ドナの初のNo1ヒット"マッカーサー・パーク"。毎週の「全米トップ40」のラジオ番組を聞いていても、ディスコ曲はキライだった僕ですが、この曲はカッコよかったし、ドナのボーカルもタダモノではない凄さを持っていて、1位になるのも当然だよな、と納得していました。

◆ チャート解説のときに坂井アナウンサーがオリジナルは60年代にヒットしていたことを確か話していた記憶があります。改めて確認すると、作者はジミー・ウェッブで、ミュージシャンはリチャード・ハリス。1968年6月に最高位2位(1週間)を記録しています。

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 タイトルにもなっている"MacArthur Park"は、日本でも有名な「マッカーサー元帥」の名前がついた公園で、場所はロサンゼルス。大きな湖(池?)と隣接している公園で、1880年代には"Westlake Park"という名称でしたが、第2次世界大戦の終戦を機に、マッカーサー元帥のモニュメントが作られて、"マッカーサー・パーク"という名称になったようですね。

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Writer(s): Jimmy Webb

Released in 1978
US Billboard Hot100#1
From The Album“Live And More”

:原詞の引用は太字

Spring was never waiting for us dear
It ran one step ahead
As we followed in the dance

春は私たちを待ってはくれず
私たちの一歩前を走ってた
ダンスしながら私たちは追いかけてたの...

Between the parted pages and were pressed
In love's hot, fevered iron
Like a striped pair of pants

分かれたページの間に私たちは押し付けられた
愛の 熱く熱されたアイロンで
まるでストライプのズボンのように...

MacArthur's Park is melting in the dark
All the sweet, green icing flowing down
Someone left the cake out in the rain
I don't think that I can take it
'cause it took so long to bake it
And I'll never have that recipe again
Oh, nooooo

マッカーサー・パークは闇に溶け込んでいた
優しい緑色の氷のような風が吹き降ろす
雨のなか誰かが忘れたケーキが置かれてる
そのケーキ  私は食べたくはないわ
だって焼くのにはとても時間がかかるから
作り方のレシピは二度と手に入ることもない
ああ なんてこと...

I recall the yellow cotton dress
Foaming like a wave
On the ground beneath your knees
The birds like tender babies in your hands
And the old men playing
chinese checkers by the trees


想い出す 黄色の綿のドレスを
すそが波のようになっていた
地面のうえ あなたのヒザの下あたり
あなたの手のなかには
可愛い赤ちゃんのような鳥たちがいて
お年寄りたちは木のそばで
ダイヤモンドゲームをやっていた

MacArthur's Park is melting in the dark
All the sweet green icing flowing down
Someone left the cake out in the rain
I don't think that I can take it
'Cause it took so long to bake it
And I'll never have that recipe again
Oh, nooooo

マッカーサー・パークは闇に溶け込み
すっかりと優しい緑色の氷のような風が吹き
雨のなか誰かが忘れたケーキが置かれてる
でも私はそのケーキを食べたくはない
焼くのにはとても時間がかかるし
作り方のレシピは二度と手に入らないの
ああ なんてこと...

[Instrumental Interlude]

There will be another song for me
For I will sing it
There will be another dream for me
Someone will bring it

私には他の歌があるのよ
だから私は歌を歌う
私には他の夢があるのよ
誰かが持ってきてくれるのよ

I will drink the wine while it is warm
And never let you catch me looking at the sun
And after all the loves of my life
After all the loves of my life
You'll still be the one.


ワインを飲むの まだ温かいうちに
あなたには私をつかまえさせない
私が太陽を見ているときに
私の人生をかけた愛
私の人生をかけた愛を通じて
あなたはずっと特別なひと

I will take my life into my hands
and I will use it
I will win the worship in their eyes
and I will lose it


私はこの両手に人生をつかむのよ
そして自分の人生を歩んでいくの
私はみんなの瞳のなかに敬愛を勝ち取るわ
そしてそれは失うことになる...

I will have the things that I desire
And my passion flow like rivers through the sky.
And after all the loves of my life
After all the loves of my life
You'll still be the one.
And I left myself why.


私は自分が欲しいものを手にするの
そして私の情熱は流れ出す
空へと続く川のように
私の人生をかけた愛
私の人生をかけた愛を通じて
あなたはただ一人の大切なひと
なぜだかわからないまま…

MacArthur's Park is melting in the dark
All the sweet green icing flowing down
Someone left my cake out in the rain
I don't think that I can take it
'Cause it took so long to make it
And I'll never have that recipe again
Oh, nooooo


マッカーサー・パークは闇に溶け込み
すっかりと優しい緑色の氷のような風が吹き
雨のなか誰かが忘れたケーキが置かれてる
でも そのケーキを私は食べたくない
ケーキを焼くのにはとても時間がかかるのよ
そして作り方のレシピは二度と手に入らない
ああ なんてこと...

(Words and Idioms)
Chinese checkers=ダイヤモンドゲーム
worship=
《宗教》〔神に対する〕崇拝、賛美
《宗教》〔儀式としての〕礼拝、祈り
〔人や思想などに対する〕敬愛、崇敬

日本語訳 by 音時

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◆さて、この曲「歌詞が難解」ということでも有名なようです。確かに脈絡なくケーキや黄色のドレス、チャイニーズ・チェッカーなども歌詞に登場してきます(チャイニーズ・チェッカーは"ダイヤモンド・ゲーム"のことのようですね。これよくやったなあ。相手のコマの上を、ぴょん、ぴょん、ぴょん…とジャンプして先に進めるんですよね)

なかでもとくに有名な歌詞の部分が、"cake out in the rain"。この部分については作者ジミー・ウェブ"は「Qマガジン」の取材に応えて次のように言っています。

"これははっきりと言えば「愛の終焉」についての歌だ。この歌を歌う人は"the cake and the rain"を何かの比喩表現じゃないかと言うけどそれでいんだよ。そう大きな違いはないさ。理解は難しいよ。でも僕がこの曲を書いた1960年代の後半では、超現実的な(シュールレアリスティック)歌詞が求められていたからね。

また、さらに以下のような解説がありました。

"恋の出来事"ということでジミー・ウェブが話したのはスーザン・ロンシュタッド(リンダ・ロンシュタッドのいとこ)のことである。Los Angels Timesによると、ジミーはこう言った。"マッカーサー・パークは僕らが、ランチやペダルボートを乗ったり、アヒルにエサをやったりして会っていた場所なんだ。彼女は通りを渡った生命保険会社に勤めていたんだ。この歌詞は僕にとってとてもリアルなんんだよ。幻覚的(サイケデリック)なものなんか何もない。"The cake"...これは便利なものさ。公園のなかで誕生パーティーをやっているのを見たんだ。でも人々はこの歌についてとても激しい反応があったよ。それは知的な毒に侵されてるんじゃないかと思ったよ。

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◆歌詞の物語はどうやらジミー・ウエッブ自らの体験(リンダ・ロンシュタッドのいとこの女性スーザンと!)のようですね。"マッカーサー・パーク"が歌詞で出てくる前の出だしの部分も"愛の終焉"を歌っているようです。

"春は私たちの一歩先を歩き待ってはくれなかった"…
"分かれたページに愛のアイロンで押さえつけられた私たち"...
デートを重ねた想い出の場所=マッカーサー・パーク。

そして

"誰かが雨のなか置いていったケーキ"...
数時間前まで公園で楽しい誕生日パーティーが開かれていたのでしょうか。
雨のなか置き去りにされていたケーキ(=幸せ)という解釈しました。
"ケーキ(幸せ)は焼くのに時間がかかる"、そしてその"レシピは2度とない"=同じ恋は二度とできない、ってことなんでしょうかね。

そして後半は、ジミー・ウエッブ(リチャード・ハリス)、そしてドナは愛を失っても"私には歌がある"と立ち直ろうとします。でも歌うなかでもこのことは忘れられないようです…あなたより素敵なひとはいなかった。なぜだかわからないまま…。

◆"マッカーサー・パーク"はドナのアルバム「Live and More」に収録されました。このアルバムは2枚組のベスト&ライヴでその2枚目のウラ(D面)のラストに"組曲"として聴くことができます。組曲のオープニングが8分以上あるバージョン。そして組曲のラストは"Heaven Knows"からメドレーで"マッカーサー・パーク"の"リプライズ"を聞けますね。シングルには「There will be another song for me...」以降の歌詞がカットされた3分59秒のバージョンが作られました。

◆“マッカーサー・パーク”が1位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles Week Ending 11th November, 1978

アン・マレー「辛い別れ」に代わって1位に。フォリナー、アンブロージャ好きだったなあ。7位のケニーはスティーヴィー・ニックスとのデュエットです。

-1 2 MacARTHUR PARK –•– Donna Summer
-2 1 YOU NEEDED ME –•– Anne Murray
-3 4 DOUBLE VISION –•– Foreigner
-4 8 HOW MUCH I FEEL –•– Ambrosia
-5 6 HOT CHILD IN THE CITY –•– Nick Gilder

-6 7 KISS YOU ALL OVER –•– Exile
-7 5 WHENEVER I CALL YOU “FRIEND” –•– Kenny Loggins
-8 9 BEAST OF BURDEN –•– Rolling Stones
-9 10 GET OFF –•– Foxy
10 16 I JUST WANNA STOP –•– Gino Vannelli



◆ドナのライヴで歌う"MacArthur Park"



◆"MacArthur Park"で始まるドナのショー。これは圧巻。



◆リチャード・ハリスの"MacArthur Park