クイーンがブラックミュージックのサウンドを作ったところで、僕はそんなに驚きませんでしたが、この曲がジョン・ディーコンの作品だと知って、「嘘だろ?」と思いました。




クイーンの三枚目の「シアー・ハート・アタック」からジョンの書いた曲が1曲から2曲、アルバムごとに収録されるようになりました。最初は「ミスファイア」、「マイ・ベスト・フレンド」、「ユー・アンド・アイ」、そして「永遠の翼」etc..。ジョンの書く曲はポップで聴きやすく、毎アルバムごとに楽しみにしていました。
 ですので、"Another One Bites The Dust"がジョンの曲!?というのは信じられなかったです。

◆ブライアンが言っています。
ジョン・ディーコンはあの通り、彼独自の世界を持っている男で、"地獄に道づれ"を書いてきたのは外ならぬ彼だったんだ。僕らがあの当時まで一度もやったことのないようなタイプの曲をね。でもあれは僕らのレコードが初めてブラック・コミュニティと接点を持った機会だった。そのお陰で「ザ・ゲーム」のセールスはたった3週間の間に100万枚から一気に300万枚を突破するに至ったんだ。

「地獄へ道づれ」についてシングルにしてはどうかとクイーンに提案した大物ミュージシャンがいました。それは…マイケル・ジャクソンだったんですね!
ジョンは言います。
実はマイケルがあの曲をシングル・カットしてみたらって提案してきたんだよ。彼はクイーンのファンでね。よく僕らのショウを観に来てくれていたんだ。

AnotherOne


◆映画「ボヘミアン・ラプソディ」ではメンバー間が揉めているときに、ジョンがベースをいじってるなかで、偶然のようにあの印象的なベースラインができてきます。すると"おっこれ、いいね!""踊れるな!"など、メンバー達がノッてきて曲ができていく…という、ちょっと出来すぎのストーリーに苦笑はしましたが、でも"そうだったらいいな"と思わせてくれました。

実際のところ、ジョンは作る曲はずっとポップ調のものがほとんどでしたが、学生時代からずっとソウル・ミュージックを聴いていて、そんな曲を作りたいって思っていたそうなんですね。
 "地獄へ道づれ"~Another One Bites The Dust~は、スティーヴとマシンガンの話を、フレディがファンクな味付けをして完成した曲でありました!

Released in 1980
US Billboard Hot100#1(4)
From The Album“The Game”

TheGameQueen

*原詞の引用は太字

Oh! Let's go!
Steve walks warily down the street
With the brim pulled way down low.
Ain't no sound but the sound of his feet,
Machine guns ready to go.


スティーヴは通りを歩く
用心深く帽子をかなり深くかぶって
聞こえるのはヤツの足音だけ
マシンガンの準備も用意万端さ

Are you ready,
Hey, are you ready for this?
Are you hanging on the edge of your seat?
Out of the doorway the bullets rip
To the sound of the beat

用意はいいか?
コイツを受ける覚悟はできてるかい?
ドキドキしちゃってるんじゃないか?
ドアの外で
マシンガンのビートに合わせて
弾丸が炸裂するぜ

Another one bites the dust
Another one bites the dust
And another one gone, and another one gone
Another one bites the dust
Hey, I'm gonna get you, too
Another one bites the dust

また一人 土を噛む
また一人 倒れていくんだ
誰かがくたばって 誰かがあの世行き
また一人 くたばるんだ
おまえだって逃がしゃしない
また一人 命を落とすのさ
 
How do you think I'm going to get along
Without you when you're gone?
You took me for everything that I had
And kicked me out on my own

なんで俺がやっていけると思う?
おまえが出ていったっていうのに
おまえは俺のすべてを奪っていって
俺を一人ぼっちで放りだしたじゃないか

Are you happy, are you satisfied?
How long can you stand the heat?
Out of the doorway the bullets rip
To the sound of the beat

それで幸せかい? 満足かい?
どれだけ興奮したんだい?
ドアの外で 弾丸が炸裂する
マシンガンのビートが刻まれる

Another one bites the dust
Another one bites the dust
And another one gone, and another one gone
Another one bites the dust
Hey, I'm gonna get you, too
Another one bites the dust

また一人 土を噛む
また一人 倒れていくんだ
誰かがくたばって 誰かがあの世行き
また一人 くたばるんだ
おまえだって逃がしゃしない
また一人 命を落とすのさ
 
Another one bites the dust
Another one bites the dust
Another one bites the dust
Another one bites the dust

また一人
また一人
倒れていくんだ
順番にあの世行きさ

There are plenty of ways
that you can hurt a man
And bring him to the ground
You can beat him, you can cheat him
You can treat him bad
and leave him when he's down

ひとを傷つけるには
いくつもやり方がある
そいつをくたばらせて
殴りつけ 騙すことだってできる
ひどい仕打ちをして
そいつが落ち込んでるときに
捨てることだってできるのさ

But I'm ready, yes, I'm ready for you
I'm standing on my own two feet
Out of the doorway the bullets rip
Repeating to the sound of the beat

でもな
俺には覚悟ができてる
そうさ おまえを逃がさない
しっかり自分の足で立ってるのさ
ドアの外で 弾丸が炸裂するんだ
銃声のビートが何度も何度も繰り返す…

(Words and Idioms)
warily=用心して,油断なく.
brim=(コップ・皿などくぼみのある器物の)縁; へり .2(帽子の)つば
way=(副)かなり、ずっと
on the edge of one's seat=椅子の端に座って(身を乗り出して)手に汗握って
rip=引き裂く、はぎ取る
kick out=(蹴って)追い出す
stand the heat=暑さをしのぐ、熱に耐える

日本語訳 by 音時

AnotherBites The Dust

◆"Bite the Dust"はWeblio辞書では、(1) 地上に打ち倒される 《☆聖書「詩編」などから》.(2) 屈辱を受ける; 敗北する.(3) (特に戦争で)死ぬ.
などの意味が出ていました。

 人が地面の上に倒れると口のなかに埃が入ってしまう…"埃を噛む"ってことから来てるのでしょうね。あたまに"Another One"が付くので"別なヤツがまた倒される"こと=邦題の「地獄に道づれ」の「道づれ」もそんなことから来てるのでしょうね。

 和訳をしてみた感想ですが、当初はギャング?のハードボイルドな世界で、仲間に裏切られた?スティーヴが仕返しにマシンガンをぶっ放すイメージでずっといました。それがひょっとして男女関係のもつれから捨てられた男の復讐劇(実際にマシンガンで仕返しをするわけではなく)を劇化したものなのかな?とも思えてきました。

◆イントロのベースリフからフレディのボーカルの入ってくるあたりの緊張感は何度聴いてもハッとさせられます。ソングライターとしてのジョンの力量、そしてその力をフレディの個性で味付けをすると…これまでになかった作品が生まれた一例です。そしてこの曲は、全米ではクイーンの最大のヒット、となりました。名曲「ボヘミアン・ラプソディ」とはまた違ったクイーンの代表曲となっています。