デビューアルバム「コールド・スプリング・ハーバー」が不発に終わったビリー。ロサンゼルスでピアノの弾き語りをして暮らしていました。ビリーは「キャプテン・ジャック」がラジオからヒットし始めたことをきっかけにCBSと契約。「ピアノ・マン」を発表します。そして「ストリート・セレナーデ」を経て、故郷のニューヨークでアルバムを作成。それがこの曲(New York State Of Mind)が収録されたのアルバム「ニューヨーク物語(Turnstiles)」です。

◆ビリーの故郷ニューヨークは当時不況にあえいでいました。公的機関も機能せず、町は汚れ、犯罪が増え、ドラッグの問題も出てきていました。ニューヨークは連邦政府に助けを求めましたが、当時の大統領フォードの回答は「くたばれ(Drop Dead)」というものでした…。

このニュースはビリーにニューヨークへ戻る決意をさせます。
「あり得ない、もしニューヨークが破滅するというのなら、僕はニューヨークへ戻る」。


◆この曲"ニューヨークの想い(New York State Of Mind)"についてはビリーは次のように言っています。

最初は自分以外の誰かに歌ってもらおうと思っていた。大きな、力強い、迫力のある、レイ・チャールズのような声で、ソウルフルに歌ってくれるのを想像してた。それと、なんといっても、また地元に戻ってこれて嬉しかったんだ。ニューヨークの街に戻ってきたことを祝う気持ちで、あの曲の一部はバスのなかで書いたんだ。ハドソン川沿いを北上するグレイハウンドの中でね。
(中略)あと、当時にニューヨークの雰囲気を少しでも良くしたいという願いを込めた部分もあった。ニューヨークにまた活気を取り戻したいと思ったんだ。

記事は後半に続きます。



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Songwriters BILLY JOEL
Lyrics c Universal Music Publishing Group

Released in1976
From The Album“Turnstiles”
(ニューヨーク物語)

:原詞は太字

Some folks like to get away
Take a holiday from the neighborhood
Hop a flight 
to Miami Beach or to Hollywood

But I'm takin' a Greyhound 
on the Hudson River line
I'm in a New York state of mind

近隣から逃げ出したくなる人たちもいる
みんな休暇を取るんだ 飛行機に飛び乗って
マイアミビーチやハリウッドへ行くのさ

でも僕は
グレイハウンド(バス)を選ぶ
ハドソン・リヴァー・ラインを走るんだ
僕はニューヨークにいたいのさ

I've seen all the movie stars
In their fancy cars and their limousines
Been high in the Rockys 
under the evergreens

I know what I'm needin'
And I don't want to waste more time
I'm in a New York state of mind

沢山の映画スターを見てきたよ
みんな派手な車やリムジンに乗っていた
ロッキーにだって登ったよ
いつだって緑に覆われた素敵な場所だった

でも今は自分に必要なことがわかったんだ
これ以上時間を無駄にはしたくない
...僕の心はニューヨークで溢れてる

It was so easy livin' day by day
Out of touch with the rhythm and blues
But now I need a little give and take

The New York Times
The Daily News…

気楽な その日暮らしをしていたんだ
リズム&ブルースとも離れた生活さ
でも今は"何かを捨てて 何かを得たい"
そんな気分になっている

「ニューヨーク・タイムズ」
「デイリー・ニュース」…

It comes down to reality
And it's fine with me 
cause I've let it slide
I don't care 
if it's Chinatown or on Riverside

I don't have any reasons
I left them all behind
I'm in a New York state of mind

そこには現実が待ち構えている
でも僕だったら大丈夫さ 
だって今まで避けてきたことだから...
どこだってかまいやしないのさ
チャイナタウン リバーサイドだって

理由なんてない
僕はみんな捨ててきたんだから
僕の心は…ニューヨークに魅かれてる

Oh yeah

It was so easy living day by day
Out of touch with the rhythm and blues
But now I need a little give and take

The New York Times,
The Daily News

気楽なその日暮らしをしてきたんだ
リズム&ブルースとも離れた生活をね
でも今は 何かを捨てて何かを得たい
そんな気分になっているんだ

ニューヨークで過ごす時間
毎日のニュース…

Who, oh, oh whoa who
ああ そう そうなんだよ

It comes down to reality
And it's fine with me 
cause I've let it slide
I don't care 
if it's Chinatown or on Riverside

I don't have any reasons
I left them all behind
I'm in a New York state of mind

現実が待ち構えているけれど
僕だったら問題ない  
だって これまでもやってきたんだから
チャイナタウンだって 
リバーサイドだって
どこだってかまわない

理由なんてものはない
僕はみんな捨ててきた
僕の心は…ニューヨークにある…

I'm just taking a Greyhound 
on the Hudson River line
'Cause I'm in a, 

I'm in a New York state of mind

いま僕はグレイハウンドに乗って
ハドソン川沿いを走ってる
だって僕は…僕の心は ...

ニューヨークとともにあるんだよ...


(Words and Idioms)
hop on a flight =飛行機に飛び乗る
fancy=装飾の多い、派手な

日本語訳 by 音時

NYBILLY


◆「ニューヨーク」の歌と聞くとどちらかというと田舎から出てきて"ここは自分の故郷じゃない"という歌がありますよね。ジム・クロウチ"New York's Not My Home"やフォリナー「"Long Long Way From Home"」などがそうです。でもビリーの場合は自分の故郷の歌。ニューヨークから離れた場所にいても、心はニューヨークにある。ましてやこの曲はロスからニューヨークに帰ってきて作った曲です。都会に住む人はたまには喧騒から離れて避暑地へ行くのに、僕はハドソン川沿いを走るグレイハウンドに乗ると落ち着くのさ…。"ああやっぱりニューヨークなんだ"ってね…。

"state of mind"は"気持ち、気分、心理状態、精神状態"のこと。"I'm in a New York state of mind"を訳すのに気を付けたかったのは、"ニューヨーク「への」想い"ではないってこと。ニューヨークの「外」にいて思っているのではなく、「中」にある、もしくは「一体となってる」ってこと。

落ち込んでいて活気を取り戻したいと思ってるニューヨーク。僕はそのニューヨークと同じなんだ。"今に見てろ、復活してやる!"って思いも込められているのではないかと思います。



◆こちらはアルバム「ニューヨーク物語」からスタジオバージョン。



◆Billy Joel & David Sanborn (1988 New York State of Mind)



この記事はこちらのページを参考にしました。
Behind The Songs :Billy Joel "New York State Of Mind"