミラクルズがなかなかイギリスで成功しないことから、イギリスのモータウン・ファンクラブの代表の方がアルバムから選んだのがこの曲。見事、イギリスでチャートの1位を獲得しました。全米ではイギリスに次いでシングルカットしてこちらも第1位に!

◆“涙のクラウン”が最高位1位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles Week Ending 12th December, 1970
パートリッジ・ファミリーの"悲しき初恋"に代わって首位に立ちます。トップ10には、ビージーズ、ジョージ・ハリスン、サンタナなどのポップスの名曲が入っていますね。8位はバッド・フィンガー「嵐の恋」。9位はシカゴ「いったい現実を把握している者はいるのだろうか」です。
-1 2 THE TEARS OF A CLOWN –•– Smokey Robinson and the Miracles
-2 1 I THINK I LOVE YOU –•– The Partridge Family
-3 3 GYPSY WOMAN –•– Brian Hyland
-4 7 ONE LESS BELL TO ANSWER –•– The 5th Dimension
-5 4 I’LL BE THERE –•– Jackson 5
-6 13 MY SWEET LORD / ISN’T IT A PITY –•– George Harrison
-7 17 BLACK MAGIC WOMAN –•– Santana
-8 8 NO MATTER WHAT –•– Badfinger
-9 16 DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS –•– Chicago
10 10 SHARE THE LAND –•– The Guess Who
◆ソロになったスモーキー。貫禄のステージですね。
◆Daryl's Houseでダリル・ホールとの共演。
◆「ラプソディ―」by RC SUCCESSION。
1986年の日比谷野外音楽堂でのライヴを彼らは「the TEARS OF a CLOWN」と名付けました!(レコードも出ています)。"バンドマン 歌ってよ"。
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