ジム・スタインマン(ソングライター)の作品はドラマチックに盛り上げますね。

 ボニー・タイラーの「Faster Than The Speed Of The Night」...このアルバムは一時期よく聞きました。ジャケットが忘れられないですよね。空中に浮かぶボニーの顔(黒い服を着てるのでそう見える)になぜか耳から光線が出てる(へんな)ジャケット。でも確か買って持ってたのではなくレンタルレコード「You&愛」で借りてテープに録って...でしたね。


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  CCRの「Have You Ever Seen The Rain(雨をみたかい)」から始まり、「愛の翳り」が入って、ラストはBryan Adamsの「Straight From The Heart」で終わる。(でも、僕は表題曲の「Faster Than The Speed Of The Night」とこの3曲だけ録音して、あとは聞かなかったような気も…これはアルバムで聴いたとは言えないですね...ゴメンナサイ)

◆タイトルにある単語「Ecipse」は「蝕」のことです。

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漫画「ベルセルク」では「蝕」といえば大変な出来事です。かつてはピンク・フロイド(Album「Dark Side Of The Moon」の中の1曲)、2000年代ではアーネルをボーカルに迎えたジャーニーのアルバムタイトルにも使われてますが、曲のタイトルで使われることはまずないだろうという単語です。 
 ”partial eclipse”は“部分蝕”、そして“total eclipse”は“完全蝕”=“皆既蝕”ということです。“total eclipse of The Heart”は“心の皆既蝕”。心(heart)を太陽とすれば、普段の自分の心の「明るい部分」を自分自身の影による「暗い部分」がすべて覆い隠してしまった状態、ということで、「詩的」な言葉ですね~。さすがジム・スタインマン。

「皆既日蝕」ですから、
・本当に何年かに一度のまれに起こる
・起こるのは数分だけ、いずれは太陽が顔を出す etc...

「心の皆既日蝕」ということを考えると、まだいろんなことが想像できますね。
「蝕」は訓読みは「蝕(むしば)む」で、虫に食われたように少しずつ侵食されていく状態とも言えます...。


FasterBonnie


Songwriters: JIM STEINMAN

Released in 1983
US Billboard Hot100#1(4)
From The Album
“Faster Than the Speed of Night”

:原詞は太字

(Turn around)
Every now and then
I get a little bit lonely
and you're never coming round

 (Turn around)
Every now and then
I get a little bit tired
of listening to the sound of my tears

 (Turn around)
Every now and then
I get a little bit nervous
that the best of all the years
have gone by

 (Turn around)
Every now and then
 I get a little bit terrified
and then I see the look in your eyes


(振り向いてごらん)
時々 私は少し淋しくなる
でもあなたが来ることはない

(振り向いてごらん)
時々 私は少し嫌気がさす
自分の涙の落ちる音を聞くのに

(振り向いてちょうだい)
時々 私は少し不安になる
最良の時が過ぎてしまったのではと

(振り向いてちょうだい)
時々 私は少し怯えてしまう
そしてあなたの瞳を覗き込むのよ

(Turn around, bright eyes)
Every now and then I fall apart
(Turn around, bright eyes)
 Every now and then I fall apart


(振り向いて 茶色い瞳)
時々 私はだめになっていく
(振り向いて 茶色い瞳)
時々 私の心は自ら離れていく

(Turn around)
Every now and then
I get a little bit restless
and I dream of something wild

(Turn around)
Every now and then I get a little bit helpless
and I'm lying like a child in your arms

(Turn around) 
Every now and then
I get a little bit angry
and I know I've got to get out and cry

(Turn around)
Every now and then
I get a little bit terrified
but then I see the look in your eyes

(振り向いてごらん)
時々私は少し落ち着かなくなる
なにか野性的な夢を見るのよ

(振り向いてごらん)
時々私は少し救われない気持ちになる
あなたの腕の中で子どものように横たわる

(振り向いてちょうだい)
時々 私は少し怒りを覚える
表に出て叫ばないとやってられないの

(振り向いてちょうだい)
時々 私は少し怯えてしまう
だからあなたの瞳を覗き込むのよ

(Turn around, bright eyes)
Every now and then I fall apart
(Turn around, bright eyes)
 Every now and then I fall apart


(振り向いて 茶色い瞳)
時々 私はだめになっていく
(振り向いて 茶色い瞳)
時々 私は自ら離れていく

And I need you now tonight
and I need you more than ever
And if you only hold me tight
We'll be holding on forever


今夜あなたが必要なの
いつもよりずっといてほしいの
ぎゅっと抱きしめてくれるだけで
永遠にあなたと一緒にいられるわ

And we'll only be making it right
'cause we'll never be wrong
Together we can take it
to the end of the line
Your love is like a shadow on me
all of the time (all of the time)


私たち上手くやっていける
だって今まで決して
間違ったことはしてこなかったから
私たち一緒に最後までやっていける
あなたの愛が影のように
私に覆いかぶさってくる
いつもいつも(いつもいつも)

I don't know what to do
and I'm always in the dark
We're living in a powder keg
and giving off sparks
I really need you tonight,
forever's gonna start tonight
Forever's gonna start tonight


どうしたらいいのかしら
私はいつも暗闇のなかにいる
危険な状態にあって火花が散ってるわ
今夜あなたが本当に必要なの
今夜 永遠が始まるの
今夜から永遠が始まるのよ

Once upon a time
I was falling in love,
but now I'm only falling apart
There's nothing I can do...
a total eclipse of the heart

Once upon a time
there was light in my life,
but now there's only love in the dark
Nothing I can say...
a total eclipse of the heart


あるとき私は恋に落ちたの
でも今は私の心は離れていく
私には何もできないわ
心が闇に
すっかり蝕(むしば)まれてしまったの

あるとき私の人生の光を感じたわ
でも今は愛は暗闇のなかに
私には何も言えることがない
心が闇にすっかり
蝕まれてしまったのよ...

(Turnaround)
Every now and then I know
you'll never be the boy
you always you wanted to be

(Turnaround)
Every now and then I know
you'll always be the only boy
who wanted me the way that I am

(Turnaround)
Every now and then I know
there's no one
in the universe as magical
and wonderous as you

(Turnaround)
Every now and then I know
there's nothing any better
and there's nothing I just wouldn't do

(振り向いてごらん)
時々私は思う あなたはいつも
子どもでいたいと願うけど
そうはなれないの

(振り向いてごらん)
時々私は思う あなたはただの少年なの
私にも子どものようにいてほしいと
願うような

(振り向いてちょうだい)
時々私は思う この宇宙のなかで
こんなに魔法のように不思議な人は
あなたしかいないと

(振り向いてちょうだい)
時々私は思う 
これ以上良いことはない
でも私が何もできないと
いうことはないと

(Turn around bright eyes)
Every now and then I fall apart
(Turn around bright eyes)
Every now and then I fall apart


(振り向いて 茶色い瞳)
時々 私はだめになっていく
(振り向いて 茶色い瞳)
時々 私の心は自ら離れていく

And I need you now tonight
And I need you more than ever
And if you'll only hold me tight
We'll be holding on forever
And we'll only be making it right
Cause we'll never be wrong together
We can take it to the end of the line
Your love is like a shadow on me
all of the time (all of the time)


今夜あなたが必要なの
いつもよりずっといてほしいの
ぎゅっと抱きしめてくれるだけで
永遠にあなたと一緒にいられるわ
私たち上手くやっていける
だって今まで決して
間違ったことはしてこなかったから
私たち一緒に最後までやっていける
あなたの愛が影のように
私に覆いかぶさってくる
いつもいつも(いつもいつも)

I don't know what to do,
I'm always in the dark
We're living in a powder keg
and giving off sparks
I really need you tonight
Forever's gonna start tonight
Forever's gonna start tonight


どうしたらいいのかしら
私はいつも暗闇のなかにいる
危険な状態にあって火花が散ってるわ
今夜あなたが本当に必要なの
今夜 永遠が始まるの
今夜から永遠が始まるのよ

Once upon a time I was falling in love
But now I'm only falling apart
Nothing I can say
A total eclipse of the heart
A total eclipse of the heart

あるとき私は恋に落ちたの
でも今は私の心は離れていく
何も言うことができないの
心が蝕になってしまった私には

(Words and Idioms)
powder keg=危険な状況

日本語訳 by 音時


◆1983年の10月8日のビルボードHot100 top5は以下の通り。
(さらに詳しくは 星船さん「ビルボードチャート日記 」をどうぞ。

5.(She's)Sexy+17 Stray Cats
4.True       Spandau Ballet
3.King Of Pain   The Police
2.Making Love Out Of Nothing At All The Police
1.Total Eclipse Of The Heart         Bonnie Tyler

 なんと、ジム・スタインマンの作品が1.2フィニッシュ!

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 裏エピソードとしては、「愛のかげり」も「渚の誓い(Making Love Out Of Nothing At All)」も最初はジムはミートローフのために曲を書いたのだが、ミートローフ側がジム・スタインマンと離れてアルバムを作成していた(Midnight at the Lost and Found)ため「いらない」と言ったらしく、ボニーとエアサプライに回ってきたらしい・・・。

(たしかにジムの曲調は「オペラ風なドラマチックな展開」だからな。そうじゃない曲も歌いたい…という気持ちもわかる。でもミートローフもったいなかったな。もっと売れてたかもしれないな)

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◆最後にこのPVは何なんでしょうね?男子高校を舞台にした映画「光る眼」!?。

 ボニー・タイラーは男子高の女教師役であどけない少年と黒い革ジャン男、アメフト野郎、水泳部の男子?、いろんな男達のなかで女の登場人物はボニーだけ。心の皆既日食とはそのなかでどんな意味(心理状況)なのでしょうか。「私は教師なのよ…生徒を好きになっちゃいけないわ。」と心に言い聞かせるなか、若い男の子たちの魅力が彼女の自制を上回ってしまった状態なのかな。

 でも、ラストで先生の顔を取り戻したボニー先生。すがすがしい顔をしている。皆既日食は終わった…かのように見えたが、ある男子生徒の目が光る。動揺するボニー先生。落ち着いてみると、光っていたはずの目は元に戻っていた。気のせいだったのだろうか?それとも心の皆既日蝕はまだ過ぎてなかったのか?

 去っていく男子生徒達。たたずむボニー先生。どうする、どうなるボニー先生...(次週へ続く)←続きません。でもそういう終わり方ですね。ちょっと怖い…。

(Wikipediaを見て知ったが、この曲のギター演奏はリック・デリンジャーだった。知らなかった!…ジム・スタインマンと交流があるんだな)

◆2001年のNight of the Proms。




◆バルセロナでのライブ。ボニーの歌とコーラス、演奏が映像的にも良く見えていいです。でも「ジムスタインマンの歌を歌うわよ」と言ってイントロのピアノの音が流れても観客は無反応なのはなぜ?コンサートホールというより観客がダンスしてるから?最後に「サンキュー!サンキュー、サンキュー!」とボニー。