来週、いよいよU2の13年振り来日公演、名盤「The Joshua Tree」の完全再現ライヴ!ですね。


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僕は抽選にもハズれ行けませんが、参戦される方はぜひ楽しんできてください。
Youtubeなどで見る大スクリーン、すごい迫力なんだろうなあ。


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◆さて、自分が行くのであれば、きっとアルバム全曲を何としても事前に自力で和訳にとりくんだろうと思うのですが、行かないとなると力はやっぱり入りませんでした。でもやっぱりこの曲"With Or Without You"だけはやらんといけません(勝手な使命感ですね)。解釈が難しく、これまで和訳を避けていた名曲ですし、僕にとってはちょっぴりホロ苦い想い出もあって...(^▽^;)。

◆"With Or Without You"...このタイトル(歌詞)は日本語にすると「きみがいても きみがいなくても」と、色々な物語が浮かんでくるような想像力をかきたてます。様々な解釈がされてきました。

アイルランド出身の彼らにとって、カトリックとプロテスタントという2つのキリスト教に挟まれた禁断の愛という説...ずっとこんな意味なんだろうと思ってきました。また、"You"はキリスト自身を指す、という解釈にも会ったことがあります。

でも、この曲のウィキペディアでは、こんな風に書かれています。ボノが発言していることなので真実はこういうことなのでしょう。


歌詞は、ボノが1986年にコート・ダジュールを訪れた時に書いたもので、その意味については諸説あった。しかし、本人は「U2 By U2」において、ロックスターの生活と普通の家庭生活の板挟みになって悩んでいた、当時の心境を綴ったとのこと。この際、ボノの念頭にあった典型的なロックスターの生活とは、ザ・ポーグスのヴォーカル・シェイン・マガウアンだった。だが、歌詞を書きながらボノはこの2つの生活の間の緊張を生きることこそが、アーチスト的な人生だと悟ったという。


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Writer/s: Adam Clayton, Dave Evans, Larry Mullen, Paul David Hewson
Publisher: Universal Music Publishing Group

Released in 1987
US Billboard Hot100#1
From The Album“The Joshua Tree”

:原詞の引用は太字

See the stone set in your eyes
See the thorn twist in your side
I wait for you


おまえの瞳に埋め込まれた石を見てみろ
おまえに絡みつくいばらを見てみろ
俺はおまえを待つ

Sleight of hand and twist of fate
On a bed of nails she makes me wait
And I wait, without you


手品 そして運命のいたずら
針のむしろにされて 彼女は俺を待たせるんだ
そして俺は待つ おまえなしで

With or without you
With or without you


おまえがいても いなくても
おまえがいても いなくても

Through the storm we reach the shore
You give it all but I want more
And I'm waiting for you


嵐を越えて 俺たちは岸辺にたどり着く
おまえはすべてをくれるけど 俺は満たされない
そして 俺はおまえを待っている

With or without you
With or without you
I can't live
With or without you


おまえがいても いなくても
おまえがいても いなくても
俺は生きてはいけない
おまえがいても いなくても

And you give yourself away
And you give yourself away
And you give
And you give
And you give yourself away

そしておまえは本音を吐く
そしておまえは姿を現す
そしておまえは
そしておまえは
そしておまえは自分をさらけ出すんだ

My hands are tied
My body bruised, she's got me with
Nothing to win and
Nothing left to lose


俺の両手は縛られて
俺の身体は傷だらけで
彼女は俺を自分のものにする
何も勝ち取るものもなく
何もなくすものもないのさ

And you give yourself away
And you give yourself away
And you give
And you give
And you give yourself away


そしておまえは本音を吐く
そしておまえは姿を現す
そしておまえは
そしておまえは
そしておまえは自分をさらけ出す

With or without you
With or without you
I can't live
With or without you
Oh
With or without you
With or without you
I can't live
With or without you

おまえがいても いなくても
おまえがいても いなくても
俺は生きてはいけない
おまえがいても いなくても

With or without you

おまえがいても いなくても

(Words and Idioms)
thorn=草木のとげ、はり
sleight of hand=手先の早わざ,手品
bed of nails=針のむしろ
give oneself away=尻尾を出す、、本音を吐く、化けの皮がはがれる
bruised=傷ついた、あざのできた

日本語訳 by 音時

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◆歌詞に出てくる"I"と"You"はボノ自身=ロックスターであろうとする自分のことで、"彼女"が"妻"というか"普通の家庭生活"という意味であるように思いました...。

自分と、自分でない自分を感じる。でもそのどちらも自分自身。どちらかしかないのであれば自分は生きてはいけないのだろう...そんな解釈をしました。

◆「The Joshua Tree」の後にリリースされたライヴ映画「Rattle and Hum」(魂の叫び)で歌われるこの曲には歌詞が付け加えられています。

We'll shine like stars in the summer night
We'll shine like stars in the winter night
One heart, One hope, One love...
With or Without You

俺たちは夏の夜に  星たちのように輝くだろう
俺たちは冬の夜にも星たちのように輝くだろう
ひとつの心
ひとつの希望
ひとつの愛...
おまえがいても おまえがいなくても

"With Or Without You"という作品のなかに入れ込むことができなかった、この曲についてのボノとメンバーたちの今後の決意のようなものを感じます。

◆最後に、ちょっと文句...!( `ー´)ノ

宮部みゆきさん原作の長編小説「ソロモンの偽証」、小説でも読んでいてその映画化はとても期待してました。映画も前編・後編と分かれましたが、その両方とも楽しみにしてほぼ封切りとともに観に行きました。

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小説にはなかった主人公の藤野涼子の「現在」についても納得で、とてもいい映画で満足だったのですが...最後にえぇっ(゚Д゚)ノと仰天!なんでラストにこの曲が..."ち、違うだろ...!"と思いました。U2、そしてこの曲に思い入れがある人はあまりにそぐわないこの選曲に憤ったことでしょう。テレビや映画でのストーリーの展開などに納得できないひとが抗議をする、なんて自分には縁のないことと思ってましたが、そういう風に抗議する人の気持ちがとてもよく分かった気がします(実際の抗議には至りませんでしたが)。「ソロモンの偽証」と"With Or Without You"の両方の作品の世界を壊してしまってます...。


◆「Rattle and Hum」での"With Or Without You".