アルバム「ストレンジャー」のオープニング曲"Movin' Out"。
米国では"Just The Way You Are"の後のセカンド・シングルで最高位17位になりましたが、日本では「ストレンジャー」がシングルになり大ヒットしましたね。(米国では"The Stranger"はシングルになっていません)"Movin' Out"は日本ではストレンジャーとのカップリングでシングルになりました。

サブタイトルで"Anthony's Song"と付けられたこの曲。食料品店に勤めている息子アンソニーに"働きすぎるなよ…"と母親が呼びかけるところから始まります。
1977年当時の米国社会。都会人の生活を歌ったビリーは"働きすぎ"社会について警鐘を鳴らしていたんですね。
また"Movin'Out"はビリーの代名詞扱いになって、2006年にビリーの曲26曲で綴るダンス・ミュージカルのタイトルにもなっています。(ブロードウェイでは2002年から)セリフなしでビリーの曲とダンスパフォーマンスだけです。こちらもヒットしましたので、ご覧になった皆さんは多いかもしれませんね。(僕は見損なった…)
Songwriters JOEL, BILLY
Lyrics © Universal Music Publishing Group
Released in 1977
US Billboard Hot100#17
From The Album"The Stranger"
:原詞は太字
Anthony works in the grocery store
Savin' his pennies for someday
Mama Leone left a note on the door
She said, "Sonny, move out to the country"
Workin' too hard can give you
A heart attack (ack)
You oughta know by now
Who needs a house out in Hackensack
Is that all you get with your money
アンソニーは食料品店に勤めてる
いつか将来のためにお金を貯めてるのさ
ママ・レオーネがドアに手紙を挟んでいったよ
彼女からは こう書いてあった
"息子よ 田舎に帰っておいで"って
あまりにも働き過ぎたら
心臓麻痺にでもなっちまう
もう気が付いたらどうなんだ
ハッケンサックでなくて
誰が家を欲しがるんだい
ぜんぶ自分のお金をかけてまで…
It seems such a waste of time
If that's what it's all about
Mama if that's movin' up
Then I'm movin' out
I'm movin' out
まったく無駄な時間だよ
もしそれが大切だって言うんならね
ママ それが出世ってことだったら
そのときは 僕は一抜けた
僕は出ていくよ
Sergeant O'Leary is walkin' the beat
At night he becomes a bartender
He works at Mister Cacciatore's down
On Sullivan Street
Across from the medical center
オレアリ巡査部長は巡回中さ
夜になると彼はバーテンダーになる
働くのはカチャトーレが美味しいイタリア料理店
サリヴァン通りを下ったとこさ
医療センターの向かいだよ
He's tradin' in his Chevy for a Cadillac
You oughta know by now
And if he can't drive
With a broken back
At least he can polish the fenders
彼はシヴォレーを
キャデラックに変えたいんだ
もう気が付いてもいいのにね
骨身を削って体を壊したら
ドライヴそのものができないのに
車の泥よけを磨くくらいのことはできるけど
It seems such a waste of time
If that's what it's all about
Mama if that's movin' up
Then I'm movin' out
I'm movin' out
そいつが大切なんだって言うのなら
なんて時間の無駄なんだい?
それが出世だって言うのなら
僕はおさらばしちゃうよ
もう出て行くさ
You should never argue with a crazy mind
You oughta know by now
You can pay Uncle Sam with the overtime
Is that all you get for your money
頭のイカれた奴とは決して議論しないことさ
もう気付けよって話だね
合衆国に残業代を払ったっていいけれど
そんなことに稼いだお金を使うのかい?
If that's what you have in mind
If that's what you're all about
Good luck movin' up
'Cause I'm moving out
きみが考えてるのってそんなこと?
それが大切なことだって言うのかい?
頑張って出世しなよ
僕はおいとまさせてもらうから
I'm moving out
I'm moving out
僕はまっぴらゴメンさ
僕は出て行くよ
(Words and Idioms)
walk one's beat=持ち場を巡視する(巡査が)
break one's back=骨を折る、骨身を削る、一生懸命働く
fender=フェンダー(タイヤの上部に付く泥よけ部分)
Uncle Sam=アメリカ合衆国を擬人化した架空の人物。アメリカ人一般をさすこともある。United Statesと頭文字が同じU・Sなためこう名付けられたとされる。
日本語訳 by 音時

◆和訳はいくつか調べる箇所がありました。
・"ハッケンサックに家を建てる"という歌詞ですが、僕はずっと"ハッケンサック"ってスラムのようなイメージで、誰がそんなところに家を建てるものか!という意味だと思っていたら、そうではありませんでした。どちらかというと逆の「あこがれの町」。
1970年代後半、ニュージャージー州ハッケンサックはニューヨークのベッドタウンとして移民の方たちから脚光を浴びた町だったようです。「お金を貯めてハッケンサックに家を買う」というのが庶民の夢。"Who needs a house out in Hackensack"は、誰がハッケンサックの外に家を必要とするんだ?"→"住むんならハッケンサックだろう"という意味なのでしょうか。でもそんなことに稼いだお金を使おうとしても、働き過ぎて心臓麻痺になるのがオチじゃないか…ということを歌っているのだろうと思います。
・カチャトーラ(Cacciatore)は、イタリア語で「猟師風の」という意味。
スパゲティ・カチャトーラは料理名で「漁師風」って付いたりしますね。トマト,マッシュルーム,香草,調味料などで味をつけ煮込んだ、あのソースです。(結構好きです)「Mister Cacciatore's」はホントにカチャトーラさんという店主なのかもしれませんが、有名料理がある店をその料理名で呼んだりしますよね。ですので「カチャトーラがうまいイタリア料理店」としました。
・僕は車に乗らないので(ペーパードライバー)"フェンダー"はわかりませんでした。最初、エレキギターを磨く?のかと思いました(^▽^;)。
・"アンクル・サム"…You can pay Uncle Sam with the overtime…は、"残業して税金を合衆国に収めるために働いてるのかい?"という皮肉でしょうね。

◆最初に聴いたときから、"ハーラタカカカ…"のフレーズは忘れられません。終盤には車で出て行く(Movin' Out)効果音も入っていますね。
◆2008年の日本公演から。カウントも"いち、にっ、いち、にっ、さん、し!"
コメント
コメント一覧 (11)
音時
が
しました
音時
が
しました
音時
が
しました
アルバム『ストレンジャー』、大好きです。アメリカでシングルカットされたのは4曲かな? 1曲目の「ムーヴィン・アウト」から、ラストの「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」まで、魅力的な楽曲の連続です。
たしか…。ラストナンバーには、フィービ・スノウ やパティ・オースティンが参加していたんですよね。 フィル・ラモーンの功績も大きい!
アンソニーのお母さんは、「働き過ぎると心臓麻痺になる」と言ってますね。
ほどほどに働くのがいいのかも…。ストレスをためないように。
音時
が
しました
あまりにも働き過ぎたら
心臓麻痺にでもなっちまう
もう気が付いたらどうなんだ
“誰もがハッケンサックに家が欲しいのさ”
(と言われるけれど、そのために体壊すまで働いて)
アンタのお金で、得られるのはそれが全てなのかい?
という解釈をしています。
ただ一つ今回ふと迷ったのは、
“Out in Hackensack”という言い方が、
「ハッケンサックの外」=ハッケンサック以外の町
という意味なのか、それとも
「ハッケンサック郊外」=ど真ん中ではないけれどハッケンサックに隣接した町で、ほぼ“ハッケンサック”でやはり憧れの町、という意味なのかはわかりませんでした。
「田園調布に家を建てよう」と頑張ってきたけれど、最終的に田園調布と隣の駅の「多摩川」周辺に家を建てても、「どこ住んでるの?」と言われれば「田園調布よ」と答える人は多そうにも思います。この例は東京都の南の方に住んでいないとわからないかとは思いますが…(^_^;)。
音時
が
しました
ここの歌詞については基本的に、「当時、ハッケンサックに住むことは一つのステイタスであった」という解説などを見て解釈をしています。
https://genius.com/568636
Hackensack is a suburban city in New Jersey and is only seven miles away from the George Washington Bridge which crosses the Hudson River into the Manhattan borough of New York City. At the time this was considered prime real estate.
日本で言えば漫才のセントルイスさんが「田園調布に家が建つ!」という憧れの都市に家を建てる庶民の夢をお笑いにしましたが、ビリ−の書いた当時は“ハッケンサックに家を建てる=住む、のは憧れ“であり、その夢の実現ために都会の人たちはあくせく働いていた、ということかと思います。したがって僕はここの訳を“ハッケンサックから外(out in Hackensack)の家を誰が必要としているんだ”=みんなハッケンサックに家を建てたいんじゃないのか、という意味にとらえました。解釈としては、このセリフを誰が言ったのか、ということでも在るのかなと思いました。誰が言ったかといえば…当時そう言われていた、ということでしょうね。(続きます)
音時
が
しました
ハッケンサックの近くに住んでいたことがあります。
ニューヨーカーから見ればそんなところに住みたくないって感じの場所です。
お母さんはここで(ハッケンサック)で、いいじゃない!?
ここで十分じゃない!!って言っているんだと思います。
音時
が
しました
音時
が
しました
LPの帯には「今、アメリカで人気上昇中のビリージョエルって知ってる?」と書かれてました。 今では信じられないですよね。
最後の「ドドドド」って音は車ではなく、「ハーレーダビッドソン」の音だそうです。(バイク乗りの友人が断定してました。そういえば、PVでもそんなシーンがあったような気がします。)
音時
が
しました
音時
が
しました
Moving Out、印象的だったのは、Heartattackakakaka、Cadillacacacacaのところ。しかし歌詞は、対話調であり、よく英語圏の人が使うフレーズYou ought to (should)know by now, If that's what it 's all about等が随所にあることを今回、音時さんの訳で知りました。
そんなことを思いながら聞いています。来年もたくさん曲をあげてください。楽しみにしています。
音時
が
しました