これまでに取り上げてきたビリー・ジョエルの和訳記事はこちらです。

アルバム「ニューヨーク52番街のB面収録の曲「ロザリンダの瞳」です。

ヒット曲ばかりのA面に比べ、B面は著名な歌はないものの聴き応えは十二分!ビリー節全開の「恋の切れ味」の次曲で、ラテンな雰囲気のホンワカしたラヴ・ソングでホッとさせてくれる曲でした。

◆今回和訳するにあたって調べたところ、ビリーのお母さんは"Rosalind"というんですね。この曲"Rosalinda's Eyes"は"ロザリンダ"で名前の末尾は"-de"ですので、1文字だけ足りない"ロザリンド"さんですね。はい、"ロザリンダの瞳"はビリーのお母さんに捧げた曲だったんです。こちらビリーとその母の写真が載ってるWebページですが…結構美人…(^^)/

Wikipediaで、ビリーの幼少の頃(Early Life)を見てみると、ビリーの父親の"ハワード"は、ドイツ生まれのクラッシック・ピアニスト。スイスからアメリカ合衆国に来て、そこでビリーの母親"ロザリンド"と出逢い結婚します。2人はニューヨークとヒックスビルに住みました。でもヨーロッパ生まれのハワードがヨーロッパに帰る(ウィーンへ)ときに離婚することになります(1957年;ビリーが8歳のとき)。

 ビリーが言うには、父のハワードは社交的ではなく、おとなしい性格であったのに対して、母のロザリンドは外交的で社会的だったそうです。ロザリンドにとっては突然シングルマザーになるのは相当大変だったことでしょう。この曲は母がビリーと妹のジュディを一人で育ててくれたことをビリーなりに誇ろうとした歌だということです。
それでは歌詞を見てみましょう。続きは後半にて…。


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Writer(s): Billy Joel 

Released in 1979
From The Album“52nd Street”

:原詞は太字


I play nights in the Spanish part of town
I've got music in my hands
The work is hard to find
But that don't get me down
Rosalinda understands

スペイン街で毎晩演奏するのさ
僕には音楽があるからね
仕事にありつくのは大変だけど
落ち込んだりはしない
ロザリンダがわかってくれるから

Crazy Latin dancing solo 
down in Herald Square
Oh Havana I've been 
searching for you everywhere
And though I'll never be there
I know what I would see there
I can always find my Cuban skies
In Rosalinda's eyes

情熱的なラテンダンサーがひとり
ヘラルド・スクエアで踊ってる
ああハバナ 何処にいても
きみの姿を探してるんだ
そこに僕が行くことはないだろうけど
そこに行けば何が見えるかはわかるんだ
キューバの空はいつだってある
ロザリンダの瞳のなかに

When she smiles 
she gives everything to me
When she's all alone she cries
And I'd do anything to take away her tears
Because they're Rosalinda's eyes

彼女は微笑むだけで
僕にすべてを与えてくれる
一人になると泣いている彼女
その涙をぬぐうためなら何だってするよ
だって涙は
ロザリンダの瞳に似合わないから

Senorita don't be lonely, 
I will soon be there
Oh Havana I've been searching 
for you everywhere
I've got a chance to make it
It's time for me to take it
I'll return before the fire dies
In Rosalinda's eyes

セニョリータ 淋しがらないで
僕がすぐに駈けつけるから
ああハバナ 何処にいても
きみの姿を探してる
ようやくその時がきたんだ
とうとう僕の番がやってきたのさ
早く戻るんだ ロザリンダの瞳から
愛の炎が消えないうちに

All alone in a Puerto Rican band
Union wages, wedding clothes
Hardly anyone has seen how good I am
But Rosalinda says she knows

プエルトリコのバンドに一人ぼっちの僕
組合で決まってる安給料だけど
結婚式のドレスを準備するんだ
僕の才能をほとんど誰もわかってくれないけど
ロザリンダはわかるって言ってくれる

Crazy Latin dancing solo down in Herald Square
Oh Havana I've been searching for you everywhere
And though I'll never be there
I know what I would see there
I can always find my Cuban skies
In Rosalinda's eyes 

情熱的なラテンダンサーがひとり
ヘラルド・スクエアで踊ってる
ああハバナよ 何処にいても
きみの姿を探してるんだ
僕が行くことはないだろうけど
そこで何が見えるかは目に浮かぶ
キューバの空はいつだってあるんだ
ロザリンダの瞳のなかに…

日本語訳 by 音時

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◆この曲の舞台は「ヘラルド・スクエア」(ニューヨーク市マンハッタン区の公園の名前)が出てくることから、ニューヨークと考えられます。そしてここのあたりの「スペイン街」で毎晩演奏する毎日。(それでも仕事にありつけないことが多かった)。このあたりの設定はもちろん架空でしょうね。

 でも主人公は自分の才能を信じてる。誰にも認められなくても、ロザリンダはわかってくれるから。よく彼が覗き込むのが、そんなロザリンダの瞳…。そこに彼は、ハバナ(キューバ)の青空を見るんです。

 2人はキューバ出身でニューヨークで生活しているという設定かな。でも"And though I'll never be there I know what I would see there"と歌っている(僕がそこに行くことはないけど、そこで何が見えるかは知っている)ので、キューバが故郷なのはロザリンダだけで、主人公はいつもロザリンダの故郷の話を聴くなかで、キューバの空がとても青くて大きい(たぶんそんなイメージ)なのはわかっている、っていうことじゃないかなと思います。

(そもそもここでなぜキューバが出てくるかというと、父ハワードは、ヨーロッパ(ウィーン)に戻る前に、アメリカからキューバに一度移り住んだから?のようです)

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◆"Rosalinda's Eyes"のSongfactsページには、次のように書かれていました。

 ロザリンダは息子(ビリー)にたいしてとても協力的で、ビリーの音楽への夢にも協力的だった。ビリーはそのことにとても感謝してる。ロザリンダは2014年の7月13日に92歳でこの世を去っている。この曲はビリーの父親のハワード(家族を離れてキューバに行った。その後はウィーンへ)がその妻であるロザリンダに宛てたメッセージという体を取っている。

 ビリーは、自分と妹を一人で育ててくれた母親に感謝しつつ、それでも自分のほとんど知らない父と母の間の愛情を考えてみた。二人がうまくいっていた時の物語を描きたくなったんじゃないかな…そう思いました。



◆「ロザリンダの瞳」デモその1。 この曲のデモ・テープがありました。ピアノで弾き語るビリー。サビの部分も"she's one…"など歌詞が違う。ラテン風の味付けと歌詞は後から付けたんですね。




◆「ロザリンダの瞳」デモその2。 "スペイン""ハバナ"などの歌詞となり、かなり完成に近くなっていますね。