一度聴いただけで「これはすごい歌だ!」と思わされた歌、何曲かあります。

ビートルズの"ア・デイ・イン・ザ・ライフ"
ポール・マッカートニー&ウイングスの"バンド・オン・ザ・ラン"
マンフレッド・マンズ・アース・バンドの"光で目もくらみ"
クイーンの"ボヘミアン・ラプソディ"
レッド・ツェッペリンの"アキレス最後の戦い"
マイ・ケミカル・ロマンスの"ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード"

そしてこの曲。

目まぐるしい展開の"組曲"チックの曲は僕のツボです。
(何も僕に限った話ではなく、多くの人にとってスゴい曲と思いますが)

◆ただ、この曲"Sowing The Seeds Of Love"はビデオもすごい。CGとともにTears For Fearsの二人が歌い動き、最後には(愛の)種からヒマワリの花が咲き、そしてそのヒマワリが宇宙へと育ち(太陽となって)地球がその周りを回ってる…というラスト。目が離せず何度観ても飽きないビデオです。

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◆ちなみにこの名曲は、ビルボードHot100では全米2位の大ヒットになりました(TFFの1位を阻止したのはジャネジャク "Miss You Much")。
 ただしキャッシュ・ボックスでは11月に1週のみ全米1位になっていますね。(キャッシュ・ボックスはビルボードで1位を逃した曲でも1位になっている場合があってたまに見ると面白いですね…!同様にキャッシュ・ボックスでは1位になったのが、マドンナ"チェリッシュ"、ポーラ・アブドゥルなど…)
(1989年のキャッシュ・ボックス 全米チャートNo.1リスト)はこちらをどうぞ

それでは歌詞と日本語訳です。解説の続きは後半にて。

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Songwriter(s)
Roland Orzabal、Curt Smith

Released in 1989
US Billboard Hot100#2
From The Album“The Seeds of Love”

:原詞は太字

High time we made a stand
And shook up the views of the common man
And the love train rides from coast to coast
D.J.'s the man we love the most

Could you be, could you be squeaky clean
And smash any hope of democracy?
As the headline says you're free to choose
There's egg on your face and mud on your shoes
One of these days 
they're gonna call it the blues, yeah, yeah

そろそろ立場をはっきりさせよう
"常識人"の見方だって揺るがせてしまおうじゃないか
ラヴ・トレインを国中走らせて
僕らが最も好きなD.Jの元へたどり着くのさ

ねえ きみはそんなに清廉潔白でいられるの?
そして民主主義の理想とやらを粉々にしてくれないかい?
新聞の見出しには
きみには選ぶ権利があるって書いてあるけど
顔に卵をぶつけられ 靴は泥だらけのきみ
世の中じゃそのうちに
"これがブルースってことさ"って言われちゃうんだ

Sowing the seeds of love, seeds of love
Anything is possible 
when you're sowing the seeds of love

Sowing the seeds
Sowing the seeds of love
Anything is possible
Seeds of love
Sowing the seeds of love
Sowing the seeds

愛の種を蒔こう 愛の種だよ
あらゆることが可能になるから
きみが愛の種を蒔くのなら

愛の種を蒔くんだ
大きく育ちますようにと願いを込めて
不可能なことなんてない
大切なのは愛の種
愛が大きく育つためには
種を蒔かなくちゃいけないんだ

I spy tears in their eyes
They look to the skies for 
some kind of divine intervention
Food goes to waste
So nice to eat, so nice to taste

Politician granny with your high ideals
Have you no idea how the majority feels?
So without love and a promised land
We're fools to the rules of a government plan
Kick out the style
Bring back the jam

人々の瞳に涙が浮かぶのをじっと見る
空を見上げて誰もが何かしらの神の采配を待ってるのさ
美味しいもの 最高の味わいのものがあるけど
食べものは無駄にされている

崇高な理想を掲げる"おばあちゃん政治家"さん
アンタは大多数の人々の感覚がわからないのかい?
愛もなければ 約束の地もない
僕たちは政府の決めたルールに従う馬鹿者なのか?
しきたりなんてクソくらえさ
自由を取り戻すんだ

Sowing the seeds of love, seeds of love
Anything
Sowing the seeds of love
Sowing the seeds of love, seeds of love
Sowing the seeds

Sowing the seeds
The birds and the bees
My girlfriend and me

In love

愛の種を蒔こう 愛の種だよ
何だってそうさ
愛の種を蒔こう
愛を育てるためには種を蒔かなくちゃ
種を蒔くことだ

種を蒔こう
鳥たちもミツバチも
ガールフレンドと僕も

恋をしてるんだ…

[Interlude]

Feel the pain, talk about it
If you're a worried man, then shout about it
Open hearts, feel about it
Open minds, think about it

Everyone, read about it
Everyone, scream about it
Everyone
Everyone, yeah, yeah

Everyone read about it, read about it
Everyone
Read it in the books, in the crannies and the nooks
there are books to read for us

痛みを感じたなら 口にすればいい
きみが悩める人なら 大声を出すことだ
心を開こう 感じることが大事だ
偏見を取り除いて 考えてみることだ

みんな 本を読もうじゃないか
誰もが 大声で口にするんだ
誰もだよ
みんなのことさ

本を読め かつての歴史を知るんだ
みんながやることだ
書物から学ぶんだ 
ありとあらゆる書物から
僕らが読むべき書物は沢山あるんだから…

Sowing the seeds of love
Sowing the seeds of love
We're sowing the seeds
Sowing the seeds
Sowing the seeds of love
We're sowing the seeds
Sowing the seeds of love
Sowing the seeds of love
Mr. England sowing the seeds of love

僕たちは種を蒔くのさ
愛の種を蒔こう
Mr.イングランドも一緒に

Time to eat all your words
Swallow your pride
Open your eyes

Time to eat all your words
Swallow your pride
Open your eyes

沈黙を守るべきときがある
自分のプライドを抑えるんだ
でも瞳は見開いたままで

言いたいことを我慢すべきときもある
プライドを飲み込んで
でも目を閉じてはいけないよ

High time we made a stand
And shook up the views of the common man
And the love train rides from coast to coast

(Time to eat all your words)
(Swallow your pride)
(Open your eyes)

もう立ち上がるときが来た
"常識人の見識"なんて揺るがせて
国中に愛の列車を走らせよう

(言いたいことを我慢すべきさ)
(プライドも飲み込んで)
(ただし瞳は見開いておくんだ)

Every minute of every hour
I love a sunflower
And I believe in love power
Love power
Love power

今この毎分毎時間だって
僕は"ひまわり"を愛してる
愛の力を信じてるんだ
愛の力さ
種から芽が出て愛の花が咲くことを

(Open your eyes)
(Open your eyes)
(Open your eyes)

(目を閉じちゃいけない)
(瞳を見開いておくんだ)
(愛の花が咲くのを見逃すな)

Sowing the seeds of love, seeds of love
Sowing the seeds
Sowing the seeds of love, the seeds of love
Sowing the seeds
Sowing the seeds
Sowing the seeds of love, seeds of love
Sowing the seeds of love, sowing the seeds
Sowing the seeds

種を蒔こう
愛の種を蒔くんだ

An end to need
And the politics of greed
With love

愛の種を蒔いて
終わらせるんだ
強欲の政治に終止符を
愛の力で

Sowing the seeds of love, seeds of love
Sowing the seeds of love…

愛の種を蒔こう 愛の種を
種から育て 愛の花を咲かせよう…!


(Words and Idioms)
It is high time ~ =もういい加減に~すべき時である
make a stand=停止する、立場を支持する
squeaky=キーキーした音
squeaky clean=キュッキュッと音がするほど洗ったり拭いたりしたということ、つまり 「とても清潔な、ピカピカにきれいな」 という意味
smash=粉砕する、打ち砕く、粉々に砕く
spy=【他動】〔ひそかに〕監視する、見張る〔じっくり観察して〕見いだす、探り出す
Divine Intervention=聖なる[神の]介入[調停]
granny=おばあちゃん、おばあさん
high ideal=高邁な[崇高な]理想
nooks and crannies=ありとあらゆる場所、いたる所
(nook=人目につかない所、cranny=壁や岩などの割れ目)

日本語訳 by 音時

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◆この曲についてはウィキペディアやSongfactsページにも書かれていますが、"60年代のノスタルジア(80年代後半に大きく)にさかのぼり、ビートルズに敬意を表し、フラワーパワーの哲学を表している"と紹介されています。
 メンバーの作者のローランド・オーザバルは、この曲を1987年6月に書いたということですが、当時の英国ではマーガレット・サッチャーと保守党が3期連続で首相を務めた英国総選挙の週でした。ローランドはこの選挙により、政治に関心を持つようになったそうです。

 歌詞にある、"Politician granny with your high ideals, have you no idea how the majority feels?"の部分を訳していて、「誰」?とは言っていませんが、明確な批判と主張をしているんだな、ということがわかりました(^▽^;)。

みんな立ち上がる時が来たんじゃないか?「愛を信じて、その種を蒔こう」。
「本を読もう」は読書推進活動?というよりも、世界が変わってきた歴史=民衆がその力を持っていることを知ろう~歴史を知ろうという意味にとらえました。
 とは言うものの…カート・スミスが「言いたいことを言えない時もある、プライドを飲み込もう、でも瞳は見開いて」のコーラスを繰りかえし入れてくるところが、誰もが悩んでいること=歴史は直線的には進まずに、一進一退しながら、らせんを描いて進んでいく…というようなことを表現しているように思いました。

◆サウンドはビートルズの"I Am the Walrus"と似ている、とも言われるこの曲ですが、アルバムだと「サージェント・ペッパーズ」の雰囲気に近いですよね。ちょうど「Sowing The Seeds Of Love」がリリースされていたときに、ビートルズの「サージェント…」が20周年でCDでリイシューされ発売されたことと重なり、ビートルズとTFFのアルバム両方がめちゃくちゃ売れたとSongfactsページに書かれておりました。

◆その他、色んなエピソードがこの曲は尽きません!
・この曲のタイトルはローランドはラジオ番組でフォークチューンについて聞いたイギリスのフォークソング「The Seeds Of Love」に触発されたとのこと。
・「I Love the Sunflower」の歌詞は、ローランドの家の近くの壁に描かれた落書きに触発されたそうです。でもなぜこの歌詞が出てきたかというと、トラックのガイドボーカルで何を歌えばよいかわからなかったので、「ダダダダダダ」(ヘイ・ジュード)の代わりに歌ったと言います。




◆日本では日産シルビアのCMで使われました。