季節が突然秋になると、"今年の夏"とはもう言えず、夏を語るなら"過ぎ去った夏"って言い方になってしまいます。つい先日まで「今年の夏」だったのに、突然「去年の夏」になってしまう、そんな"儚さ(はかなさ)"を感じる曲です。
◆モーテルズのシンガーはマーサ・デイヴィスという女性です。彼女は色々なラジオでのインタビューでこう言ってます。
"この曲は私の人生を反映しているの"
"夏が過ぎてしまったってどうやって気づくかというと、アイスクリーム売りのトラックが最後の最後に通り過ぎて行ってしまった音を聞いた時ね。しばらくは返ってこないのよ"
"この曲は私の人生を反映しているの"
"夏が過ぎてしまったってどうやって気づくかというと、アイスクリーム売りのトラックが最後の最後に通り過ぎて行ってしまった音を聞いた時ね。しばらくは返ってこないのよ"
この"アイスクリーム売りのトラック"はPVのなかで現れて、去っていきますね…。
◆歌詞はまるで"夢を見ている"かのようですね。夢は決して終わらない、でも始まりもしない。そして「突然ラスト・サマー」になってしまうのです。「Last Summer」は「昨年の夏」そして「最後の夏」。歌詞の"then suddenly last summer""Until suddenly last summer"の"then"や"until"については正直もう時間感覚が訳そうとしても混乱してしまいました。
◆ちなみに1959年に「Suddenly, Last Summer」(邦題:「去年の夏、突然に…」)というアメリカ映画が上映されています。エリザベス・テイラーとキャサリン・ヘプバーンが主演です。
マーサ・ディヴィスは当然この映画を観ていると思いますし、この映画をこの曲のモチーフにしたんじゃないかな。
この映画、僕は観てはいないのですが、精神科医が治療を依頼(ロボトミー手術)されますが、"昨年の夏の記憶"をめぐって色々な異様な問題(カリバニズム、ホモセクシャル、近親相姦など)が絡んでくるらしいですね。"Suddenly、Last Summer…"というセリフも多く出てくるようです。
そんなことも踏まえて、僕は「この曲は映画の世界も踏まえて一種、異様な雰囲気を醸しだそうとしたのではないか?"夢の夢"のように、わざと混乱させようとして作られているのではないか?」と都合よく解釈することにしました(^▽^;)。
PVでマーサがベッドで読んでいたと思われる本が"Suddenly Last Summer"って本かな?と思ったのですが、そうではなく"Building Passion"というタイトルのハーレクイン・ロマンスの本。ストーリーはわかりませんが、おそらく素敵な男性との空想の世界が広がる物語なのではないかと思います。
Songwriters Martha Davis
Published by CHERRY RIVER MUSIC CO.
Released in 1983
US Billboard Hot100#9
From The Album"Little Robbers"(可愛い泥棒たち)
It happened one summer
It happened one time
It happened forever
For a short time
ある夏のことだった
それも一回きりのこと
永遠のような気がしたけど
ほんの短い時間だった
A place for a moment
An end to dream
Forever I loved you
Forever it seemed
その場が一瞬にして
夢へと消えていったわ
あなたを永遠に愛している
ずっとそう思えていたの
One summer never ends
One summer never began
It keeps me standing still
It takes all my will
And then suddenly last summer
終わらないひと夏の出来事
一方で
始まらないひと夏の出来事
私は立ち尽くすだけ
私が自ら望んだこと
突然のように夏が過ぎ
今年の夏がもう去年の夏になったのよ
Sometimes I never leave
But sometimes I would
Sometimes I stay too long
Sometimes I would
ときどき離れるものかと思うけど
ときどきそうしてしまう
ときどきずっとここにいてしまうけど
ときどきそうしてしまう
Sometimes it frightens me
Sometimes it would
Sometimes I'm all alone
And wish that I could
ときどき私は怯えてしまう
ときどきそうなってしまう
ときどき私はひとりぼっち
そうなれたらと願ってる
One summer never ends
One summer never begins
It keeps me standing still
It takes all my will
And then suddenly last summer
And then suddenly last summer
終わらない夏
始まらない夏
立ち尽くす私
すべて私が望んだこと
突然 夏が終わったの
突然 あなたとの最後の夏が
One summer never ends
One summer never begins
It keeps me standing still
It takes all my will
And then suddenly last summer
あの夏は私のなかで終わってない
でも始まってないとも言えるの
私は立ち尽くすしかできなかった
でもすべて私が決めたこと
想い出はいつも突然に蘇る
And then suddenly last summer
Until suddenly last summer
突然蘇る最後の夏の想い出
突然蘇る去年の夏の想い出
And then suddenly last summer
Until suddenly last summer
It happened suddenly last summer
突然の去年の夏のことが
突然の最後の夏まで続いていくの
それは昨年の夏
突然起きたことなの…
日本語訳 by 音時
◆"Suddenly Last Summer"が最高位9位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles November 19, 1983
ライオネルリチ男が1位。ポール&マイケルが2位を3週続けてから1位を6週連続。5位クワイエット・ライオット、8位フィクスも好きだったなあ。
-1 1 ALL NIGHT LONG (All Night) –•– Lionel Richie
-2 4 SAY SAY SAY –•– Paul McCartney & Michael Jackson
-3 3 UPTOWN GIRL –•– Billy Joel
-4 2 ISLANDS IN THE STREAM –•– Kenny Rogers with Dolly Parton
-5 7 CUM ON FEEL THE NOIZE –•– Quiet Riot
-6 5 TOTAL ECLIPSE OF THE HEART –•– Bonnie Tyler
-7 13 LOVE IS A BATTLEFIELD –•– Pat Benatar
-8 6 ONE THING LEADS TO ANOTHER –•– The Fixx
-9 10 SUDDENLY LAST SUMMER –•– The Motels
10 17 SAY IT ISN’T SO –•– Daryl Hall John Oates
◆THE MOTELS SUDDENLY LAST SUMMER MARTHA DAVIS CANYON CLUB AGOURA OCTOBER 2021
◆ザ・モーテルズの初の全米大ヒット"Only The Lonely"(1982)。こちらも最高位9位を記録。
(この記事で参考にしたページ)
・Wikipedia The Motels
・Wikipedia Martha Davis
・Wikipedia Suddenly,Lasy Summer(Chinema)
・Wikipedia Suddenly Last Summer(Song)
コメント
コメント一覧 (4)
まだ残暑が続きそう。この暑さ、もういい加減にしてほしい。秋を心待ちしているというのが本音です。でも、秋になってみると夏が恋しくなるんだよなあ。
映画があったのですね。「去年の夏、突然に…」 ボクも観ていません。
解説の中で、「カリバニズム」という聞き慣れない言葉があり調べました。意味は……
「ロボトミー手術」 久しぶりに聞いた言葉です。現在は行われていないようですね。
実に怪しげな映画なので観ないと思います。出演者する女優さんには興味があるのですが…。
モーテルズ、やっぱりニューウエイブだと思ってしまいました。
なかなか奥が深い歌詞ですね。
モーテルズですが、ニューウエイブ系のロックでバンドですが、アメリカ出身だけあって、意外に明るい曲が多く、好きなバンドでした。