やっぱり"Born To Run"(明日なき暴走)です。
「ロックンロールの未来を見た」
はその後マネージャーになるジョン・ランドウの言葉。
ブルースのキャッチフレーズとしてあまりにも有名です。

◆映画のなかでももちろん印象的な使われ方をしていて、僕は観ながら一緒に歌ってしまいました!(迷惑をおかけしました…でもソーシャル・ディスタンスで、席は一つ置き、前後左右に人もいなくてよかった)はい、何度だって観てみたいです。

 学校の放送委員会の放送ではデビー・ギブソンなどをかけているところ、放送室をジャック!
“Born To Run”を勝手にかけてしまう!このシーン、大好きです!
(映画「カセットテープ・ダイアリー」)



`Cause tramps like us, 
baby we were born to run 

"俺たちのような"tramps"は走るために生まれてきたんだ!

"tramps"=可算名詞
a 浮浪者,放浪者; 渡りこじき.
b《米俗》 浮気女; 売春婦.

Weblio辞書ではこんな風なひどい言われ方をしておりますが(^▽^;)、広義で「根なし草」、そして「拠り所をもたないふらふらしてる者」。
さらにはこの曲の場合でいうと「将来どんな方向に進めばいいか、まだわからない未熟な若者」という解釈ができるんじゃないでしょうか。


◆また歌詞の主人公の相手役の女子の名前は"ウェンディ"。この名前からは"ピーターパン"の物語を想い出しますね。
1970年代後半に生まれた言葉「ピーターパン症候群(シンドローム)"とは、大人の年齢に達しているにも関わらず、精神的に大人になれず仲間に入ることができない男性を指す言葉です。

俺はまだ青二才だけど、ウェンディとなら…=恋する経験をして悩み苦しみ歓び楽しんで、一人前になっていこうぜ!…ブルースはそう歌っているようにも思えます。



(09/20/78 - Capitol Theatre) 

asunaki

(Bruce Springsteen)

Released in 1975
US Billboard Hot100#23
From The Album"Born To Run"

:原詞は太字

In the day we sweat it out on the streets 
of a runaway American dream 
At night we ride through the mansions of glory 
in suicide machines 

Sprung from cages out on highway 9, 
Chrome wheeled, fuel injected, 
and steppin' out over the line Oh-oh

日中 俺たちは汗をかいて働いてる
暴走したアメリカの夢を追いかける街路でね
夜になると 金持ちの住宅地を駆け抜けるのさ
"自殺マシーン"に乗って

"鳥カゴ"を飛び出して 高速9号線へ
車輪はクロム加工 燃料はたっぷりで
道路なんて 飛び出していくんだよ oh-oh

Baby this town rips the bones from your back 
It's a death trap, it's a suicide rap 
We gotta get out while we're young 
`Cause tramps like us, 
baby we were born to run 

ベイビー この町は
おまえの背中から背骨をはぎ取るんだ
そいつは"死の落とし穴""自殺へ続く犯罪"さ
逃げ出すんだ まだ若いうちに
だって 俺たち"放浪者"
俺たち 走るために生まれたんだから

yes, girl we were

そうさ 俺たちは…

Wendy let me in I wanna be your friend 
I want to guard your dreams and visions 
Just wrap your legs 'round these velvet rims 
and strap your hands 'cross my engines 

ウェンディ 俺を受け入れてくれ 
おまえの男になりたい
おまえの夢や将来を守ってやりたいんだ
両脚をヴェルベットのリムに巻きつけて
両手を俺のエンジン全体にかけてくれよ

Together we could break this trap 
We'll run till we drop, 
baby we'll never go back Oh-oh

二人一緒ならこの罠を破れるはずさ
倒れるまで走るんだ
ベイビー 後戻りなんてしないぜ Oh-oh

Will you walk with me out on the wire 
`Cause baby I'm just a scared and lonely rider 
But I gotta know how it feels 
I want to know if love is wild 
Babe I want to know if love is real 

俺と一緒に 鉄線の上を渡ってくれないか?
だって 俺は怖がりの"孤独のライダー"
だけど どんな感じだか知らなきゃならない
知りたいのさ 愛ってヤツが強いものなのか
愛ってヤツが本物なのかをね

Oh, can you show me

ああ 見せてくれるかい

Beyond the Palace hemi-powered drones 
scream down the boulevard 
Girls comb their hair in rearview mirrors 
And the boys try to look so hard 

大邸宅の向こうじゃ
HEMIエンジン車がうなりを上げ
大きな音で大通りを揺るがせる
女たちはバックミラーで髪をとかし
男たちはみんな渋くカッコつけるんだ

The amusement park rises bold and stark 
Kids are huddled on the beach in a mist 
I wanna die with you Wendy on the street tonight 
In an everlasting kiss 

遊園地ははっきり見えるが閑散とし
子どもたちは霧のなか
海岸に身を寄せ集まってる
ウェンディ 俺は今夜
この街路でおまえと死んでもいい
永遠のキスをしたままで!

1-2-3-4!

The highway's jammed with broken heroes 
on a last chance power drive 
Everybody's out on the run tonight 
but there's no place left to hide

ハイウェイは混みあってる
夢破れた者たちが
最後のチャンスに走ろうとしてる
今夜は誰もが外に飛び出すが
どこにも隠れる場所は残っていない

Together Wendy we can live with the sadness 
I'll love you with all the madness in my soul 

ウェンディ おまえとなら一緒に
悲しみとともに生きていける
おまえを愛してやる 心から狂おしいほどに

Oh-oh, someday girl I don't know when 
we're gonna get to that place 
Where we really wanna go 
and we'll walk in the sun 
But till then tramps like us 
baby we were born to run 

ああ いつか いつの日かわからないが
俺たちはあの場所にたどり着く
いつになるかは約束できないが
お日様に照らされて堂々と歩いていくんだ
だからそのときまで 
俺たちのような根なし草は
走り続けていくんだよ

Oh honey, tramps like us
baby we were born to run 
Come on with me, tramps like us
baby we were born to run 

なあハニー 俺たち"さまよう若者達"は
走るために生まれてきたんだ
俺と一緒に来いよ 俺たちは
走るために生まれてきたんだから…!

Ru-uh-uh-un
Mm-mm-mm-mm
Uh-uh-uh-oh-oh-oh-oh
Ru-uh-uh-uh-un
Mm-mm-mm-mm
Whoa-oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh-oh-oh-oh
Ru-uh-uh-un 

(Words and Idioms)
runaway=暴走した、手に負えない
rap=罰、犯罪容疑、逮捕
tramps=浮浪者、路上生活者
rim=タイヤがはまってる外側のわっか部分
wrap=巻きつける
strap=~をむち打つ、~をがんじがらめにする
hemi-powered=ヘミエンジン搭載車=米国クライスラー社の車
(HEMIエンジンとは?)
https://carblo.net/hemi-engine
drone=ブンブンうなる
cf.cream the house down=家を揺るがすほどの悲鳴を上げる
rearview mirror=(自動車の)バックミラー
bold=際立った、〈がけなど〉険しい.
stark=荒涼とした、飾りのない、がらんとした
huddle=〔寒さや恐れなどから〕群れる、身を寄せ合う

日本語訳 by 音時

BornToRunB


◆和訳を終えて「Born To Run」の邦題"明日なき暴走"に敢えてツッコミを入れるのであれば、

"明日がない"なんて言っていない。確かに"いつになるかはわからない"が「俺たちは太陽のもと歩くんだ。それまで走り続けよう」と歌っているんですよね!
 僕には、"暴走"でもなく、太陽のある場所に"まっすぐの道"をひたすら進んでいくイメージだなあ。

最後に一言:バイクで暴走は危ない。命を大切に。例えならいいけれど、本当にバイクでバリバリ大きなエンジン音を立てるのは迷惑です…この曲は、自分勝手に振る舞っていいとは歌っていません!(^-^;。

◆古本屋さんで購入した「音楽専科」1975年11月号にブルースのニューアルバム(当時)「明日なき暴走」の広告や記事がいっぱい出ていました。3か所に出てるなんて、ブルース・スプリングスティーンの登場は当時のロック・洋楽界にとってのセンセーショナルな出来事だったんでしょうね!

▽ 1面使ってアルバム紹介(隣りのページはロギンズ&メッシーナ)

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▽7ページ使ってブルースの紹介。うち3ページは歌詞について取り上げてます。

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▽注目アルバムレビュー。「明日なき暴走」よりも先に大きく取り上げられているのは、ピンク・フロイド「炎」と「ジョージ・ハリスン帝国」。

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◆80年年代のブルースのライヴ映像を中心に編集された動画ですね。力強いボスがそこにいます。




◆2002年バルセロナでのライヴ。コンサートも後半。ブルースもヘトヘトになりながら力を振り絞って歌います。観客も最初から合唱!



◆こっちの動画の方が古いか。本当に1975年当時の映像。ハマースミス・オデオンのライブ。あっこの音源、当時FMで流してくれてカセットに録った気がする。映画の主人公ジャベドと同じだ。最初はカセットテープで聴いていたんだった…。