アルバム「孤独なランナー(Running On Empty)」もこの曲が締めくくり…。
オープニング1曲目がご存じ"Running On Empty"。そしてラストがこの"Load Out~Stay"のメドレーで、聴者はライブのフィナーレを一緒に体験できる仕掛けになっています。

◆アルバム(CD)の曲目は以下の通り。

-1."Running on Empty" (Browne)
-2."The Road" (Danny O'Keefe)
-3."Rosie" (Browne, Donald Miller)
-4."You Love the Thunder" (Browne)
-5."Cocaine" (Reverend Gary Davis, additional lyrics by Browne and Glenn Frey)

-6."Shaky Town" (Danny Kortchmar)
-7."Love Needs a Heart" (Browne, Valerie Carter, Lowell George)
-8."Nothing but Time" (Browne, Howard Burke)
-9."The Load-Out" (Browne, Bryan Garofalo)
10."Stay" (Maurice Williams)



A面では、表題曲はもちろん、3曲めの"Rosie"がコーラスが見事で好きでした。ラスト曲"Cocaine"は"コカインなんてヤバイ話も歌にしちゃうんだ。やっぱり洋楽ってスゴイな…"って子どものときは思いました(^▽^;)。

B面は"Shaky Town"から始まり、2曲目(CDだと7曲目)の"Love Needs A Heart"。この曲も最高です!そして締めくくりが"The Load Out"。僕は当初は2曲目に"The Road"という曲があるので、その"Out"…リプライズ曲なのかな?と思いましたが、原題は"R"ではなく"L"の"Load"。そうか"積み荷"のことなのか。そして"The Load Out"=荷物を運び出すこと、ステージの"ローディー"達への感謝の思いの歌なんだって知りました。

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◆僕の和訳で、
そして今 ケースを転がして片付け
アンプを持ちあげて運ぶ
ステージの骨組(トラス)を引っ張り降ろし
ステージの通路(ランプ)を持ちあげる…
"トラス"ってのはステージの骨組みですね。

またrampというのは"Stage ramp"って写真を見ると、そう、ライヴでアーチストが通る通路なのかなと思います。一段高くなっているメインステージに昇ったりする通路はこんな感じかなと思います。
有限会社ステージプランニングさんサイトをご参照

そして彼らはジャクソンのステージセットの組み立てと撤収、そして次の町のステージまでの移動にかけちゃ"チャンピオン(champs)"なんです。

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 そのようにローディー達に感謝するとともに、観客への想いも歌われます。


People you've got the power over what we do
You can sit there and wait
Or you can pull us through
Come along,
sing the song
You know you can't go wrong

 
の部分は演奏も、ジャクソンの歌声も一段と力が入り、この部分が歌われるのを聞くと、僕は気分がかなり高揚します!ジャクソン・ブラウンのライヴでこの瞬間、いいですね~!

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◆そして・・・アンコールって感じで"People Stay…!"。これもいいんだよなあ( ^^) /。

最初にジャクソン、そのあと女性ボーカルはRosemary Butler。そのあと、ちょっとユニークな声で歌うのが David Lindley 。これも和やかな雰囲気で気に入ってます。


さあ、One More Song!

…"Stay"のシングルカットは、"The Load Out"はなく、"Stay"から始まるバージョンでした。B面は"Rosie"。全米20位まで上がりました。


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Writer(s)
"The Load Out"(Jackson Browne&Bryan Garofalo)
"Stay" (Maurice Williams)

Released in 1978
US Billboard Hot100#20
From The Album"Running On Empty"


:原詞は太字

Now the seats are all empty
Let the roadies take the stage
Pack it up and tear it down


もう客席はみんな空っぽになった
ローディー達に片付けは任せよう
荷造りしたり セットを壊したり

They're the first to come
and last to leave
Working for that minimum wage
They'll set it up in another town


彼らは一番最初に来て
帰るときは一番最後なんだ
最低賃金を得るために働いて
また別な町でも
ステージをセットしてくれる

Tonight the people were so fine
They waited there in line
And when they got up on their feet
they made the show
And that was sweet--


今夜の観客はとても素晴らしかった
列になって待っててくれて
みんな立ち上がって
ショーを盛り上げてくれた
それは素敵だった…

But I can hear the sound
Of slamming doors and folding chairs
And that's a sound they'll never know


でも僕には聞こえるんだ
ドアを閉めて イスをたたむ音がね
それは観客は聞こえるはずのない音さ

Now roll them cases out
and lift them amps
Haul them trusses down
and get'em up them ramps
'Cause when it comes to moving me
You know guys are the champs
But when that last guitar's been packed away
You know that I still want to play
So just make sure you got it all set to go
Before you come for my piano


そして今 ケースを転がして片付け
アンプを持ちあげて運ぶ
ステージの骨組(トラス)を引っ張り降ろし
ステージの通路(ランプ)を持ちあげる
僕のステージの荷物の移動となれば
彼らの右に出る者はいない
最後のギターが荷造りされると
僕はまだ弾きたくなってしまうのさ
だからもう運び出す準備ができたか
確かめてくれないか
僕の弾いてるピアノを運び出す前に

But the band's on the bus
And they're waiting to go
We've got to drive all night
and do a show in Chicago
or Detroit, I don't know
We do so many shows in a row
And these towns all look the same


でもバンドの連中はバスのなか
出発するのを待ってるんだ
夜通しドライブしなくちゃならないし
シカゴでショーが待ってる
いやデトロイトだったかな
どうだったっけ?
連日で沢山のステージをこなすんだ
どの町も同じに見えてしまう…

We just pass the time in our hotel rooms
And wander 'round backstage
Till those lights come up
and we hear that crowd
And we remember why we came


僕らはホテルの部屋でただ時間を過ごし
バックステージ周辺をうろうろするんだ
でも照明はともり
観客の音が聞こえてくると
僕らがなぜここに来たのかを思い出すのさ

Now we got country and western on the bus
R&B, we got disco in eight tracks
and cassettes in stereo
We've got rural scenes & magazines
We've got truckers on the CB
We've got Richard Pryor on the video


さて僕らはバスのなかで
カントリー&ウエスタンを聴いたり
R&Bやディスコミュージックも
8トラックやカセット
みんなステレオで聴けるんだ
田舎の風景や雑誌を愉しんだり
市民ラジオで
トラック野郎の交信を聞いたり
リチャード・プライヤーのビデオを見たり

We got time to think of the ones we love
While the miles roll away
But the only time that seems too short
Is the time that we get to play

心に想う人のことを考えることもあるよ
何マイルも車を転がしてるとね
でも時間が短く感じるのは
演奏しているときだけなんだ

People you've got the power over what we do
You can sit there and wait
Or you can pull us through
Come along,
sing the song
You know you can't go wrong


ライヴに来てくれたみんな
みんなは僕ら以上のパワーを持ってる
おとなしく座って待っててもいいし
僕らを盛り上げることもできるんだ
さあおいでよ
そして一緒に歌おう
みんなが間違うはずないんだよ

'Cause when that morning sun
comes beating down
You're going to wake up in your town
But we'll be scheduled to appear
A thousand miles away from here

だって朝日が照り付けてくる頃には
みんなは自分の町で目を覚ますけど
僕らにはステージが予定されてるんだ
ここから1000マイルも離れた場所でね…



…People stay
just a little bit longer
We want to play
just a little bit longer


…ねえみんな
もう少しいてもらえないかな
僕らは演奏したいんだ
もう少しだけ…

Now the promoter don't mind
And the union don't mind
If we take a little time
And we leave it all behind and sing
One more song


うんプロモーターは気にしないよ
労働組合だって大丈夫だよ
少しくらいの時間なら
そんなもん気にせずに歌おうよ
さあもう一曲…!

I want you stay
just a little bit longer
Please Please Please say you will
Say you will

アタシからもお願い
もう少しいてちょうだい
お願いだからどうか
いいよって言ってちょうだいな

Oh won't you stay
just a little bit longer
Oh please please stay 
just a little bit longer


ああ 僕からも頼むよ
もう少しだけいておくれ
ああ お願いさ ここにいてよ
もうちょっとだけでも

Now the promoter don't mind
And the union don't mind
If we take a little time
And we leave it all behind and sing
One more song


うんプロモーターは気にしないよ
ユニオンだって大丈夫だよ
少しくらいの時間なら
そんなもん気にせずに歌おうよ
さあもう一曲…!


(Words and Idioms)
haul=引っ張る 強く引く
truss=(建築)(屋根・橋などの)トラス,けた構え
ramps=斜路 昇降台
when it comes to =話が…ということになると
in a row=連続的に
rural =田舎の
CB=citizens' band=市民ラジオ
個人が比較的簡素に使用できる短距離通信用無線。多くの国が27MHz帯で運用している。
Richard Pryor=米国のコメディアン
to be scheduled to=ことになっている

日本語訳 by 音時

Stay Rosie


さあ、「Running On Empty」アルバム丸ごとお付き合いいただき、ありがとうございました!
・ライブレコードじゃないけれど…ライブレコードの感覚を味わえる!
・しかもすべて新曲!
・ライブツアーの「ミュージシャンの気持ち」がリアルにわかる。
・そして…ライブに欠かせないのは、ステージを組み立て解体する、音楽・照明等々、バックで支えてくれる裏方の皆さん、そして聴衆(オーディエンス)たち!
こうした皆さんへの感謝もこのアルバムには収められているんですよね。

ジャクソン・ブラウンが売れ筋ポップ路線に走った、などと評する人たちや、ジャクソンは「Late For The Skyで終わった」という往年のファンの方もいらっしゃいますが、「Running On Empty」はこうした趣旨のアルバムとしては比べられるものはないと思いますし、それに挑戦したジャクソンと周りの方たち、やっぱりすごいです。

 このアルバム全曲和訳の特集で、そのあたりが少しでも見て・聴いていただいた方に伝わると嬉しいです…!最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!<m(__)m>





◆こちらは2011年のライヴから"The Load Out~Stay"。Live at Centennial Concert Hall Winnipeg。

 

◆Jackson Browne - The Load-Out / Stay (Live on 2 Meter Sessions)