「青春の輝き」という邦題がついたこの曲...きれいなメロディでせつないですよね。







◆冒頭のPVを見ましたか。空港から機内へ進むカーペンターズ兄妹。リチャード、カレン、それぞれの表情が映し出されます。ファンに笑顔を振りまいたあと、一人のときは神妙な顔つきで孤独感が出ています。
 リチャードは女の人、カレンは男の人と目が合う瞬間があります。笑顔で答えると笑顔を返してくれます。でも…結局それはファンとアーチスト、という関係だったんです。

 兄妹で苦笑い。『僕たち(私たち)なかなか恋するのも難しいね』と言っているようです。
 邦題のイメージから「青春ソング」かなと思ってたのですが、そうではなく、音楽が好きで子供のときから音楽・ショービジネス界で生きてきた兄妹カーペンターズ自身が内面を告白している歌だったんですね。リチャードによれば生前のカレンが最も気に入っていた曲だったといいます。


◆二人にはいい恋を見つけてほしいと思いましたが…そのあとのカレンの生涯を考えるとちょっと聴くのが辛い曲ですね。“I Need To Be In Love”...「Need」を使っているところが「恋もしたことない私は人間としてどうなんだろう?」なんて迷いを持っていたのかなと思います。

 作者には「カリフォルニアの青い空」の作者でありシンガーのアルバート・ハモンドの名前が連ねられてます。もしかすると、リチャード自身の告白はもっと赤裸々なもので、それをアルバートらがきれいな曲に仕立てたのかもしれませんね。

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◆アルバム「見つめあう恋」発表の70年代では「隠れた名曲」だったのですが1985年に野島伸司脚本のドラマ「未成年」に「Top Of The World」と「青春の輝き」が主題歌に使われたことから再度多くの人が聴くこととなり、日本ではカーペンターズの代表曲の1つとなりました。1995年に日本で発売したベストアルバムにも「青春の輝き~ベスト・オブ・カーペンターズ」というタイトルが付けられ1曲目に収録されています。

Songwriters: CARPENTER, RICHARD LYNN / BETTIS, JOHN / HAMMOND, ALBERT LOUIS
lyrics c Universal Music Publishing Group, EMI Music Publishing

Released in 1976
US Billboard Hot100#25
From The Album“There's A Kind Of Hush”


Ineed to be

The hardest thing I've ever done
Is keep believing
There's someone in this crazy world for me
The way that people come and go
Thru temporary lives
My chance could come and I might never know

これまで一番辛かったのは
信じ続けること
こんな馬鹿げた世の中だって
私だけを愛してくれる人がいるって
一時しのぎの生活のなかで
沢山の人が来ては去っていく
私にも機会が訪れるかもしれないけど
気がつかないかもしれないわ

I used to say
"No promises,Let's keep it simple"
But freedom only helps
you say Good-bye
It took a while for me to learn
That nothin' comes for free
The price I've paid is high enough for me

私は今までこう言ってたの
「約束なんていらない 
   簡単な関係のままでいい」
でも束縛しないことは
あなたからの別れを早めただけだった
私は学ぶのにちょっと時間がかかったわ
何も払わなければ何も得られない
払った代償は私には十分すぎたのよ

I know I need to be in love
I know I've wasted too much time
I know I ask perfection of
A quite imperfect world
And fool enough to think
that's what I'll find

恋をしなくちゃって気付いたの
私は沢山の時間を無駄にしすぎたの
とても不完全な世界で
完全なものを求めてるのね
本当の恋が見つかるって思ってるおバカさんが
この私なの

So here I am with pockets full
Of good intentions
But none of them will comfort me tonight
I'm wide awake at four a.m.
Without a friend in sight
Hanging on a hope but I'm alright

ここにいる私 人への優しい想いは
ポケットいっぱいにあふれてる
でも今夜  私のことを癒してくれる人はいない
午前4時というのに私の目は冴えてしまってる
友達も誰もいないなか
希望にすがりついてるのよ
でも私は大丈夫

I know I need to be in love
I know I've wasted too much time
I know I ask perfection of
A quite imperfect world
And fool enough to think
that's what I'll find

私は恋をしなくっちゃね
沢山の時間を無駄にしすぎたから
とても不完全な世界で
完全なものを求めてる私
そんな世界のなかでも
恋する相手が見つかるって
思ってるおバカさんが
この私なのよ


(Words and Idioms)
temporary=はかない 仮の
good intention=善意 よい行い

日本語訳 by 音時


JPIC-20140227192046

◆BS-TBS「SONG TO SOUL」のこの曲の回(2020年4月7日放映)を見て、少し和訳を修正しました。

作者の一人であるジョン・ベティスが歌詞について、

So here I am with pockets full of good intentions
But none of them will comfort me tonight

の部分が「コアになった」と言っていました。"望みがいっぱいのポケット"を持っているのなから普通"人生はうまくいっている"と考えるだろうが、主人公の心は満たされていない…。でもカレンにこのことを説明する必要はなく、彼女はすぐにこのことに共感したそうです。

"good intention"って言葉をアルバート・ハモンドもチョイスしていますが、僕は「人へ優しくしようとする想い」と捉えました。自分本位でなく、他の人を思いやること、周りの人もそうだし、例えばボランティア精神なども入るのかなと思います。偽善ではなく純粋に「人にやさしく」という想いでいっぱいの自分でも、ふと漏らしてしまう心の声..."でも私には誰も何もしてくれないの…"。

 この曲はカレンが自分で「一番好きな曲」と言っていた、と兄リチャードが言っていました...。


★文化放送 All Japan Pop20ではこの曲は残念ながら2位どまり。

1位はBCR、この曲強かったからな~。3位もBCR。クイーン、オリビアも有名曲がチャートイン。7位ソウル・ドラキュラ懐かしい。13位スージー「恋はドッキリ」。原題は何かなと当時調べたら「Tear Me Apart」だった。15位アルバム「ROCKS」からラスト・チャイルド。20位スイート「恋はだましあい」の原題は「The Lies In Your Eyes」。

1976年9月 All Japan Pop20 放送分

1 ロックン・ロール・ラブ・レター ベイ・シティ・ローラーズ 
2 青春の輝き カーペンターズ
3 ラブ・ミー・ライク・アイ・ラブ・ユー ベイ・シティ・ローラーズ 
4 マイ・ベスト・フレンド クイーン
5 ジョリーン オリビア・ニュートン・ジョン 
6 ミスター・メロディー ナタリー・コール 
7 ソウル・ドラキュラ ホット・ブラッド 
8  ラブ・イズ・ブラインド ジャニス・イアン 
9  恋のデュエット エルトン・ジョンとキキ・ディー 
10 心のラヴ・ソング ポール・マッカートニー&ウイングス

11 雨の日のニューヨーク シカゴ 
12 幸せのノック ポール・マッカートニー&ウイングス 
13 恋はドッキリ スージー・クアトロ 
14 ガット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ ザ・ビートルズ 
15 ラスト・チャイルド エアロスミス 
16 アフタヌーン・デライト スターランド・ヴォーカル・バンド 
17 ショップ・アラウンド キャプテン&テニール 
18 16小節の恋 スタイリスティックス 
19 恋にノー・タッチ エリック・カルメン
20 恋はだましあい スイート 

◆ステージでの「青春の輝き」" fool enough to think that's What I'll find…"の"Fool"で自嘲気味に笑って歌うカレンがせつないです。




*ドラマ「未成年」のエンディングで「青春の輝き」が流れます。(1995年 TBS系列 脚本:野島伸司) いしだ壱成、香取慎吾(SMAP)、反町隆史、河相我聞、北原雅樹、桜井幸子、遠野凪子、浜崎あゆみ。映画「Stand By Me」を意識した作り。
僕は桜井幸子さんが好きで見ていた。思い出したぞ。「あゆ」が令嬢役で赤ちゃんを身ごもっちゃうんだよな。野島ドラマは「高校教師」「人間失格」「未成年」の3つを指して「野島三部作」と言うらしい。